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松下幸之助のサステナブル経営に学ぶグローバル・リスクマネジメントの3つの約束

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松下電器に学ぶ、グローバル・リスクマネジメントにおける3つの約束

 創業者である松下幸之助氏の「企業は社会の公器である」という考えに基づき、今でも経営が行われている松下電器産業株式会社(現パナソニック株式会社)。社会や経済、地球環境にサステナブルな経営をすることは、社会に属する企業として当然であり、リスクマネジメントにも通ずる。グローバル社会というステークホルダーに対して、重要な約束を藤猪正敏氏の著書『企業は社会の公器 グローバル・リスクマネジメントの本質〜ステークホルダーとの「3つの約束」がビジネスを支える〜』(第一法規株式会社)から学ぶ。

  1. コロナ禍におけるグローバルビジネス

コロナ禍によって日本企業でリモートワークやDXの流れが加速し、海外への直接訪問が難しい一方で、国内にいても海外事業とのコミュニケーションや事業推進が成り立つことが証明された。少子高齢化が加速している国内の社会課題を鑑みると、事業の成長には海外進出が欠かせない。しかしグローバルビジネスには業界慣習や法律、契約形態の違いなどリスクも付き纏う。また海外事業は本社と距離があるために、事業の見える化がされていない企業も多い。未曾有の事態に備えた対策が必要だと、コロナ禍で実感した経営者もいる。

  1. グローバル・リスクマネジメントに重要な3つの約束

松下電器産業株式会社(現パナソニック株式会社)にて、グローバル・リスクマネジメントのコンプライアンス構想立案やトラブル事案の和解等を担当してきた藤猪正敏氏。著書『企業は社会の公器 グローバル・リスクマネジメントの本質〜ステークホルダーとの「3つの約束」がビジネスを支える〜』では、社会と3つの約束を守ることが重要だと語る。

それが、国や行政府の定める法律などを指す「社会規範」、企業理念や企業行動基準などの「社内規範」、文書化された「第三者との契約」だ。

法令は日本だけでなく、クライアント先の国の法令も対象となる。グローバル・リスクマネジメント(GRM)体制の企画と実践を推進してきた藤猪氏は、下記のように述べている。

「GRMの観点から、結んではならない契約は明らかである。違法な合意や違法性が疑われる合意が含まれる契約は、理由の如何を問わず、結んではならない契約であり、してはならない合意である。正しい経営とは相入れないからである」(同書)

グローバルビジネスにおけるリスクマネジメントにおいては、日本国内での常識に囚われずに慎重に違法性をチェックする必要があるだろう。そのため、「GRM参加者の多くは海外で採用された外国人であった」(同書)という。これは自社が社会にとって「正しい経営」をすることでもあり、ステークホルダーであるクライアントの経営を守ることにも繋がりうる。

 

  1. 松下幸之助氏が唱えた理念「企業は社会の公器である」

グローバル・リスクマネジメントの根底にあるのは、松下電器の創業者である松下幸之助氏が唱えた「企業は社会の公器である」という考えだ。人材も、資源も、社会が生み出したもの。資源を社会から預かり、事業活動を行うのが企業。だからこそ、企業は社会生活の改善と向上を図るものでなくてはならない。

松下電器が創業したのは1918年。2018年には創業100年を迎えた。「サステナブル」という言語が浸透する遥か前から、社会に対する企業のあり方を指し示してきた企業だと言えるだろう。

 

  1. パナソニックのサステナブル経営

現パナソニックはブランドスローガン「A Better Life, A Better World」を掲げる。これは「企業は社会の公器である」を元に作られたスローガンであり、同社コーポレートサイトの「経営理念とサスティナビリティ」には松下氏の考えを実践し社会と共に発展する事業を展開することこそがサスティナビリティ経営であると示されている。

パナソニックでは「パナソニック行動基準」を定め、年に1回監査法人による内部統制監査を実施するなど実践的なマネジメントシステムも構築。社員に対しては随時eラーニングなどのコンプライアンス教育も実施されている。また会計・監査関連に疑問を持った場合は監査役通報システムから調査の依頼も可能だ。従業員、関連会社、そして地域社会。全てのステークホルダーに対して「正しい経営」がなされるよう、あらゆる観点で仕組み化が徹底されている。

自社は社会に属する一部として、全てのステークホルダーに対して約束を果たせているだろうか。そのためのシステム構築や多彩な人材の採用や活用ができているだろうか。事業所が離れている海外事業部とのコミュニケーションを活発化させるには、SFAツールやCRMツールなどのDX推進も有効だ。松下氏の言葉を胸に、コロナ禍の海外事業のリスクマネジメントを推進すべきだろう。

 

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