
福岡市の那珂川で8月19日に遺体が見つかったネパール国籍の専門学校生、ラジバンシ・ラクスミさん(当時25)の殺人事件で、逮捕された男女3人が9月9日午後に送検された。翌10日には、容疑者の女がロープを外部から持ち込んだ可能性が新たに報じられ、警察は計画的な犯行とみて捜査を進めている。
男女3人を送検 暴行後に川で溺死させた疑い
逮捕されたのは、福岡市博多区の専門学校生タマン・サンズ容疑者(28)、佐賀県鳥栖市の無職タマン・アスミタ容疑者(25)、同市の留学生ラマ・プラビン容疑者(22)。サンズ容疑者とアスミタ容疑者は女性、プラビン容疑者は男性で、いずれもネパール国籍だ。
3人は共謀し、8月18日夜から19日未明にかけて、福岡市中央区にあるラジバンシさんの自宅で頭部を殴り、首をロープで絞めたうえ、ベランダから転落させるなどして殺害した疑いが持たれている。死因は溺死だった。県警は9月8日に3人を逮捕し、認否を明らかにしていない。
ラジバンシさんの遺体には頭部などに傷があり、自宅の部屋からも血痕や争ったような跡が見つかっていた。司法解剖では肺に水が入っていたことが確認され、警察は川に入った時点では生存していたとみている。
ロープを持ち込んだ可能性 防犯カメラには自転車で往来する姿
9月10日のKBC報道によると、ラジバンシさんの首を絞めるために使われたロープは、サンズ容疑者が外部から持ち込んだとみられている。
首にはロープを外そうとしてできた引っかき傷がなく、鍋で頭部を複数回殴られた後、意識がもうろうとした状態で首を絞められた可能性が高いという。これは捜査上の見方であり、意識を完全に失っていたと断定されたものではない。
同日のFBS報道では、事件当日、現場付近の防犯カメラにサンズ容疑者が1人で自転車に乗って行き来する様子が記録されていたことも明らかになった。別の日にもラジバンシさんの自宅近くを訪れていたとみられ、警察は事前に下見をしていた可能性を調べている。
ベランダ下の木や斜面に血痕 川へ運んだ経路を捜査
自宅から川へ移された経緯についても、現場の痕跡が明らかになってきた。
9月9日のRKB報道によると、鑑識活動で自宅マンションと川の間にある木や斜面からラジバンシさんの血液が見つかった。血痕が確認されたのはベランダの下の草木や法面で、警察はサンズ容疑者がラジバンシさんをベランダから落下させ、その後、川に運んだとみている。
KBCも同日、マンションと川の間の木などに残った血液が、サンズ容疑者1人で被害者を転落させ、運ぶことが可能だったとの見方を裏付けたと報じた。警察は、残る2人がどのように関与したのかについても捜査している。
暴行などの実行役は女1人か 他の2人には共謀の疑い
県警は9月8日の会見で、被害者宅での暴行や、被害者を川に水没させる行為は、いずれもサンズ容疑者が1人で実行したとみていると説明した。一方、アスミタ容疑者とプラビン容疑者については、殺害を共謀した「共謀共同正犯」として捜査している。3人が同じ暴行を分担したという説明ではなく、それぞれの関与の解明が続いている。
県警によると、サンズ容疑者と他の2人はネパールで同郷の知人だった。アスミタ容疑者とプラビン容疑者は互いに交際中だと話しており、最近はサンズ容疑者宅へ頻繁に出入りしていたという。共謀の具体的な内容や、2人の詳しい役割は明らかにされていない。
交際相手は容疑者の元恋人 母親は1月の暴力を証言
事件の背景として捜査されているのが、交際相手の男性をめぐる関係だ。
9月9日のANN報道によると、ラジバンシさんの交際相手はサンズ容疑者の元交際相手で、2人は別れた後も同居していた。今年1月には、この男性をめぐりラジバンシさんとサンズ容疑者との間でトラブルが起きていたという。県警は交際関係が事件の背景にあるとみて、動機の解明を進めている。
ラジバンシさんの母親は報道ステーションの取材に、娘がサンズ容疑者から殴られたり、髪を引っ張られたりし、その後、交番を訪れたと証言した。同番組は、ラジバンシさんがこれを機に転居した一方、サンズ容疑者がルームメートを通じて、ラジバンシさんが1人になる時間を聞き出していたとも伝えている。
母親が心配してネパールへ戻るよう勧めた際、娘は大丈夫だと答えていたという。父親は、容疑者への厳正な処罰とともに、娘がどのように殺害されたのかを警察が明らかにすることを求めている。



