
消費者庁は、サブスクなど継続契約の解約を不当に妨げる行為を法律で禁じる方針だ。早ければ2027年の通常国会へ関連法案を提出する。
消費者庁、サブスクの解約妨害を法律で禁止へ
動画・音楽配信や商品の定期購入、スポーツジム、習い事などのサブスクリプションサービスで、申し込みは短時間で完了する一方、解約ページへたどり着けない、電話がつながらない、確認画面が何度も続くといった契約からの離脱を阻む仕組みが問題になってきた。
日本経済新聞によると、消費者庁はサブスクリプションなど、商品やサービスが継続して提供される契約の解約を不当に妨げる行為を法律で禁止する方針を固めた。8月31日に開く有識者検討会の中間取りまとめ案に盛り込み、早ければ2027年の通常国会への関連法案提出を目指す。
法改正が実現すれば、国の認定を受けた適格消費者団体が、事業者に禁止行為の差し止めを請求できる見通しだ。個々の利用者への返金を直接決める制度ではなく、同種の被害が続く前に事業者の手法を止めるための仕組みとなる。
受付拒否や不当な遅延、欺く画面設計も禁止候補
消費者庁が7月に示した資料では、解約妨害として禁じる行為の候補に、解約の申し入れを拒む行為や不当な遅延、事実と異なる説明、将来が不確実な事項についての断定、消費者を欺く行為、威迫して困惑させる行為などを挙げた。解約後に事業者が負う返金などを不当に拒んだり遅らせたりする行為も含む。
さらに「健全な商慣習に照らし不当に消費者の解約を妨げる行為・環境設計」を対象とし、具体例は下位法令で示す案が検討されている。解約ボタンをウェブサイトの深い階層に置く、多数の確認画面を通過させるといった設計が、どの条件で禁止対象となるかは今後具体化される。
解約トラブル経験17.9%、相談は4年で2倍超
消費者庁の資料によると、過去1年間にインターネットで商品やサービスを購入・申し込んだ人の71.6%にサブスク契約の経験があり、そのうち17.9%が解約トラブルを経験していた。
トラブルの内容では「解約手続きページが見つからなかった、またはウェブサイトの深い階層にあった」が46.0%で最多。「手続きが複雑だった、または必要以上に多かった」が45.7%で続いた。
全国消費生活情報ネットワークシステムに登録された「サブスクリプション」に関する相談も、2021年度の7461件から2024年度の1万5752件へ増えた。契約の入り口だけでなく、出口の設計が消費者被害を生む実態が数字に表れている。
新しい「いつでも解約権」が生まれるわけではない
今回の案には重要な限界もある。消費者庁資料は、契約上または法律上、消費者がその時点で解約権を持つ場合を対象とし、解約権がない契約に消費者契約法で新たな権利を設けるものではないとしている。妨害があっただけで契約が自動的に終了したり、料金が一律に返金されたりする案でもない。
オンラインで申し込める契約をオンラインで解約可能にする一律の義務も、現段階では確定していない。契約を結んだ方法と同等の方法を含む複数の離脱手段を用意することなどは、事業者の努力義務とする案が示されている。
8月31日に中間取りまとめ案を審議
通販新聞によると、事業者団体の委員からは、不当な妨害を排除する方向には賛同しつつ、禁止行為を明確にし、事業者が事前に判断できる規律にするよう要望が出ている。消費者庁は8月31日の検討会で中間取りまとめ案を審議する予定で、法案はまだ国会に提出されていない。
現時点で解約を拒まれた場合は、契約条件や最終確認画面のスクリーンショット、電話の発信履歴、メールなどの記録を残すことが重要だ。国民生活センターは、事業者との交渉で解決しない場合、消費者ホットライン「188」への相談を案内している。



