
「ポケモンGO」や「モンハンNow」など人気ゲームを手掛けるナイアンティックが、ゲーム事業を約5200億円で売却すると発表した。この突然の発表に、プレイヤーからは「今後も同じ体験が続くのか?」といった声が上がっている。
本記事では、売却の背景や今後のサービスの行方について詳しく解説する。
売却の背景と理由
ナイアンティックは3月12日(現地時間)、「ポケモンGO」や「モンスターハンターNow」、「ピクミンブルーム」といった人気ゲームを、アメリカのモバイルゲーム会社Scopely(スコープリー)に35億ドル(約5200億円)で売却すると発表した。
この売却の背景には、ナイアンティックの事業戦略の転換がある。同社は近年、ゲーム事業の成長が鈍化し、2022年と2023年には従業員の解雇を行っていた。さらに、AI技術の発展に伴い、ナイアンティックはジオスペーシャル(地理空間)コンピューティング事業への注力を決断。これに伴い、新会社「Niantic Spatial Inc.」を設立し、空間コンピューティングやAIを活用したビジネスへのシフトを目指している。
Scopelyとは?ゲーム業界での実績
Scopelyは2011年創業のアメリカのモバイルゲーム企業で、代表作に「MONOPOLY GO!」や「MARVEL ストライクフォース」などがある。2023年にはサウジアラビアのSavvy Games Groupに49億ドルで買収され、ゲーム事業の拡大に積極的な姿勢を見せている。
Scopelyは「ポケモンGO」などの移管後も、既存のゲーム体験を維持しつつ、さらなる発展を目指すとしている。運営の責任者は「これまでと変わらない体験を保証する」とプレイヤーに向けたメッセージを発表しており、開発チームがそのまま移籍する点も安心材料となっている。
「ポケモンGO」や「モンハンNow」はどう変わる?
ナイアンティックが売却したのは「ポケモンGO」「モンスターハンターNow」「ピクミンブルーム」などの人気タイトルに加え、位置情報を活用したコミュニティアプリ「Campfire」やマッププラットフォーム「Wayfarer」も含まれる。
売却後も各ゲームのサービスは継続され、ゲーム体験が大きく変わることはないと発表されている。特に「ポケモンGO」は、責任者のエド・ウー氏が「次の10年に向けた成長の一環」と説明し、プレイヤーにとって前向きな変化であると強調している。
一方、「Ingress Prime」や「Peridot」などのARゲームについては、ナイアンティックの新会社「Niantic Spatial Inc.」が引き続き運営を行う。
データ管理やプライバシーの懸念
一部のユーザーの間では、位置情報データの管理について不安の声が上がっている。特にScopelyはサウジアラビアのSavvy Games Groupの子会社であるため、データの取り扱いに対する懸念が指摘されている。
これに対し、Scopelyは「プレイヤーのデータは米国を拠点とするサーバーで厳格に管理される。第三者へのデータ販売は行わない」との声明を発表し、安全性を強調している。
ナイアンティックの次なる挑戦「Niantic Spatial Inc.」
ナイアンティックが設立した「Niantic Spatial Inc.」は、空間コンピューティングやジオスペーシャルAIの開発に注力する新会社だ。
同社は「Niantic Spatial Platform」を発表し、ARナビゲーションや3Dマップ技術を活用した物流、観光、教育、エンターテインメントなどの新しい事業領域に進出する計画を明らかにしている。
今後の展開とプレイヤーへの影響
「ポケモンGO」をはじめとする人気ゲームの売却は、プレイヤーにとって大きなニュースである。現時点では、ゲーム体験や運営体制に大きな変化はないとされるが、Scopelyがどのようなアプローチで運営を行うかが今後の焦点となる。
また、ナイアンティックの新会社「Niantic Spatial Inc.」がどのようにジオスペーシャルAIを活用した事業を展開し、どのような新たな価値を創出していくのかも注目される。
【参照】Niantic の次なる展開(ナイアンティック)