
高機能ゆえに捨てられなかった医療用スクラブの残布。それを風呂敷へと再生させるクラシコの試みから、素材を活かしきる思想とファンを惹きつける資源循環の真髄を探る。
プレスリリースが明かす医療服メーカーの新たな一手
2026年7月31日、医療用アパレル大手のクラシコ株式会社が発表した企画が注目を集めている。スクラブの生産過程で生じるあまりの生地「残布」を再生し、オリジナルの風呂敷として届けるキャンペーンだ。
一見すると単なるノベルティ施策に映るが、その背景には高機能素材ゆえの「生地廃棄」という課題を、ブランドの強みへ変える緻密な資源循環戦略が存在する。
余剰生地を価値へ変える独自のプロダクトデザイン

アパレル製造の現場では、どれだけ効率よく型紙を配置しても余剰生地が発生する。特に同社が扱う素材は、耐久性や速乾性に優れた高品質なものだ。これを処分することは資源の浪費に他ならない。
同社はこれまでも残布を巾着やバッグに再生してきたが、今回は柔軟性の高い伝統の道具「風呂敷」に着目した。さらに着用済みユニフォームの再資源化も動かすなど、製品の「終わり」まで設計に組み込む手法は群を抜いている。
医療現場に感性を届ける企業が譲らない一貫した哲学
なぜこれほど残布の行方にこだわるのか。根底にあるのは「医療現場に、感性を。」という同社の強い思想だ。
代表の大和新氏が「かっこいい白衣がない」という現場の声から創業して以来、同社は着る人の感情を高める服を作り続けてきた。国内の医師認知率47%という数字はその証拠と言える。
優れた生地を最後まで愛着の湧くかたちで使い切る姿勢こそが、多忙な医療従事者との深い信頼関係を強固にしている。
企業の価値を極めるために私たちが学ぶべき視点
一連の取り組みが示すのは、環境配慮とブランド価値向上を両立させる思考法だ。生み出した素材の可能性を信じ抜き、デザインの力で新たな用途を与えて循環させるプロセスは、単なる環境活動と一線を画す。
ビジネスの中に眠る課題を直視し、自社らしい価値へと転換できるか。素材の命を使い切るクラシコの挑戦は、これからのものづくりにおける明確な解を示している。



