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ジャングリア沖縄はイマーシブ・フォート東京の二の舞か 開業1年で迫る「人員削減」の危機

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ジャングリア沖縄
ジャングリア沖縄 公式インスタグラムより

沖縄の大自然を舞台に、鳴り物入りで開業した「ジャングリア沖縄」が正念場を迎えている。暑さや待ち時間への対策で開業直後の酷評から持ち直したものの、大幅な人員削減が必要との試算も浮上した。運営会社「刀」が手がけた「イマーシブ・フォート東京」が約2年で営業を終えたいま、森岡毅氏の新たな挑戦にも同じ影が差している。

 

 

開業直後に崩れた「森岡毅なら成功する」という期待

2025年7月、沖縄本島北部に開業したジャングリア沖縄は、約60ヘクタールの敷地に20種類以上のアトラクションをそろえ、大自然へ飛び込む没入型テーマパークとして売り出された。なかでも注目を集めたのが、オフロード車でジャングルを進み、巨大な恐竜から逃げる「ダイナソーサファリ」だ。公開前の映像では恐竜が車へ迫り、森の中を逃げ回る緊迫した場面が映し出された。USJの再建で知られる森岡氏が手がけるとあって、開業前から成功を疑わない空気さえ漂っていた。

ところが、ゲートが開くと熱狂は不満へ変わった。恐竜の迫力が宣伝映像ほどではない、人気アトラクションは300分待ち、整理券が取れず十分に遊べないうえ、強烈な日差しを避ける場所も少ない。沖縄北部まで時間と交通費をかけて訪れ、汗で服を濡らしながらスマートフォンを更新しても、目当ての体験にたどり着けない。来場者の落胆はSNSへ流れ込み、「期待外れ」「宣伝と違う」という酷評が広がった。

テーマパークへ行くには、入場料だけでなく航空券や宿泊費もかかる。限られた旅行日程の一日を使う以上、宣伝と実物の差は小さな演出上の問題では済まない。森岡氏の実績を前面に出して期待を押し上げた戦略が、つまずいた瞬間には失望を増幅させた。

 

待ち時間より深刻な「一度で十分」の評価

運営側は開業後、屋根付き休憩所やミストファンを増設し、アトラクションの運営手順も見直した。2026年春には高速で回転する「やんばるトルネード」を加え、午後から利用できるチケットや、対象アトラクションを一つ体験できる期間限定の「ふらっとチケット」も投入した。開業直後に噴き出した暑さと混雑への不満を放置せず、口コミ評価を持ち直した点は見逃せない。

しかし、7月の三連休には人気アトラクションで100分前後の待ち時間が発生した。特定の施設を選べる短時間券は来園のハードルを下げる反面、人気施設へ客を集中させる。もともと一度に受け入れられる人数が少ないため、現場の動きを速めるだけでは列を解消できない。

さらに重いのが、長時間並んだ先にある体験が再訪につながるのかという問題だ。300分待ちが100分になっても、乗り終えた客が「一度で十分」と感じれば翌年は戻ってこない。新設された「やんばるトルネード」は最大48人が利用できるものの、それを目当てに再び沖縄北部へ向かわせるほどの目玉になれるかは見えていない。一部の施設だけが混み、ほかは空いているなら、園内全体で来場者を引きつける力が足りないのである。

 

「人員3割削減」で失うもの

運営側は、開業から1年間の来場者数を併設するスパと合わせて約100万人と発表した。一方、パーク単体では約85万人との推計があり、年間150万人を採算の目安とした試算では、人件費を3割ほど削る必要があるとされた。運営会社が公表した損益ではないものの、開業2年目で早くも成長策より削減策が語られている状況は軽くない。

待ち列の案内や物販に配置する人数を減らせば、経費は下がる。だが、ジャングリア沖縄ではスタッフの応対が口コミ改善を支えたともいわれている。沖縄の言葉や地元の話題を交えた接客、暑さで疲れた来場者への声かけ、演技を交えて恐竜の世界へ引き込む案内は、施設を動かすためだけの作業ではない。アトラクションだけでは埋められない部分を、人が補ってきた。

そこへ人員削減の刃を入れれば、待ち列は乱れ、売り場では客を待たせ、困っている人へ声をかける余裕もなくなる。収支を合わせるための削減が、ようやく回復した評判まで切り落とす可能性がある。数字だけを見れば人件費は負担だが、来場者が現地で感じる満足度まで含めれば、単純に減らせる費用ではない。

 

イマーシブ・フォート東京が残した前例

先行きへの不安を強めているのが、刀が手がけた「イマーシブ・フォート東京」の営業終了だ。2024年3月に東京・お台場で開業し、熱狂的なファンを獲得した演目もあったが、想定した需要と施設規模がかみ合わず、約2年で幕を閉じた。

客から支持される演目があっても、広い施設を埋められなければ、家賃や人件費が収益を削っていく。話題性や満足度の高い一部コンテンツだけでは、事業全体を支えられなかった。広大な敷地を抱え、設備の維持や暑さ対策にも費用がかかるジャングリア沖縄にとって、これは東京だけの失敗談ではない。

ジャングリア沖縄には、沖縄美ら海水族館や古宇利島を巡る旅行者を取り込める強みがある。午後券や短時間券の導入も、一日を丸ごと過ごす大型テーマパークから、沖縄北部観光の途中で立ち寄れる施設へ売り方を変える試みだろう。ただ、安い券で来場者を増やしても、滞在時間が短くなれば飲食や買い物に使う金額は減る。そこへ人員削減によるサービス低下が重なれば、客数、客単価、評判を同時に落としかねない。

 

炎上より怖いのは旅行の候補から消えること

開業直後の炎上は、それだけ多くの人がジャングリア沖縄に期待していた証拠でもある。批判が集まっているうちは、改善によって評価を変えられる。実際に休憩場所やチケットの選択肢が増え、開業時より利用しやすくなった部分もある。

本当に怖いのは、批判すらされなくなることだ。沖縄旅行を計画する人が、美ら海水族館や古宇利島は予定に入れても、ジャングリア沖縄を最初から候補に加えない。「一度行けば十分だった場所」として忘れられれば、待ち時間も炎上も起きないまま客足だけが細っていく。

イマーシブ・フォート東京が残した教訓は、人気がなかったことではない。熱心に支持する客がいても、施設の規模と収益が釣り合わなければ扉は閉まるという現実だ。ジャングリア沖縄が削るべきなのは、来場者の体験を支える人員ではなく、広告で膨らませた期待と現地で味わう落差である。そこを埋めないままコストだけを切れば、恐竜より先に客の姿が消える。

 

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ライター:

Webライター。きれいごとだけでは済まない現実を、少し距離を置いて綴っています。

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