
2024年4月、北海道旭川市の郊外で、当時17歳の女子高校生が衣服を脱がされて暴行を受け、つり橋の上から石狩川へ転落死した。主犯格とされる旭川市の無職・内田梨瑚被告(23)の裁判員裁判が、5月25日から旭川地裁で始まる。事件発生から約2年を経て、ようやく開かれる初公判。一体、何が彼女をここまで駆り立てたのか。
発端は1枚の無断SNS投稿
事件のきっかけは、2024年4月18日夜に投稿された1枚の画像だった。当時17歳の被害者女子高校生が、内田被告の顔が写った画像を無断でSNSに投稿したことが発端となった。投稿から約1時間後、自分の画像が投稿されていることを知った内田被告は、被害者女子高校生に連絡をさせ、金品を要求。留萌市内の道の駅に呼び出した。
そこから事態は急速に悪化した。
深夜、神居大橋へ
起訴状などによると、内田被告は2024年4月18日夜から19日未明にかけて女子高校生を車内に監禁。その後、旭川市内の橋の欄干に座らせて謝罪させる動画を撮影したうえ、「落ちろ」「死ねや」と言って川に落下させ、殺害したとされる。
事件後、内田被告は女子高校生の携帯電話を車で轢いて破壊し、旭川市内の川に捨てた。共犯の女とは、別々の場所にいたかのようなメッセージを交換し、警察の捜査には黙秘するといった口裏合わせをしていた。しかし女子高校生の家族からの届け出を受けた警察は捜査を開始し、事件から5日後に内田被告を緊急逮捕した。
「殺意はなかった」と主張する内田被告
内田被告は監禁罪を認める一方で、殺意も実行行為もなかったとして殺人罪などを否認し、起訴内容を争う構えだ。
公判前整理手続きでは、共に殺人罪などに問われ懲役23年が確定した小西優花受刑者(21)ら証人5人の採用が決まった。小西受刑者がどのような証言をするかが、内田被告の「殺意の有無」を左右する重要な争点となる。
また、内田被告側が公判前整理手続きの中で拘置所で謝罪文を作成していたことが明らかになったが、被害者遺族はその受け取りを拒否したとされている。
SNSトラブルが招いた「取り返しのつかない結末」
今回の事件が社会に突きつけるのは、SNS上の些細なトラブルが、現実の暴力・そして死にまで発展しうるという厳然たる事実だ。1枚の無断投稿に端を発し、金品要求、監禁、そして殺害へと、わずか数時間で事態は取り返しのつかない局面へと転がり落ちた。
内田被告は当時21歳。被害者はまだ17歳だった。裁判では「殺意」の有無が最大の争点となるが、「落ちろ」「死ねや」という言葉が発せられた事実は変わらない。若者がSNSを通じてつながり、リアルで暴力を振るう構図は、旭川に限った問題ではない。
裁判の日程と今後の焦点
公判は全8回で6月8日に結審し、同22日に判決の予定だ。共犯の小西受刑者が懲役23年の実刑判決を受けていることを踏まえれば、主犯格とされる内田被告への量刑がそれを上回る可能性は高い。
法廷で初めて公の場に立つ内田梨瑚被告。「なぜ、17歳の命を川に落としたのか」という問いへの答えが、いよいよ明かされようとしている。



