
外国人技能実習生の受け入れを支える監理団体の職員が、違法風俗店の経営に関わっていた疑いで逮捕された。風営法違反の疑いで7月2日に逮捕されたのは、東京都内の監理団体職員・袴田直樹容疑者(50)と、タイ国籍のミサキ・ニットワンラー容疑者(50)ら3人。4店舗で約4年間に1億3680万円を売り上げていたとみられている。
「タイ古式マッサージ」を隠れみのに4店舗展開か
報道によると、袴田容疑者らは2026年6月、風俗店の営業が禁止されている地域にもかかわらず、東京都台東区の「リフレッシュスパ上野」など4店舗で、女性従業員に男性客への性的サービスを提供させた疑いが持たれている。産経新聞によれば、犯行場所には新大久保などの禁止地域が含まれ、4店舗ではタイ人など約40人の女性が働いていたという。警視庁は、2022年からの約4年間で4店舗合わせて1億3680万円を売り上げていたとみて捜査を進めている。
同容疑者は、技能実習生の受け入れや企業へのあっせん・支援を担う都内の監理団体で「監理責任者」を務めながら、ミサキ容疑者の店の経営に関わっていたとみられている。TBSの報道によれば、袴田容疑者は5年前に客として訪れた別のマッサージ店でミサキ容疑者と知り合ったという。
産経新聞によると、袴田・ミサキ両容疑者は容疑を否認し、3人のうち1人は容疑を認めている。
監理団体とは何か――実習生保護の「番人」であるはずの存在
監理団体とは、技能実習生の受け入れ調整や手続きを行うとともに、実習先企業を定期的に監査・指導する非営利の許可制団体である。実習生の賃金不払いや人権侵害を防ぐ「番人」としての役割を法律上負っており、その中核を担う監理責任者には高い倫理性が求められる。
厚生労働省のまとめでは、技能実習生は2024年10月末時点で約47万人に達し、外国人労働者全体の約2割を占める。一方で、出入国在留管理庁は不正行為や法令違反による監理団体への許可取り消し・改善命令などの行政処分を継続的に公表しており、監理する側の適格性が繰り返し問われてきた。
今回の事件は実習制度の枠内で起きた不正ではないものの、実習生を守るべき立場の人物が、外国人女性を違法営業の労働力とする事業の側にいた疑いがあるという点で、制度への信頼を根底から揺るがすものだ。
2027年4月「育成就労制度」への移行――厳格化は機能するか
技能実習制度は2027年4月1日に廃止され、新たな「育成就労制度」に移行する。監理団体は「監理支援機関」として新たな許可を取得する必要があり、受け入れ企業からの独立性の確保や、弁護士・社会保険労務士などによる外部監査人の設置義務化など、許可要件は大幅に厳格化される。外国人技能実習機構では2026年4月15日から施行前申請の受け付けが始まっており、業界はまさに選別の局面にある。
しかし、いくら組織の要件を厳格化しても、そこで働く個人の倫理が伴わなければ制度は機能しない。



