
破産管財人取材により少なくとも2万店超の加盟店に7月1日以降の売上金未入金が確認された。
20年前からの粉飾決算疑惑も浮上し、金融機関の貸倒処理が相次ぐ中、飲食店を中心に資金繰り悪化が深刻化している。
日本飲食団体連合会は支援策を強化しているが、代替決済移行の遅れで実害は拡大の一途をたどっている。
全東信破産の最新状況と被害規模
全東信は7月6日に大阪地裁で破産手続き開始決定を受けた。
負債総額は2025年3月期末時点で約1259億2900万円と今年最大規模。
破産管財人によると7月1日以降の未入金売上金が2万店超に及び、1店舗あたり数十万円から数百万円の被害が出ている可能性が高い。
粉飾決算の疑いも指摘され、預金残高水増し約170億円、架空債権約154億円、営業権過大計上約88億円などで実質債務超過が605億円超だったとみられる。
加盟店は2018年9月時点で20万店超を擁しており、影響範囲の広さが改めて浮き彫りになっている。
金融機関への波及と貸倒処理の動き
東和銀行が融資80億円のうち未保全58億円超を2027年3月期で引当処理するなど、金融機関の開示が急増した。
三十三フィナンシャルグループ50億円、大光銀行15億円、高知銀行12億円、島根銀行8億円なども影響を受けている。
金融庁は地銀・信金への融資影響を本格的に把握し始めた。取引金融機関の貸倒リスクが表面化する中、間接的に飲食店への資金供給にも悪影響が出始めている。
信用不安から新規融資が厳しくなる可能性も指摘されており、二次被害の連鎖が懸念される状況だ。
飲食店・夜間業種の即時被害と被害の声
全東信端末を使っていた店舗では決済が即時停止し、クレジットカードが使えない状況が発生している。
Xでは「今日の売上数十万円が全部飛んだ」「端末止まって客に現金しか対応できない」との悲鳴が相次ぐ。
ある大阪のスナック経営者は「早期入金前提で仕入れをしていたのに未入金で家賃が払えない。廃業を考えている」と語り、別のキャバクラ店主は「代替探してるが審査通らず1週間以上カード決済不可。売上半減した」と訴えている。
夜間業種では審査が通りにくいため、代替決済代行の確保に苦戦する声が多く、売上機会損失が拡大している。
日本飲食団体連合会は端末停止と代替手段確保を緊急要請。セーフティネット保証1号の指定申請を進めている。
【セーフティネット保証1号とは 】
セーフティネット保証1号は、大規模倒産や災害などで売上減少・資金繰りが悪化した中小企業を対象に、信用保証協会が通常枠を超えて保証する特別措置。
全東信のような取引先破産で被害を受けた飲食店が利用可能で、保証限度額を拡大して融資を受けやすくする。
貸倒処理の裏付けにもなり、日本飲食団体連合会が経済産業大臣指定を申請中だ。
指定されれば、未入金被害店は日本政策金融公庫のつなぎ融資と併用しやすくなる。
今後の見通しと業界への提言
配当率は低く、数パーセント程度の見込み。
代替決済代行への移行が急務だが、夜間業種の審査難航が続いている。
単一会社依存のリスクを教訓に、複数社契約や資金繰り計画の見直しが求められる。
行政・業界団体による追加支援策の早期実現が、連鎖倒産防止のカギとなるだろう。
中小飲食店は早急に帳簿整理と債権届出準備を進め、商工会議所や弁護士への相談を推奨する。
被害店舗の声からも分かるように、今回の破産は個別企業の問題ではなく、キャッシュレス社会の脆弱性を露呈した出来事と言える。



