「皆がまとまるのは山口さんの人柄と手法のなせる技」。
愛知県倫理法人会の会長を務める山口弘修代表さん(株式会社中部シイアイシイ研究所代表取締役社長)の「意見を尊重する」リーダーシップをこう表現するのは、同会の幹事長・久間博敬さん(東和精機株式会社代表取締役社長)。
同会に入会して14年、「ここまで馬が合う人に出会ったのは初めて」と語る久間さんに、山口さんとの出会いから、同会での活動を通して抱いた印象、そして今後のパートナーシップに期待することまでを伺いました。
会長×幹事長「毎朝のように顔を合わせる間柄」
久間
当社の主力製品は、全自動歪取機です。全自動歪取機は、自動車の部品のひとつである「シャフト」の加工に使われます。
シャフトを製造する際、熱処理と急冷によって剛性を増すのですが、熱処理で一旦シャフトは曲がってしまいます。そのひずみを1/1000mm単位で計測し、プレスして歪をとる設備が、全自動歪取機です。
これを、それぞれのお客様の要望に合わせて設計・制作しています。
全自動歪取機のパイオニアである当社の主なお客様は、トヨタグループを始めとする国内のカーメーカー。顧客の9割が自動車業界のお客様です。
また、この特殊なプレス技術を応用して、自動車だけでなく半導体業界や電機業界向けのプレス機の設計・製作も行っています。
海外向けにも、インドのSUVナンバーワンのカーメーカーとの取引を皮切りに、東南アジアのカーメーカーに20年ほど前から独自に輸出しています。
輸出先は現在、下請の部品メーカーにも拡大しており、30台超の設備がすでに現地で稼働しています。海外のメーカーに直接輸出していることは、当社の強みのひとつです。
貴社と中部CICとのつながりの経緯についてもお聞かせください。
久間
株式会社中部シイアイシイ研究所(以下、中部CIC)の代表取締役の山口弘修さんとは、愛知県倫理法人会を通じて知り合いました。
山口さんとは驚くほど馬が合い、共に活動のまとめ役として動くなかで学ぶことも多々あります。
私は同会に2008年に入会しました。当時、山口さんのお父様も活動されていて、10年ほど前からお父様を通じて息子の山口さんのことも存じ上げていました。
ただ、現在のように親しくなったのは、同会で山口さんが会長、私が幹事長に就任した3年前からです。
それまでは例会で月に1度お会いして挨拶を交わす程度。それが現在の立場になってからは、毎日のように顔を合わせる間柄です。
経営者同士でありながら「お互いに馬が合う」稀有な関係性
そんな山口さんから、久間さんへのメッセージをいただいております。代読いたしますね。
久間さんは、倫理法人会での女房役として愛知県の幹事長をしてくださっています。
自衛隊の潜水艦乗りをしていた方で、お祖父様の会社を継がれました。10年前から知り合いですが、お互いよく知り合うようになったのは、ここ3年くらいの期間です。
とても律儀な方で、正義感と信頼感を持って活動に取り組んでくれていて、仕事も速いです。
家庭で例えると、旦那のやること、奥さんがやることを補い合うようなもので、倫理法人会の中では、自分が理想を語った際にそれを形にしてくれる人。なくてはならない存在です。
倫理法人会の活動は企画を立てて実行し、それを反省して軌道修正しながらものごとを進めていくのですが、『こういうふうにやりたいね』と言うと『こうやりましょう』とすぐに自分が言うことを理解して企画書を作ってくれる。
すぐにしっかりと作り込まれた企画書を形にしてくれるので、それを見ながら内容のすりあわせもできるので大変助かっています。
一言で言うと、お互いに馬が合い、やりやすいのです。
僕も筋の通らないことはやりたくないので、お互い納得して動ける非常に良いパートナーです。いつも自分を理解して、考えを体現するために速やかに動いてくれてありがとうございます。
週5日(火~土)のモーニングセミナーによる普及活動にも、文句を言わずに付き合ってくれて本当に感謝しています。強い想いを持って活動してくれて私は嬉しい。本当にありがとう、と伝えたいです。
久間
過分なお言葉をありがとうございます。穴があったら入りたいくらいです(笑)。
山口さんも私も、会社経営においてつらい時期を切り抜けてきた経験があります。
そんな親近感もあり、倫理法人会の小グループでそれぞれリーダーを務めた後こうして共に執行部で活動できていることを、感慨深く思います。
山口さんが「やりたい」と言ったことを具現化するのが幹事長としての私の役目です。
私たちが現職位に就任してすぐの時期にコロナ禍に見舞われました。そのため、会の運営は即応を迫られ、より良く運営するために知恵をしぼりました。
コロナ禍でも私たちが共通して考えていたことが、リーダー育成研修でした。
私も「やらなくては」と考えていたところに、山口さんから「やりたいね」と提案があり、「いいですね!ではこうしましょう」と実現に向けて動きました。
倫理法人会での活動も15年目を迎えますが、ここまで馬が合う人に出会ったのは初めてです。それぞれ一国一城の主、利害関係のない経営者同士で「馬が合う」のですから、実に稀有な存在です。
幹事長の任期は2023年8月で終了しますが、その後も経営者として、互いの悩みを相談し合ったり助け合ったりできる関係は続くことでしょう。
「どんな意見も尊重する」歯がゆいプロセスから生まれる協調
人生でそう何回も訪れない稀有な出会いですね。共に会の執行部で活動されるなか、久間さんの目に映る山口さんとは、どのような方ですか。
久間
一番に言えることは、どんな意見も尊重する方です。倫理法人会の愛知県全体をまとめる執行部は、10人ほどのメンバーで構成されています。当然、意見が分かれることもあります。
例えば、年に3、4回開催される大イベントがあるのですが、ある回で招きたい講師が2名挙がったことがありました。1回のイベントで登壇いただく講師の枠は1つです。
「どちらを呼ぶか」となったときに、通常は次のイベントを踏まえずに話し合うところ、山口さんは「では今回はAさんを呼んで、次回Bさんを呼ぶことにしてはどうか」と柔軟な折衷案を出されました。
経営者はともすると、「自分がリーダーだから自分の決めたとおりに」というマインドになることがあります。
しかし山口さんは、「皆を尊重し、皆の意見を聞いた上でどうにか取り入れられないか」を模索します。
いろいろな意見を聞き、軋轢が生じないよう策を講じるわけなので、時間を要するプロセスに歯がゆさを感じることもあります。
しかし、山口さんの手法を見ていて、結果的にそのほうが組織はまとまるのだと実感しました。現在の執行部が協調して活動できているのは、山口さんの人柄と手法がなせるわざです。
山口さんから得た「新たな視点」、経営にもボトムアップを取り入れたい
それでは、久間さんにとって山口さんは、ずばりどのような存在でしょうか?
久間
繰り返しになりますが、本当に馬の合う、得難いパートナーだと思います。
日曜と月曜以外は毎朝少なくとも2時間は顔を合わせていますし、会社に戻ってからも電話やメール、ラインなどで絶えず情報をやり取りしています。
土曜は懇親会を含めるとまる1日一緒にいるようなものです。
合わない人とはそんなに長く居られません。お互い「合う」からこそできるのだと思います。
また、山口さんはとにかく勉強熱心かつ人を尊重する誠実な方です。そんな山口さんが経営する中部CICですから、その仕事も間違いありません。
山口さんの人柄はもちろんのこと、中部CICのことも自信を持って他社におすすめできます。
最後に、山口さんに今後期待されることをお聞かせください。
山口さんは、私にはない良さをお持ちの方です。それを体現してくださる方で、倫理法人会での活動においても経営においても、学びと刺激をいただいています。
ぜひこれからも、そのままの山口さんでいてください。
山口さんの「皆を尊重する」という姿勢から、私自身も経営に対する新たな視点を得たように思います。
当社は設備を設計・製作するという性質上、方針がなくては成り立ちません。
そのため当社では、私がお客様から聴き取った内容をもとに、機械、電気、ソフトのそれぞれの担当者に指示を出して仕事を進めていきます。
どうしてもトップダウンの構造になりがちなのですが、今後は山口さんが実践されている「皆の意見を尊重する」姿勢やボトムアップの方法も取り入れていかなければと痛烈に感じています。
たしかに、中部CICの社員の皆さんの生き生きと楽しそうに働かれている様子は、山口さんのお人柄や経営姿勢の賜物なのかもしれません。
今後も、互いに高め合える存在として協働していかれることを確信しております。本日は、ありがとうございました。
◎企業概要、事業内容などを箇条書きで記載。
・社名: 東和精機株式会社
・本店所在地:〒446-0007 愛知県安城市東栄町5丁目26番地7
・TEL:0566-97-9181
・FAX:0566-97-9002
・創業:1946年12月
・設立日:1957年7月5日
・代表者:代表取締役社長 久間博敬
・資本金:1億円(2013年12月現在)
・従業員数:32名(2023年4月現在、パート、派遣、技能実習生含む)
・事業内容:鍛圧機械の設計・製作
・HP:https://www.towaseiki.com/index.html
◎プロフィール
久間 博敬
1967年生まれ。軍艦乗りを目指し防衛大学校卒業後海上自衛隊入隊、以後護衛艦勤務を経験後に幹部潜水艦課程学生を経て潜水艦勤務となる。1997年に当時社長であった叔父が急逝したため海上自衛隊を退役し当社入社、2002年代表取締役就任、現在に至る。