
地域資源の循環を単なる環境保全にとどめず、いかに自立した事業モデルへ昇華させるか。株式会社プノントイと一般社団法人もりびとが千葉県長南町で展開する試みは、持続可能な商品開発の新たな地平を切り拓いている。
里山保全と商品開発を結ぶ新たなフィールドワークの幕開け
環境配慮と経済活動の両立が叫ばれる現代において、地方の自然資源に本質的な付加価値を宿す実践的な試みが動き出す。
森林の新しい価値創造を目指す株式会社プノントイと、千葉県で森林整備に取り組む一般社団法人もりびとは、2026年7月18日に千葉県長南町にて、里山の恵みを活用した商品開発を学ぶ1日限りのワークショップを開催する。
本イベントは、連続講座である「里山ネイチャーポジティブ実践講座」の第4回を単発の特別枠として開放するものである。参加者は名水百選に選ばれた「熊野の清水」が流れる豊かな自然環境に身を置きながら、アロマの蒸留体験や地域の食材を用いたかき氷作りを体験する。
最終的には、現地の課題をヒアリングした上で、それらをどのように市場へ届けるプロダクトへと変換するかを考案するグループワークまでを一貫して行う。知識のインプットに終始せず、体験から価値創造までを体系的に網羅したプログラムとなっている。
五感を刺激するアロマと食から市場価値を導き出す独自手法

他社の追随を許さない同取り組みの独自性は、単なる自然体験やマニュアル化されたセミナーではない。参加者の五感を徹底的に刺激した上で、それを具体的なビジネスアイデアへと昇華させる「体験型設計」の精度にある。
プログラムの前半では、里山から採集した森林素材をその場で蒸留し、アロマウォーターを生成するプロセスを直感的に学ぶ。さらに後半では、地域の清水や果樹を組み合わせたかき氷を参加者自身の手で作るプロセスが組み込まれている。
ここで重要なのは、体験の直後に各分野の先駆者によるビジネスレクチャーが連動している点である。ブランドの立ち上げからファン獲得にいたるまでの「事業のリアル」を、五感の記憶が鮮明なうちにインプットすることで、地域資源が持つ潜在的な市場価値を解像度高く捉えることを可能にしている。
環境保全を現代の社会価値へ変換する共生の思想
この取り組みの背景には、人と自然が共生する循環モデルを現代の文脈で再生するという、両団体の一貫した哲学が存在する。舞台となる長南町のフィールドには、絶滅危惧種が生息する湿原や放置された雑木林など、日本の地方が直面する課題が縮図として残されている。
「長い時間をかけて積み上げてきた価値と、それをどう伝承していくか」という問いに対し、彼らは単に立ち入りを制限して自然を保護する手法をとらない。五感で季節の移ろいを感じ、そこから得られた素材を人間の知恵で現代に最適化された価値ある商品へと変換する。
この関わり手の創出こそが、真のネイチャーポジティブに繋がると確信している。環境を維持するためのコストを、外部からの支援だけに頼るのではなく、自走する事業によって生み出す姿勢がその根底に流れている。
企業の新規事業へ応用できる関係人口を顧客に変える仕組み
本プログラムから企業が学び取れる最も大きな示唆は、関係人口を一時的な訪問者で終わらせず、自社の熱狂的なファンやプロダクトの共創者へと引き上げる仕組みの構築である。多くの地方創生プロジェクトや企業のCSV活動が、一過性のイベントで頓挫する中で、プノントイらは参加者を課題解決の当事者として巻き込む手法をとる。
現状の課題を提示した上で、最後には一人ひとりのアイデアに対して代表の吉成氏らが直接フィードバックを行う対話の場を用意している。これにより、参加者は「消費客」から「価値の生産者」へと意識が変革される。
地域資源や自社の環境アセットを魅力的なストーリーへと編集し、顧客と共にブランドを育てていくための実践的なフレームワークがここには凝縮されている。



