
茨城県常総市で飲食店を営む有限会社喜良久庵は、創業66年を迎える地域密着の店だ。蕎麦・うどん・丼物・定食など幅広いメニューを提供し、店内飲食だけでなくテイクアウトや出前にも対応する。長年守り続けてきた味と、時代に合わせた工夫。その両方で、地域に人の流れと笑顔を生み出している。
創業66年、常総に根づく「いつもの味がある場所」
茨城県常総市水海道栄町に店を構える有限会社喜良久庵は、昭和35年に設立された飲食店だ。地域の中で長く営業を続け、創業66年を迎える店として、蕎麦・うどん・丼物・定食など幅広いメニューを提供している。
喜良久庵の特徴は、単に昔ながらの味を守るだけではない。店内飲食に加え、テイクアウトや出前にも対応し、利用する人の生活に合わせた形で食を届けている。長年守り続けてきた味を大切にしながらも、時代の変化やお客様の声に合わせた工夫を取り入れている点に、地域で営業を続けてきた店ならではの姿勢がある。
同店が大切にしているのは、「いつもの味がある場所」としてあり続けることだ。5年後も変わらず地域のお客様に安心して来店してもらえる店であること。大きく店舗を増やすことだけを目的にするのではなく、長く愛される店づくりを積み重ねていくことを目標としている。
この言葉には、飲食店としての素朴で強い価値がある。地域に住む人が、日常の中で立ち寄れる。食事を通じて安心できる。特別な日だけでなく、いつもの生活の中にある。喜良久庵が目指しているのは、そうした存在であり続けることだ。
品質や量を落とさず、「お手頃な価格でお腹いっぱい」を守る
喜良久庵では、食材についても昔から地元企業との繋がりを大切にしている。安心して召し上がっていただけるものを使用し、地域との関係性の中で店づくりを続けてきた。
物価高が続く中でも、同店は品質や量を落とさないことを大切にしている。企業努力によって「お手頃な価格でお腹いっぱい食べていただくこと」を重視しているのだ。飲食店にとって、価格、品質、量のバランスを保つことは簡単ではない。それでも喜良久庵は、地域の人に満足してもらうことを軸に置いている。
ここに、同店の競争優位性が表れている。メニューの幅広さ、店内飲食・テイクアウト・出前への対応、地元企業との繋がり、そして価格と満足感へのこだわり。これらは派手な言葉では語られていないが、日々の営業の中で積み重ねられてきた強みである。
喜良久庵が提供するのは、蕎麦やうどんだけではない。丼物や定食も含めた幅広い食事の選択肢であり、地域の人がその日の気分や生活の都合に合わせて利用できる場でもある。長く通う人にとっては馴染みの味であり、初めて訪れる人にとっては、地域の食文化に触れる入口にもなる。
常陸秋そばへのこだわりと、思わず写真を撮りたくなるメニュー

喜良久庵が特に大切にしているものの一つが、地元茨城のブランドである常陸秋そばだ。同店は常陸秋そばを使い続けることを、生産者支援や地域産業の活性化にもつながる取り組みと捉えている。
「地元茨城のブランドである常陸秋そばにこだわり続ける」。この姿勢は、地域の飲食店としての役割とも重なる。食材を通じて地域との繋がりを持ち、その価値を食事として届ける。喜良久庵にとって、常陸秋そばは単なる商品ではなく、地域とともに歩む店づくりの一部なのだ。
一方で、同店は伝統だけにとどまらない。人気のカレー南蛮、厚切りカツ丼、さらに“食べたい”を全部のせた贅沢なよくばり3種丼など、思わず写真を撮りたくなるようなメニューづくりにも挑戦している。
このバランスが面白い。長年受け継がれてきた味を守りながら、来店した人が誰かに伝えたくなるメニューもつくる。昔から通う地域のお客様にも、遠方から訪れる人にも、「ここまで来る価値があった」と感じてもらえる一杯を目指している。
喜良久庵が大切にしているのは、ただ食事を提供することではない。「美味しかった」「また来たい」「誰かに紹介したい」と思ってもらえる時間をつくることだ。料理そのものに加え、店で過ごす時間や、食後に残る印象まで含めて、同店は飲食店としての価値を捉えている。
地域の飲食店が元気であることが、まちの活性化につながる
喜良久庵は、事業を通じて解決したい社会課題として、地域活性化を挙げている。地域の飲食店が元気であり続けること自体が、地域活性化につながる大切な役割だと考えているためだ。
近年、地方には人口減少や地域のにぎわいの低下、後継者不足などの課題がある。喜良久庵は、その中で営業を続け、お客様が集まり、地域に人の流れや会話、笑顔を生み出すことで、少しでも地域を盛り上げていきたいとしている。
飲食店は、食事をする場所であると同時に、人が集まる場所でもある。誰かと会う。会話が生まれる。いつもの店に足を運ぶ。そうした日常の積み重ねが、地域のにぎわいを形づくる。喜良久庵が地域の中で果たそうとしている役割は、まさにそこにある。
さらに同店は、創業から受け継がれてきた味や想いを守りながら、5年後、10年後も地域に必要とされる店として次の世代へつないでいくことを目指している。10年後には、次の世代へ想いと技術、地域との繋がりを受け継ぎ、さらに発展させていくことを掲げる。
将来的には、業態の異なる新たな店舗展開に挑戦する可能性も視野に入れている。飲食を通じて地域を盛り上げ、人が集まり、賑わいのある街づくりや商店街の活性化にも貢献できる存在を目指しているのだ。
「茨城まで食べに行きたい」と思われる店へ
喜良久庵が見据える未来は、地域の人にとっての「いつもの味」を守ることと、遠方の人にも「茨城まで食べに行きたい」と思ってもらえる店になることの両立である。
昔から通ってくれる地域のお客様を大切にしながら、遠方から訪れる人にも価値を感じてもらう。そのために、常陸秋そばへのこだわりを守り、カレー南蛮や厚切りカツ丼、よくばり3種丼といったメニューづくりにも取り組む。守るべきものと変えていくものを見極めながら、店として進化を続けている。
創業65年、そして創業66年を迎える中で、喜良久庵は地域の皆様に支えられながら歩んできた。これからも地域を元気にする店として、笑顔と美味しさを届け続けることを目指している。
飲食店の魅力は、数字や規模だけでは測れない。そこに行けば、いつもの味がある。お腹いっぱい食べられる。誰かに紹介したくなる。地域の中に人の流れや会話が生まれる。喜良久庵の歩みは、そうした飲食店の根源的な力を改めて感じさせる。
常総の地で66年。喜良久庵は、長く愛される店づくりを重ねながら、地域とともに歩み、未来へ繋ぐ店であり続けようとしている。




