
眼鏡は毎日顔にかけるものだ。それなのに、洋服や靴のようにサイズを選べる機会は多くない。グラスファクトリーは、レンズのパーソナル化に取り組む中で見えてきたフレーム側の課題に向き合い、3Dプリント技術を活用したメガネフレームブランド「GLAFU」を展開している。
レンズを生かすために、フレームも個に合わせる
眼鏡を選ぶとき、多くの人はデザインや色を見て、自分に似合う一本を探す。もちろん、それは大切な要素だ。しかし、毎日使う眼鏡において、本当に重要なのは見た目だけではない。眼とレンズの位置関係、フレームの掛かり方、顔へのフィット感。そうした要素が、レンズ本来の性能にも関わってくる。
グラスファクトリーの店舗では、Carl Zeissの測定機器や両眼視機能検査を取り入れ、一人ひとりの眼や生活に合わせたオーダーメイドレンズの提案に力を入れてきた。視力を補うだけでなく、その人の暮らしや仕事、日々の快適さに合う眼鏡を提案する。その積み重ねの中で、同社が感じたのがフレーム側の課題だった。
レンズは個別に考えられる。一方で、そのレンズを支えるフレームは、ワンサイズで展開されていることが多い。顔に合わない部分は調整で何とか合わせるケースもある。だが、フレームが顔に合っていなければ、本来狙った見え方に近づけることは難しくなる。
「レンズはここまで個別に考えられるのに、フレームはなぜワンサイズが多いのか」。その違和感から生まれたのが、メガネフレームブランド「GLAFU」である。
小売の現場で見えた違和感を、自社の製造力で形にする
グラスファクトリーの特徴は、小売部門だけにとどまらない。自社でフレームを企画・製造できる製造部門を持っている。製造部門では、バッファローホーンやシープホーンなどの天然素材を活用したメガネフレームのOEMやブランドの卸を、全国の百貨店を中心に展開している。
つまり、店舗で顧客と向き合う中で見えてきた課題を、製造の力で商品化できる体制がある。GLAFUもまた、そうした小売と製造の両方の現場から生まれたブランドだ。
GLAFUは、「3Dプリント眼鏡を作ろう」という発想から始まった商品ではない。出発点にあったのは、グラスファクトリーの店舗でレンズのパーソナル化に取り組む中で感じたフレーム側の課題である。
洋服や靴にはサイズがある。ところが、毎日顔にかける眼鏡には、まだサイズ展開が少ない。同社はそこに、眼鏡業界の課題があると捉えている。GLAFUは、その前提を見直すための取り組みだ。
3Dプリント技術を活用することで、顔や掛け位置に合ったフレーム提案を目指す。小ロットでサイズ展開しやすい3Dプリントの特性を活かし、必要な人に、より合うものを届けるものづくりを進めている。

「視る体験を更新する」というビジョン
グラスファクトリーが掲げるビジョンは、「視る体験を更新する」だ。
眼鏡は、ただ視力を補う道具ではない。その人の暮らしや仕事、日々の快適さに深く関わるものだと同社は考えている。だからこそ、レンズだけでなくフレームも含めて、一人ひとりに合った眼鏡提案を深めていこうとしている。
まずはグラスファクトリーの店舗で、パーソナルレンズとGLAFUをはじめとしたパーソナルフレームを組み合わせた提案を確立していく。レンズをその人に合わせるなら、フレームもその人に合わせるべきだという考え方である。
この視点は、眼鏡を単なる商品として見るのではなく、使う人の体験として捉えるものでもある。見え方、掛け心地、日々の快適さ。それらを一体として考えることで、眼鏡提案のあり方を変えていく。
将来的には、店舗で得た知見や商品を全国の眼鏡店にも広げ、「個に合わせる眼鏡提案」が業界の新しい当たり前になることを目指している。
必要な人に、より合うものを届けるものづくり
GLAFUの取り組みは、眼鏡の快適さだけを追求するものではない。同社は、必要な人に、より合うものを届けるものづくりを目指している。
多くのフレームが一つのデザインに対して一つのサイズで作られている中、合わない部分を調整で合わせるだけでは限界がある。顔に合うフレームを選びやすくすることは、レンズの性能を生かすうえでも重要になる。
また、小ロットでサイズ展開しやすい3Dプリントの特性を活かすことで、過剰在庫に頼りすぎず、一人ひとりに合う眼鏡を必要な形で届けることにもつながる。同社は、この考え方が「すべての人に健康と福祉を」や「つくる責任 つかう責任」といったSDGsの考え方にもつながる取り組みだとしている。
GLAFUが見直そうとしているのは、「眼鏡はワンサイズが当たり前」という前提だ。レンズをパーソナルにするなら、フレームもパーソナルであるべき。その考え方を、店舗での提案と自社の製造力を通じて形にしている。
眼鏡を選ぶことは、自分に似合うデザインを探すことだけではない。自分の眼や生活、顔への掛かり方に合うものを選ぶことでもある。グラスファクトリーは、GLAFUを通じて、“視る”体験そのものを少しずつ更新しようとしている。




