ログイン
ログイン
会員登録
会員登録
お問合せ
お問合せ
MENU

法人のサステナビリティ情報を紹介するWEBメディア coki

実践型就活&キャリアデザインゼミナールReaL

https://real-future9.com

テクニックを教える就活ゼミではなく「チームで生きる力」を育くむ場づくり。学生と企業、双方が共創する、西村武士の人材育成論

ステークホルダーVOICE 未来世代
リンクをコピー

個の時代に警鐘を鳴らす。

西村武士さん
提供:メグラボ

「最近の若者は……」 いつの時代も繰り返されるこの言葉だが、アフターコロナの今、企業人事と学生の間には、かつてないほど深く、静かな断絶が広がっている。

「チームワークの経験がない学生」と「選ばれるために迎合してしまう企業」。このループに一石を投じ、約22年にわたり学生と企業の双方に向き合い続ける男がいる。株式会社メグラボ代表取締役、西村武士だ。 彼が主宰する「実践型就活&キャリアデザインゼミナールReaL」は、単なる内定獲得のための就活ゼミではない。そこは、現代の若者が失いつつある「チームで成果を出す力」つまり、リアルな人間関係と調整能力を体験型でインストールする、現代の松下村塾とも言える場所だ。なぜ今、あえて組織・チームなのか。そして、各企業が本当に取り組むべき「育成」とは何か。西村氏の哲学に迫る。

 

「個」の暴走と、失われた「察する力」

西村武士さん 就活実践塾Real
セミナーの様子

「ここ数年の学生の特徴を一言で言うと、『安定を求めた不安定』。これに尽きます」 西村氏は開口一番、現代の学生気質の変化についてそう語った。

コロナ禍を経て、生活の多くがオンライン化され、大学生も同様に、キャンパスというリアルな共同体での人間関係が希薄化した。それに呼応するように、SNS上では個人の主張が溢れかえる。InstagramやXやなどで発信、拡散された意見が「正義である」という価値観が、中高生時代から当たり前の世代を日々観察すると、社会人としての基礎的な振る舞いに顕著に表れていると西村氏は語る。

「新人研修の現場でこんなことがありました。例えば電話応対です。電話がかかってきた際、取り次ぐ新人が『西村、電話です』と呼び捨てで社長に取り次ぐ。悪気はないんです。『そう名乗ったから、そのまま伝えただけ』という感覚。相手との関係性を察する、という回路が、チームで動いた経験が希薄なため、非常に見えにくくなっています。かつて日本社会のお家芸であった「空気を読む」「行間を読む」「察する」といったハイコンテクストなコミュニケーション能力を得ることなく、AIにエントリーシートを任せ、面接ではYouTubeを参考に内定を獲得し、そのまま社会に出てしまうのです。」と、西村氏は指摘する。

 

「ReaL」という名の“社会の縮図”

就活実践塾Real
Realの学生たち

こうした現状に対し、西村氏が2012年から運営している大学生コミュニティ「実践型就活&キャリアデザインゼミナールReaL」は、安心・安全なコミュニケーションとは何か。それを元にチーム活動を実践しながら体験で学習できる場作りをしている。もともと、西村氏が2005年からボランティアで団体を形成。7年後に事業化し、現在、全国8地域(新潟・群馬・茨城・東京・京都・島根・山口・福岡)で展開し、約80名の学生が在籍。これまでに約1,300名の卒業生を社会に送り出してきた。

このコミュニティの最大の特徴は、徹底した実践と自律にある。就活ゼミと銘打ってはいるが、エントリーシートの書き方のみならず「何故エントリーシーがあるのか」を考察し本質を解く。また、面接に関しても「相手にどう伝わったか」という視点でフィードバックを行い、「正解ではなく自分のことを伝わるように話す」という練習を繰り返す。

所属学生は各地域のチームに所属し、1年間でスローガンとマイルストン(チームに新規で採用する学生指標)を掲げ、その達成に向けて、ReaL内の各種プログラムを手段として使い、チームを創り上げる。「ReaL Cafe」と呼ばれる月1回の定例プログラムでは、学生自身がコンテンツを企画決定し、さらにファシリテーターも務める。また、地域の学生と企業の出会いを創出する大規模イベントでは、地元の企業へ学生自らが法人営業を体験し、「相手目線」でイベント全体も企画運営実行する。

例えば、新潟ReaLでイベントを開催する場合、参加企業数、学生動員数を自主的にゴール設定し走り出す。地元の企業は、学生の「現実」を知ることができ、当日の関わりや対話の中で、信頼・信用という「つながり」が形成される。イベントに参加した大学生は、偶像であった「リアルな社会人」と関わることで自らのキャリア形成の材料となり、職業選択の量と質が増加する。そして、運営しているReaLの学生は、「仕事とは何か」を企業への法人営業から実際の企画・運営という一連のプロジェクトを経験することで、仕事の面白さ、大変さ・厳しさを肌で実感することになる。この三方良しの「共創の場」を創り上げているのである。

企業からいただいた参加費は、プロジェクトメンバー全員で、ビジネスパーソンが使用する文房具や服装小物を購入したり、敷居の高い料理店や旅館で、一流のおもてなしとは何かを体験したりする。このPL(損益計算書)感覚と意思決定のプロセスこそが、座学では学べない「リアルな社会体験」となる。

「最近は『ガクチカ(学生時代に力を入れたこと)』を作りたいという動機で入ってくる学生も増えました。それでいいんです。大学の講義や部活、サークル活動が形骸化し、語れるエピソードがないことに焦りを感じている学生たちにとって、ReaLでのチーム活動は、最強の原体験になります」

さらに、ReaLでは、「人と関わり続けることが学びである」という信念を持つ地元の企業や団体がスポンサーとして、ReaLの通常の活動に関わり続けている。 このような経験を得たReaLの学生は、キャリア選択の場でも言葉の重みが変わる。結果として、ReaLの卒業生は、多方面の業界・職種で活躍し、民間企業のみならず公務員や教員、また、特殊な仕事であるアナウンサーやパイロットなども輩出し、個人の個性や「やりたい」を実現し、社会でさらに飛躍する力を付けることができるのである。

社会の甘えと「共創のミスマッチ」

就活実践塾Real
セミナーの様子

視点を企業側に移そう。空前の採用売り手市場と言われる現在、パワーバランスは完全に学生優位に逆転した。学生に選ばれない企業はブランドイメージだけでなく、一気に売上にも影響してしまうという強迫観念から、企業はどうしても小手先の採用戦術に走りがちだ。初任給の引き上げ、風通しの良さのアピール、手厚い福利厚生……。

「各メガ大手企業が初任給を大幅に上げたと話題になりましたが、給与だけ上げても本質的な解決にはなりません。学生に良い面ばかり見せて採用したとしても、リアリティショックですぐに辞めてしまう。『聞いていた話と違う』『思ったより成長できない』。そんなことが理由なの?という、なんとも簡単な理由で離職してしまう現状があります。」

西村氏は、この現象を「共創のミスマッチ」という言葉で表現した。

「入社後3年ほどでようやく戦力になり、採用・育成コストを回収できるようになる。しかし、毎年10人採用しては数1~2年で8割が辞めていく現状になっている企業が増殖しています。これは、そもそも採用の在り方や定義が変化しており、採用の常識が変わったのだと思います。そもそも、企業が一方的に獲りに行く、見極めるという場ではなく、就職活動の長期化のなかで「共に対話やコミュニケーションをするなかで、お互いが共に創り上げ成長できるか」を確認して関わりながら確認していく場になっています。」

採用数という数を追うだけで、入社後の定着と活躍にコミットしきれていない。何という勿体なさ。それは、穴の空いたバケツに水を注ぎ続けるようなものだ。

「採用して終わりではない。そこからどう育てるか。そして、企業全体も社員と「一緒に」どう生きるのか。学生が変わっただけでなく、企業側の「採用の概念」を変えて活動しなくてはならないのです」

 

メグラボの流儀:オーダーメイドの「人材育成」

そこで、西村氏が代表を務める株式会社メグラボが提供するのが、ReaLの学生が企業のオープンカンパニーを企画・実行・運営する共創プログラムだ。世の中で唯一無二のプログラムは、学生側から見た実施企業の「強み」を徹底的に言語化し、学生視点でオープンカンパニーを企画し、実行する。「役員や採用担当が思っている強み」ではなく、「学生側から見た自社の強み」をベースにオープンカンパニーを実行することにより、企業の本質が参加学生に伝わり、信頼・信用を得られる場が醸成されブランドイメージが上がるという画期的なプログラムだ。

「学生のことを一番知っているのは、私でも採用担当でもない。学生です。なので、学生が思っていること、感じていることを強烈に打ち出し、個性あるオープンカンパニーを実行します。実行する学生にとっても、オープンカンパニーを企画するという経験は唯一無二のものになるでしょう。企業にとっても、今まで盲目であった「学生側から見た自社の強み」に触れていただき、今後の広報や採用活動に活かしていただける材料集めになります。」

現在まで行われたこの共創プログラムでのオープンカンパニーは、「実際の朝礼体験」「社長とアフタヌーンティー」「社員さんとバスツアー」「社会人×学生のスポーツ大会」など、奇抜で個性のあるもの数知れず。結果的に採用にも至っているケースが多数ある。

教育と社会をつなぐエコシステム

西村氏のビジネスモデルのユニークな点は、企業向けの「BtoB事業(株式会社メグラボ)」と、学生向けの「BtoC事業(ReaL)」が、相互に補完し合うエコシステムを形成している点にある。人材紹介はやらずに、企業と学生がお互いに関わり続け対話する「場づくり」を行うことにより、本質的なシナジーが生まれるのだ。

そして、西村氏が見据えるのは、このような枠を超えた、「チーム・日本」の構築だ。

「日本という国もまた、一つの大きなチームです。社会全体がチームとして機能するためには、個々人が『己は何者か』を知り、役割を全うし、他者と協働する喜びを知らなければなりません。ストレスなく、チーム・組織の面白さ、楽しさ、ワクワク感。それを楽しめる人を増やしたい」

就職活動はゴールではない。採用もゴールではない。それは社会という終わりのないチーム戦へのエントリーに過ぎない。

学生も、組織も、今こそ「社会の大切さ・組織の素晴らしさ」を共に創り上げるという姿勢が必要だ。西村武士の挑戦は、歪んでしまった人との関わりを、あるべき姿――すなわち「ReaL(本物)」な姿へと戻すための、本気でアツい闘いなのかもしれない。

2026年6月27日記事修正

プロフィール 西村 武士(にしむら・たけし)

株式会社メグラボ 代表取締役/実践型就活&キャリアデザインゼミナールReaL代表。 2000年成蹊大学卒業後、トヨタ東京カローラ株式会社に入社しトップセールスを記録。その後、株式会社インテリジェンス(現パーソルキャリア株式会社)にて3000名の転職支援。株式会社コーチ・エィにてグループ採用統括を経て、2012年に独立。採用・育成・組織コンサルティングと同時に、実践型就活&キャリアデザインゼミナールReaLを15年にわたり主宰。これまでに約1,300名の卒業生を全世界に輩出している。

Tags

ライター:

株式会社Sacco 代表取締役。一般社団法人SHOEHORN理事。週刊誌・月刊誌のライターを経て2015年Saccoを起業。 連載:日経MJ・日本経済新聞電子版『老舗リブランディング』、週刊エコノミスト 『SDGs最前線』、日本経済新聞電子版『長寿企業の研究』

関連記事

タグ

To Top