
モデルプレス運営元のネットネイティブが、日本レコード大賞の審査中にレコード会社へ最大1500万円の広告を提案していた。松下佳憲社長は同賞の審査委員を務める。文春オンラインが11月7日に報じた。
ネットメディアから初の審査委員 松下氏ら2人
主催する日本作曲家協会は、2026年度事業計画書で第68回日本レコード大賞の審査会を9月に始める日程を示していた。
主要部門の審査委員は従来、新聞記者や評論家、TBS系列局の局員らが務めており、今年の23人のうち、ネットメディアから初めて選ばれたのが松下氏と「音楽ナタリー」の編集長の2人だった。
ネットネイティブはモデルプレスで芸能やライフスタイルのニュースを配信し、企業向けのPR企画や記事・動画制作、タレントの起用も手がける。同社の公式サイトによると、モデルプレスの月間閲覧数は1億6500万PVだ。
年間750万〜1500万円 1000万円のプランを推奨
審査期間中、ネットネイティブは複数のレコード会社にタイアップ広告を提案。文春が入手した資料では、契約期間は1年。税別で「ENTRY」が750万円、「STANDARD」が1000万円、「PREMIUM」が1500万円だった。インタビュー記事の本数や特設ページ、動画制作などの内容によって料金が異なり、1000万円のプランが推奨されていたという。
資料の右上には、提案とレコード大賞の審査は無関係だとする注記があった。文春の取材に応じたレコード会社関係者は、モデルプレスとのタイアップ広告は以前にもあったが、今回ほど高い広告料を提示されたことはなかったと話した。注記を見て、かえって審査との関係を疑ったという。
10月23日に協会が事情を聴く ネットネイティブは同日に営業停止
この広告提案を巡り、レコード会社から日本作曲家協会に情報が寄せられたと文春は伝えている。10月23日の審査会の直前、協会幹部と一部の審査委員は松下氏を別室に呼び、事情を聴いたという。
ネットネイティブは文春の取材に広告提案を認め、レコード会社向けの営業は同日に全面停止したと答えた。取材時点でも停止を続けており、契約に至った会社は0社で、金銭の授受もなかったという。
同社によると、提案は10月に始まる自社の新年度に向けたもので、審査の日程に合わせたものではなかった。時期が重なったことについては「配慮を欠くものであり、深く反省しております」と回答した。
松下氏については、審査委員に就任した時点からレコード会社との商談に同席しない方針で、審査委員の立場を使って取引を持ちかけた事実はないとした。同社は、次に審査に関わる場合、審査期間中はレコード会社への営業提案を控えることを社内ルールとして徹底する考えを示した。
第68回レコード大賞 最終審査は12月30日
日本作曲家協会の実施要項では、大賞の審査対象は優秀作品賞に選ばれた10作品だ。作曲・作詩・編曲の芸術性や独創性、企画性に加え、歌唱や大衆の支持、その年を代表する作品かどうかが基準となる。
第68回の最終審査は12月30日に新国立劇場中劇場でおこなわれ、TBSで放送される予定だ。



