
JCOM株式会社が23日に発表したニュースリリースによると、障害が発生したのは同日午前8時55分頃から午後6時頃まで。影響エリアは「全国の一部」とされ、午後8時に全サービスの復旧を確認したという。祝日の朝から夕方まで、およそ9時間にわたってインターネットが使えない、または使いにくい状態が続いたことになる。
同社のサポート窓口の公式アカウントであるJ:COMサポートは、Xで「現在、J:COM NETのインターネット接続がご利用できない状況が発生しております」と告知した。あわせて、カスタマーセンターへの問い合わせも障害の影響でつながりにくいと明かしている。この投稿の表示回数は、本稿執筆時点で950万回を超えた。
対象はJ:COM NET・J:COM MOBILE・J:COM TVなど 原因は「調査中」
リリースによれば、影響を受けたのはJ:COM NETのインターネット接続(J:COM NET 光 on auひかりを除く)にとどまらない。J:COM TVの双方向サービスやネット動画配信の利用、格安スマホ「J:COM MOBILE」のインターネット接続、さらに同社が取引するケーブルテレビ事業者向けのインターネットサービスにも及んだ。
一方で、障害の原因については「調査中」とするのみで、影響を受けた利用者の数も示されていない。同社は障害が起きた設備への対処はすでに完了したとし、なお使いにくい場合はJ:COM機器の再起動を試すよう呼びかけている。原因の究明と再発防止策の検討も進めるとしている。
「地域も書いていない」X公式の第一報に向いた厳しい視線
障害そのもの以上に利用者の不満を集めたのが、情報発信のあり方だった。
J:COMサポートの第一報について、ある利用者は「1時間半かけて出せた内容がこれ?地域がどこかもないし」と投稿し、一般人がSNSで情報を共有するほうが早いと、通信インフラ企業としての姿勢を問うた。同アカウントの告知は最終更新時刻が午前10時24分と表示されており、障害発生からの時間差が不信を招いたかたちだ。
自宅の機器の故障を疑った人も少なくない。発熱していた家族がネットを使えず、ルーターや端末の再起動を繰り返したという利用者は「ルーター不具合かと思ったらJCOMの障害かよ!」と嘆き、乗り換えを検討し始めたと明かしている。ずっとコンセントを抜き差ししていた時間を返してほしいという、半ば自嘲気味の声もあった。早い段階で障害の範囲が示されていれば、こうした無駄な対処は避けられた可能性がある。
返金や日割り補償を求める声 約款の「ベストエフォート」に疑問も
補償をめぐる議論も起きている。
ある利用者は、利用規約上、通信の維持は努力義務にとどまり、返金の規定もないと指摘。海外では通信事業者が障害時に返金している例があるとして、日本は「直すの頑張るよ」で終わると皮肉った。この投稿には1500件を超える「いいね」が集まっている(海外事例に関する記述は投稿者の主張であり、本稿では確認していない)。
別の利用者は「日割りでお金返して欲しい」と訴え、回線の障害が多くサポートも遅いと、サービスそのものへの不満を吐露した。メールなどで利用者へのお詫びがあってもよいのではないかという声も上がっている。
現時点でJCOM株式会社のリリースに、料金の減額や返金についての言及はない。
総務省への報告と情報受付フォーム 重大事故該当の有無が焦点に
今回の障害が、電気通信事業法上の「重大な事故」に当たるかどうかを気にかける声もある。同法は一定規模以上の事故について、事業者に総務省への報告を義務づけている。ある利用者は現場の労をねぎらいつつ、総務省への報告は済んでいるのかと問いかけ、原因究明と再発防止の徹底を求めた。ただし、影響を受けた利用者数が公表されていない以上、該当するかどうかは現時点では判断できない。リリースにも総務省への報告に関する記載はない。
また、企業に苦情を送っても体質は変わらないとして、総務省の「電気通信サービスに関する情報受付フォーム」への情報提供を呼びかける投稿も見られた。同フォームは、携帯電話やインターネット接続サービスなどの利用者保護を目的に、トラブルや苦情の情報を受け付けるものだ。寄せられた情報は法令違反の調査や苦情の分析などに使われ、希望すれば事業者への伝達も行われる。ただし、個別の対応状況については回答しないとしている。
通信インフラを担う事業者に問われる説明責任
批判一色というわけではない。復旧にあたった作業員には頭が下がると記したうえで、会社の体制やサポート部門の姿勢は真摯に受け止めてほしいと求める声もあった。自社網に依存しないバックアップ回線などのリスクヘッジや、より早い情報開示が必要だという指摘である。
在宅勤務やオンライン学習、動画視聴まで、家庭のインターネット回線はもはや電気や水道と並ぶ生活の基盤となった。障害をゼロにすることは難しい。だからこそ、何が起きているのか、どこまで影響が及んでいるのかを速やかに伝えることが、利用者の不安と無駄な手間を減らす最善の手立てとなる。
JCOM株式会社が今後、原因と影響の規模をどこまで具体的に説明し、どのような再発防止策を示すのか。利用者の信頼を取り戻せるかどうかは、その中身にかかっている。



