初任給「0円」の奴隷労働をミャンマー人女性に強いる強欲さ

9月11日、東京地裁で下された判決が、外食業界に衝撃を与えた。人気ラーメンチェーン「三ツ矢堂製麺」を運営する株式会社インターナショナル・ダイニング・コーポレーション(中村清彦社長・CEO)に対し、外国人労働者への違法な給与天引きを認定し、約100万円の支払いを命じたのだ。
1日17時間労働を耐えた「叩き上げ社長」が教え込んだ、現代の奴隷扱い
特定技能ビザを取得し、2025年1月に意気揚々と来日したミャンマー国籍の女性。契約上は基本給や手当を含め月給約25万円(手取り想定約18万円)が支払われるはずだった。しかし、会社側は社宅の敷金・礼金、家電代などを理由に過剰な天引きを強行。その結果、女性に届いた給与明細の振込支給合計には、残酷な数字が並んだ。
- 3月支給: 0円
- 4月支給: 約4万円
- 5月支給: 約12万円
来日からの3カ月間で手にできた賃金は幾ばくも無い。日々の食事や水すら買えない極限状態に追い込まれ、女性は6月に退社を余儀なくされたという。
原告弁護士が「特定技能制度では転職が容易でない弱みにつけ込んだ不当で非人道的な扱いだ」と糾弾した通り、会社側は彼女を逃げられない状況に追い込み、まともな金銭を支払う餓死寸前の状態に置いた。地裁も「違法性が顕著」と一蹴し、会社側に約100万円の支払いを命じている。東京地裁は判決で「違法性が顕著」と一蹴。「生命を維持するための必要最低限の食事や公共料金の支払いさえも事欠く極限的な状態に置かれた」と会社側の非人道性を厳しく指弾し(※会社側の請求も一部認められ、女性にも約6万円の支払いが命じられている)。
海外掲示板で大炎上「二度と行かない」「現代の年金奴隷だ」
実際に、この暴挙は国内にとどまらず、英語圏の海外掲示板Redditなどでも速報され大炎上。「現代の奴隷契約(indentured servant contracts)そのものだ」「二度とこの店には行かない」「日本の制度を悪用して外国人労働者を酷使するブラック企業」と、海外のネットユーザーから大激怒の声と不買運動の呼びかけが殺到している。
かつてメディア「飲食の戦士たち」のインタビューで、同社の中村社長は自身の駆け出し時代をこう振り返っていた。 「給料はほとんど取れません。それでいて1日17時間、ほぼ年中無休の労働です(笑)」
自分が苦労したからといって、夢を持って来日した外国人労働者にまで「初任給0円」のタダ働きを強要するとは、実に感服するほど一貫した“根性論”である。自らが味わった苦難を、現代の奴隷労働として異国の若者に再現させるとは、なんと悪趣味な教育方針だろうか。
「海外志向」の創業者が自ら引き起こした「日本の評価を失墜させる暴挙」
法政大学からベンチャーの雄「ABCマート」の新卒一期生としてキャリアをスタートさせた中村社長。海外生産部門への配属経験を持ち、早くから「海外志向」を掲げて「世界に挑むカッコイイ経営者」としてメディアにスポットライトを浴びてきた。
自社ホームページで「新たな食のシーンを創造する」と謳い、マレーシアやマニラなど海外進出も意欲的に進めてきた同社。しかし、その足元で創り出したのは、食文化の創造ではなく「外国人労働者からの凄絶な搾取のシーン」だった。
百歩譲って日本人相手に根性論を打つならいざ知らず、せっかく日本に興味を持ち、来日してくれている外国人相手に働く横暴である。どれだけ、日本の悪評を世界で巻くことにつながっているか、その大罪たるや仮にどれだけラーメンが美味くとも比するものなく、万死に値するといってよかろう。
この度、外国人労働者の就労制度が大きな見直しを迫られているが、その元凶こそ、まさにこうした悪質極まりない行為を働く企業の存在だといえる。「日本へ行けばタダ働きさせられる」という劣悪な実態を世界に発信し、海外からの日本の信頼を徹底的に失墜させた罪は重い。
日本の顔に泥を塗る悪辣企業に未来なし
かつて「背水の陣」で成功を収めたという中村社長だが、今回ばかりは完全に一線を踏み越えた。人を人とも思わぬ奴隷扱いで国際的信用を失墜させ、日本の治安や労働環境の見直しにまで悪影響を及ぼした暴挙は絶対に許されるものではない。
「一度は食べに行きたい」と評されたこだわりのつけ麺も、その裏で泣かされた外国人労働者の犠牲の上に成り立っていたと思うと、甚だ腹立たしい。
海外からの評価を貶め、懸命に働く若者を食い物にするような最低のラーメン屋である。本当に悔い改めるのでなければ、さっさと市場から潰れて消え去るべきである。実際に同社は判決を受け、「今回の判決を重く受け止め、改めて労務管理体制を確認するとともに、今後より一層の法令遵守を徹底し、同様の問題を生じさせることのないよう努めてまいります」とコメントしている。
本当に変われるのだろうか。我々はこの暴挙をそうやすやすと許してはならない。



