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アルファード“バブル”崩壊か 中古価格150万円下落、「高く売れる車」という安心に変化

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アルファード
DALLーEで作成

「高いけれど、売るときも高い」。トヨタ「アルファード」が高価格帯のミニバンでありながら、多くの人に選ばれてきた理由の一つが、この安心感だった。ところが、その前提が少し揺らぎ始めている。中古車検索サイトに掲載された在庫は、約2年前の400台程度から2026年9月3日時点で2313台まで増加。中古車価格も2025年には一時、約150万円下落したとテレビ朝日が報じている。

アルファードに起きているのは、単なる中古車価格の値下がりなのか。それとも、「高く買っても損をしにくい車」というイメージそのものが変わり始めているのか。

 

「欲しくても買えない」が価格を押し上げた

現行アルファードは2023年6月に発売された。発売当初から人気が集中し、新車をすぐに手に入れにくい状態が続いた。そこで起きたのが中古車への需要集中だ。新車は待たなければ買えない。しかし中古車なら在庫さえあればすぐ乗れる。結果として中古車価格が上がり、一部では新車価格を上回るケースも生まれた。つまり当時の価格には、車そのものの価値だけでなく、「今すぐ手に入る」という希少価値も上乗せされていたことになる。

その状況はいま変わりつつある。発売から3年が経ち、初回車検を迎える車が増える時期に入った。買い替えや乗り換えで手放される車も出やすくなる。かつては「欲しい人に対して車が少なすぎた」市場に供給が戻り始めており、在庫が5倍を超えて増えれば、価格が落ち着いていくのは不自然ではない。

 

アルファードは「高く売れるから買える車」だった

アルファードの人気を支えてきたのは、高級感や居住性だけではない。数年後に売ったときの価格、いわゆるリセールバリューの高さも大きかった。たとえば700万円で買う車でも、数年後に高値で売れると考えれば、購入時の心理的な負担は小さくなる。「700万円を使う」というより、購入価格と売却価格の差で負担を考えやすくなるためだ。

中古価格が上昇している間は、この心理がさらに強くなる。「アルファードなら値崩れしにくい」「高く買っても損をしにくい」という期待が購入を後押しし、人気が高まる。その人気がまた中古価格を支える。価格の高さそのものが、逆に安心材料として働いていたわけだ。

 

値下がりすると「急いで買う理由」がなくなる

ところが中古価格が下がり始めると、同じ心理が逆向きに働く。たとえば600万円の中古車を検討していて、ここ数カ月で価格が下がっていると知れば、「もう少し待てば安くなるのでは」と考える人が出てくる。在庫も多ければ、以前のように「今買わなければ次がない」という状況でもない。買い手が待てば在庫は残り、販売店は価格を調整する。その値下がりを見て、さらに買い手が待つという流れも起こり得る。

一方、中古でアルファードを買いたかった人には追い風だ。色やグレード、走行距離を比較して選びやすくなり、「見つけたらすぐ買わなければ」という焦りも薄れる。同じ値下がりでも、すでに所有している人と、これから買う人とでは意味がまったく違う。

 

「残クレ」がアルファードを身近にした

アルファードをめぐってよく聞く「残クレ」は、正式には「残価設定型クレジット」という。数年後の車の価値をあらかじめ残価として設定し、その金額を最後に残して、それ以外を分割で支払う仕組みだ。たとえば500万円の車で3年後の価値を200万円と設定すれば、500万円すべてを3年間で払うのではなく、200万円を残した状態で毎月の支払いを組める。

ポイントは、高価格の車でも「総額」ではなく「月々いくらか」で考えやすくなることだ。700万円、800万円という価格だけを見れば手が届かないと感じても、月額で示されると現実的に感じる人はいる。ただし、残クレを使えば車そのものが安くなるわけではない。また今回の在庫増加や価格下落が、「残クレで買った車が一斉に返却されたため」と確認できるデータもない。残クレは購入のハードルを下げる仕組みではあるが、今回の相場下落の直接的な原因とみるのは早い。

 

本当に揺らいでいるのは「値段」より「期待」

中古価格が下がったからといって、アルファードの人気そのものが急になくなったわけではない。むしろ、新車が買えず中古車に新車以上の価格がついていた状態の方が特殊だったともいえる。そう考えれば、現在起きているのは“バブル崩壊”というより、高騰していた相場が通常の状態へ戻っている途中なのかもしれない。

ただ、価格以上に重要なのは消費者の期待だ。アルファードはこれまで、「高くても売るときも高い」という前提によって購入しやすい車でもあった。その期待が弱まれば、購入判断も変わる。「売るとき高いから買う」のではなく、「この価格を払ってでも乗りたいから買う」。在庫5倍超という数字が示しているのは、中古車が増えたことだけではない。アルファードを支えてきた「高く売れる車」という安心感が、これからも続くのか。その分岐点に市場は差しかかっている。

 

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ライター:

Webライター。きれいごとだけでは済まない現実を、少し距離を置いて綴っています。

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