
NHKスペシャル「潤日の肖像 日本に向かう“中国”」をめぐり、中国人実業家の張ケンケン氏が、番組側から出演打診を受けていたとXで明かした。張氏はNHK側から「中国人への固定観念を変えられる」などと説明されたと主張している。一方、同番組に出演していた藍沢鵬程容疑者は、入管難民法違反容疑で妻のオリビア容疑者とともに逮捕された。番組の取材・出演者選定をめぐり、SNS上で批判が広がっている。
張ケンケン氏がNHK「潤日」出演打診を証言
中国人実業家の張ケンケン氏(@wonyoung_ou)は6月19日、NHKスペシャル「潤日の肖像 日本に向かう“中国”」のディレクター陣から出演打診を受けていたとXに投稿した。
投稿によると、張氏はNHK側と話した際、「錢庄」が貿易の対敲方式を通じて人民元を円に換金する仕組みや、その過程でマネーロンダリングに利用される資金が混入する可能性について説明したという。
その後、NHK側から番組出演を誘われたとし、「君たちのビジネスを宣伝できる」「大衆の固定観念を変えられる」といった趣旨の説明を受けたと主張している。
錢庄とは、もともとは中国の伝統的な民間金融業者を指す言葉だが、現代では正規の銀行ルートを通さずに両替や海外送金を行う非公式金融ネットワークを指して使われることがある。中国の外貨規制を回避する資金移動や、犯罪収益の移転、マネーロンダリングに利用されるケースもあるとされる。
投稿には、NHKロゴ入りの名刺2枚の画像も添えられていた。名刺上には「日本放送協会」「報道局」「政経・国際番組部(国際)」「報道番組センター 社会番組部」「ディレクター」などの表記が確認できる。
「固定観念を変える必要はない」張氏が出演を断った理由
張氏は投稿で、NHK側の出演打診を断った理由も説明している。
張氏は錢庄について、中国の為替管理制度から生まれたものだとしたうえで、その周辺に違法行為に関わる人物が混在しているとの認識を示した。さらに、中国人へのステレオタイプな印象について「正しい」とし、距離を置くべきだと述べている。
また、NHKが他にどのような人物を番組に呼ぶのかについても懸念があったと投稿した。張氏は、自身がそうした出演者と同じ画面に出ることへの抵抗感も、出演を断った理由として挙げている。
投稿では、同番組に出演した藍沢鵬程容疑者にも言及した。藍沢容疑者は、中国から帰化し、中国富裕層の日本移住支援に関わる人物として紹介されていた。張氏の投稿は藍沢容疑者の逮捕報道後に拡散され、SNS上ではNHKの出演者選定に対する批判と結びついて広がった。
出演した藍沢鵬程容疑者と妻オリビア容疑者を逮捕
時事通信は6月18日、中国人富裕層向けのベビーシッターを不正に入国させたとして、警視庁国際犯罪対策課などが入管難民法違反容疑で、東京都港区の会社役員・藍沢鵬程容疑者(39)と、妻の職業不詳・オリビア容疑者(37)を逮捕したと報じた。2人はいずれも容疑を否認しているという。
同報道によると、2人は2023年10月、学歴など虚偽の内容を記載した書類を東京出入国在留管理局に提出し、「技術・人文知識・国際業務」の在留資格で中国籍の女性を入国させた疑いがある。
日経新聞によると、藍沢容疑者の会社ホームページでは、日本への移住を希望する中国人富裕層の生活支援をうたっていたという。
「出演打診を断った人物」と「出演した人物」の対比
張氏は、NHK側から「固定観念を変えられる」といった趣旨の説明を受けたと主張したうえで、そうした「固定観念を変える必要はない」として出演しなかった。一方、番組に出演した藍沢容疑者は、その後、入管難民法違反の疑いで逮捕された。
この流れを受け、X上では「NHKは出演者をどのように選んだのか」「番組制作時にどこまで確認していたのか」といった投稿が相次いだ。張氏の投稿に添えられた名刺画像も拡散され、NHK側がどのような取材方針で番組を制作したのかに関心が集まっている。
番組関連動画をめぐっては、逮捕報道後に削除されたとの指摘がX上で出ている。ただし、通常の配信期間終了なのか、公開範囲の変更なのか、逮捕報道を受けた対応なのかは確認されていない。



