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もずくにもの社労士・産業医事務所

https://mozukunimono-syaroshi-sangyoi.jimdofree.com/

鳥取県米子市車尾3-2-29

山陰の企業に伴走する、もずくにもの社労士・産業医事務所  地方の健康経営を底上げ

ステークホルダーVOICE 経営インタビュー
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山陰地方を拠点に企業の健康経営を支える、もずくにもの社労士・産業医事務所。所長の大月絢香氏は、産業医としての医学的知見に加え、社会保険労務士や作業環境測定士としての専門性を生かし、働く人の健康から法令遵守、職場環境の改善まで幅広く支援している。その根底にあるのは、都市部と地方の情報格差を埋め、「山陰で働きたい」と思える企業を増やしたいという想いだ。精神科医から産業医へ転身し、地域企業との関係を築いてきた大月氏に、これまでの歩みと健康経営にかける想いを伺った。

 

都会と地方の情報格差を埋める、健康経営の基盤づくり

山陰地方を拠点とするもずくにもの社労士・産業医事務所は、製造業や運送業、旅館業など、業種を問わず幅広い企業の産業医業務を担っている。医師としての知見に加え、社会保険労務士や作業環境測定士としての専門性も備え、法令面から職場環境まで幅広くサポートできる体制を整えている点が特徴だ。新規参入が難しいとされる産業医の世界において、山陰地方に根差した事務所として活動範囲を広げてきた。

事業の柱の一つが、法令遵守の地固めだ。地域によっては、労働安全衛生法などの法令遵守の体制がまだ十分に整っていないケースも見られる。そのような場合には、まず健康経営の基本となる最低限のルールづくりから着手する。都市部と同水準をいきなり目指すのではなく、段階を踏んで土台を整えることで、その先のより良い取り組みにもつなげやすくする狙いがある。

「鳥取で生まれ育った私にとって、地元に貢献することは一つの使命だと感じています。以前、大阪の大企業を担当した経験から、都市部の大企業と山陰地方の小規模・家族経営の企業では、コンプライアンスに関する情報や知識に大きな差があることに気づきました。都市部では『守って当たり前』と認識されているルールでも、地方では経営層に十分な情報が届いておらず、知らないうちに法令に抵触してしまっているケースもあります。そうした状況を目の当たりにして、正しい情報や知識を届けることの大切さを強く感じました」(大月氏)

そのような都会と地方の健康経営に関する情報格差を埋めていくために、大月氏はクライアントに対して地道な働きかけを行っている。

「いきなり高すぎる理想を押し付けても、現場が疲弊してしまうだけです。だからこそ、まずは最低限のルールを整備したうえで、地元企業の現状に沿って段階的にレベルを引き上げていくようにしています」(大月氏)

その中でも、安全衛生委員会の活性化を通して企業の雰囲気が大きく変わった経験があるそうだ。一定規模以上の企業では、経営側と働く人たちが同数で集まり、安全・衛生について話し合う場を毎月持つことが定められている。この場を通じて現場の声が経営側に届き、会社の方針も現場に伝わりやすくなることで、職場の雰囲気に変化が生まれるケースも見られるという。実際に、話し合いの機会を持てたことをきっかけに、社員が自主的に職場環境の改善に取り組み始めた企業もあるという。

「社員の皆さんが当事者として、一緒になって課題に取り組まれる姿が見えた時は、非常に嬉しかったです」(大月氏)

 

ブラック・ジャックへの憧れから産業医へ

大月氏が医師を志した原点は、幼少期に手にとった手塚治虫の『ブラック・ジャック』にあるという。神業で命を救う孤高の天才外科医の姿に強烈な衝撃を受け、外科医への夢を膨らませた。そのような中で、大学では医学部に入学したものの、外科医を志す中で大月氏の興味関心が、人の目に見えない「心」の領域へと変わったそうだ。

「講義の中で一番面白いと感じたのが、精神科の病気についての勉強だったんです。目には見えない心の病気なのに、さまざまな症状が現れて、日常生活にまで支障をきたすことがある。それを学ぶ中で、『なぜそんなことが起こるんだろう』と興味を持つようになりました。そして、医療の発達によって治療できる病気も増えていると知り、『面白い分野だな』と感じたのが、興味を持ったきっかけでした」(大月氏)

その後は精神科医として大学病院に入局し、研鑽を積む日々を送った。しかし、多忙を極める生活の中で、自分自身の心身が悲鳴を上げたのだ。

人生の岐路に立った大月氏に、先輩が「産業医」という新たな選択肢を提示してくれた。そのアドバイス通りに産業医へ転向し、健診所にて健康診断について学ぶなど、経験を重ねていった。そして、最後に勤めていた健診所を退職した後、2024年2月に独立した。

産業医としてのキャリアを考える中で、いつかは独立したいという思いを漠然と抱いていたという。しかし、山陰地方は企業数が少なく、小規模な会社も多いことから、産業医として独立して事業を成り立たせられるのかという不安があり、なかなか踏み出せずにいた。そんな大月氏にとって、清水の舞台から飛び降りるほどの覚悟を要する独立だった。

独立直後、最初に立ちはだかった壁は営業活動だった。契約ゼロからのスタートだった。地元にある企業のほとんどには既存の産業医が在籍していたため、契約獲得に苦戦したそうだ。50名以上の事業所に一通ずつ自筆の手紙を書き、自ら電話をかけ続けた。

最初のうちは電話越しに門前払いを受けることが多かったという。それでも大月氏はへこむことなく、粘り強く対話を重ねていった。経営者の孤独な悩みに耳を傾ける中で、「実は困っていたんだ」という本音の欠片を拾い集め、徐々にクライアントが増えていった。

産業医としての視点だけにとどまらない多角的なサポートも、同事務所の強みの一つだ。社会保険労務士の資格に加え、作業環境測定士としての専門知識も生かしながら、健康管理にとどまらず、働く人の権利や職場環境全体を支える体制を目指している。学び続けるモチベーションについて、大月氏はこう語る。

「私は自分自身をコンプレックスの塊だと思っています。精神科医としてドロップアウトしてしまいましたから、今もなお第一線で活躍する同期たちへの焦燥感こそが私の原動力となっています。ただの医師では終われない。であれば、労働法を熟知した社労士の視点、化学物質の影響を科学的に分析できる測定士の視点、これらをすべて網羅した『働く人たちの健康をきっかけに職場をより良くする産業医』として突き抜けようと決心しました」(大月氏)

現在はハラスメント対応に特化した特定社会保険労務士や、より高度な化学物質の分析が可能な第一種作業環境測定士の取得に向けた勉強をしているという。山陰地方でもパワーハラスメントやカスタマーハラスメントの相談が昨今急増しており、これらに法的に介入できるスキルが必須だと考えているようだ。

 

「人を雇う」とは、その人の命を預かること

――産業医としてクライアントと接するうえで心がけていることを教えてください。

大月:何よりも、従業員の方々にとって、「この会社で働けてよかった」と思ってもらえる職場をつくることが大切です。人を雇うということは、その方の人生の時間の多くを預かることでもあると考えており、その責任を意識しながら向き合っています。


それゆえに、会社側にも社員側にも偏らない、中立な立場に立つようにしています。個人的な感情ではなく、法令や判例、社会通念といった客観的な基準をもとに意見を述べることを心がけています。どちらか一方の立場に寄りすぎてしまうと、産業医としての意味がないと思っています。

お客様と関わるうえでは、指導というよりも、企業や社員の皆さんに寄り添いながら、従業員の方々が自ら「いい職場にしていこう」と動き出すのを後押しする、そんな伴走的な関わり方を大切にしています。実際に、話し合いの機会を重ねる中で、社員の方が自主的に職場環境の改善に取り組み始める様子が見られることもあります。

――スタッフを雇わず、お一人で活動されていますね。

大月:雇用とは、相手の人生の貴重な時間、すなわち「命」を預かることだと考えています。自分が理想とする完璧な環境、つまり十分なゆとりとやりがいを提供できるキャパシティが今の自分にあるのか。それが保証できないうちは、安易に人を雇うべきではないと考えています。

そのような私を支えてくれているのは、猫、兎、鳥、そして亡くなった子たちも含め、10匹の動物アシスタントたちです。事務所の広報係でもあり、私の最大の癒しです。彼らと過ごすほのぼのとした時間は、仕事での厳格な中立性や客観性を保つために、必要不可欠な心の平安を与えてくれます。

動物アシスタントたち

「山陰地方で働きたい」と思ってもらえる会社づくりを目指して

 

――今のお仕事を通してどのような社会を実現させたいですか。

大月:山陰地方の健康経営のレベルを、都市部以上に引き上げていきたいです。働く人々が安心して元気に過ごせる環境は、義務ではなく、企業発展のための最大の投資です。「山陰には働きやすい良い会社がたくさんある」、そう言われるようになれば、若者の流出は止まり、地域は必ず活性化すると思っています。私一人の産業医にできることは小さいかもしれませんが、これからも、法令と判例に基づいた客観的かつ中立な立場で、山陰地方の企業の健康経営を支援し続けていきたいです。

◎企業情報
会社名:もずくにもの社労士・産業医事務所
所在地:鳥取県米子市車尾3-2-29
設立:2024年
所長:大月 絢香
URL:https://mozukunimono-syaroshi-sangyoi.jimdofree.com/

◎インタビュイー
もずくにもの社労士・産業医事務所
大月 絢香

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ライター:

慶應義塾大学文学部卒業。経営者への取材を中心に、統合報告書、採用広報、社内報、クラウドファンディングページなどを執筆。インキュベーション施設のコミュニティマネージャー、探究学習のファシリテーターとしても活動する。趣味は夢の研究。

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