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株式会社エコテック

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「壊れてから直す」を変える。エコテックが床から挑む、築50年の園舎を守る仕組みづくり

サステナブルな取り組み SDGsの取り組み
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エコテック 園舎の健康診断
画像提供:株式会社エコテック

深刻化する園舎の老朽化という課題に対し、神奈川県横浜市の株式会社エコテックが床を起点に挑む取り組み「eep(園児の床 enjoy project)」が、5年目の節目を迎えた。

「eep」から始まり、点検・管理のDXへと広がった同社のプロジェクトは、いかにして「壊れてから直す」現場を「壊れる前に備える」運営へと変えようとしているのか。園舎老朽化の社会的背景とともに、その歩みを読み解く

 

全国で「築50年」を迎える園舎が増加。第二次ベビーブーム世代の建物が転換点に

子どもが日々を過ごす建物の老朽化は、全国規模で進む課題だ。文部科学省によると、公立小中学校施設は第二次ベビーブームに合わせて建てられたものが多く、2024年5月時点で約6割が築40年以上を経過し、そのうち7割以上が改修を要する状態にある。学校に限った数字ではあるが、同じ時期に整備された子ども向けの公共建築が、いま一斉に更新期を迎えている実態を映している。

保育の現場も例外ではない。さいたま市が2023年にまとめた公立保育所の基本方針では、市内の公立保育所の約7割が1970年代を中心に整備され、築40年以上を経過していると報告されている。築年数を重ねた園舎では、外壁や屋根のひび割れ、天井材や照明の落下リスク、床の浮きや段差、配管の腐食といった、日常のなかでは見過ごされがちな劣化が進む。

老朽化は安全の問題に直結する。学校施設の約9割は地域の避難所を兼ねており、建物の状態は災害時の備えとも切り離せない。園舎もまた、子どもと職員が長い時間を過ごす場であり、平時の安全と有事の防災の両面から、その状態を把握しておく必要がある。

 

「壊れてから直す」を変える。床から始まった園舎環境への発想転換

こうした課題に、住宅・施設向けのフロアコーティングや修繕、省エネ対策をワンストップで手がける(株)エコテックが、保育施設向けの取り組みとして向き合っている。同社が2021年8月に立ち上げたのが、床を起点に園舎環境を支えるプロジェクト「eep(園児の床 enjoy project)」だ。

立ち上げの背景には、全国で進む園舎の老朽化と、現場の管理負担の増大があった。修繕履歴や図面が散逸し、担当者の交代によって管理が属人化することで、「どこから手を付ければよいか分からない」状態に陥りやすい。床の破損やささくれによるケガ、湿気による劣化など、日常に潜むリスクも見過ごされがちだった。プロジェクトには、スポーツクラブの運営の経験を経て、子どもに関わる分野で社会貢献をしたいという思いを持つ担当者が携わったという。

まず着手したのが、床の安全性の向上だった。主力サービスの「園児の床®」は、UVフロアコーティング技術を用いて、ささくれや割れ、汚れ、カビといったリスクを抑えながら、劣化した床を新築同様の状態へ再生させる取り組みだと同社は説明する。子どものケガの予防や衛生面の不安軽減、また、保育者の掃除負担の低減を通じて、保育の質を支えることをねらいとしている。

同社は、園が本来の役割である「子どもと向き合う時間」を確保できるよう、ハード面から現場を支えることを掲げる。やがて床だけでなく園舎全体を仕組みで守る必要性を感じ、点検と管理を可視化する次の取り組みへと発展させていった。

 

属人化と情報分散を仕組みで解く。点検で可視化する「園舎の健康診断」

その発展形が、園舎管理のDXサービス「園舎の健康診断」アプリである。外装・内装・設備の点検結果を建築資格を持つ専門家が評価し、建物の状態をA〜Dのランクで可視化する。図面や見積書、修繕履歴はクラウド上で一元管理され、担当者が代わってもスムーズに引き継げる仕組みになっている。

このアプリが解こうとしているのは、園舎管理の属人化と情報の分散という、現場が抱えがちな見えにくい課題だ。状態がランクで示されることで、いまどこを優先して直すべきかが判断しやすくなる。過去の履歴をもとに長期的な修繕計画を整理できるため、行き当たりばったりの対応から、優先順位に基づいた計画的な修繕へと近づける。「壊れてから直す」対応から計画的な「事前把握」へと軸足を移すことは、無駄な出費を抑えることにもつながる。

防災の観点も組み込まれている。災害時にリスクとなりうる箇所を点検で把握し、BCP(事業継続計画)の策定に必要なデータをアプリに集約する。防災や耐震に関する改善点については、専門家が助言する体制をとっている。建物の安全を知ることを、すべての対策の出発点に据える考え方だ。

 

5年目の到達点と、災害・地域連携という次の一手

eepは本年度で5年目を迎えた。同社によると、2021年8月の立ち上げから約4年半で、登録施設は全国で約3,000件に達し、「園舎の健康診断」については約500園舎で点検を実施しているという。いずれも同社が公表する数値だが、園舎の状態を可視化し、優先順位を付けた修繕判断を可能にする仕組みとして広がりつつある。

短期の目標として、同社は「園舎の健康診断」での1,000園舎の点検実現を掲げ、点検データの蓄積と運用支援体制の強化に取り組むとしている。あわせて、園舎管理のDXを起点に、災害対策に必要な情報の集約や修繕計画の高度化を進める方針だ。学童クラブや放課後キッズクラブでの活動、県立高校と連携したSDGsの学習支援、自治体や保育団体との啓発活動などを通じて、地域との連携にも取り組むという。

少子化が進むなかでも、子どもが過ごす施設の安全性と、その運営の持続可能性は、社会の基盤であり続ける。保育の現場が孤立することなく、必要なときに必要な意思決定ができる仕組みをどう整えるか。床という足元の一点から園舎全体へと視野を広げてきた同社の5年は、その問いに民間の側から答えようとする一つの試みとして、次の段階へ向かおうとしている。

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ライター:

Sacco編集・ライター。企業に直接出向く取材が中心。扱う記事はサステナビリティ、エンタメ関係が多め。

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