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アライアンス・フォーラム財団

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新しい資本主義=公益資本主義とは何か?経営を担う若者が神髄を自ら掴み取る実践研修 一般財団法人アライアンス・フォーラム財団

サステナブルな取り組み 公益資本主義
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新しい資本主義=公益資本主義とは何か?を解説

コロナ禍が長期化するなか、ミルトン・フリードマンが夢見た資本主義の世界観が急速に限界を迎えている。低賃金労働者ほど雇用環境が悪化し、富裕層に富が集中するK字経済(格差が二極化した状態)が、世界各国で広がるにつれ、バイデン大統領は中間層の復活を掲げ、富裕層への増税を決定。マクロン大統領は、フランスの政治エリート学校を廃止。その動きに呼応するように、ここにきて日本でも岸田政権が発足し、富の再分配と格差解消を一丁目一番地とする「新しい資本主義」が掲げられた。

この新しい資本主義の骨子にある思想は、原丈人さんが掲げる「公益資本主義」によるところが大きいと見る向きがある。欧米型株主資本主義でも、中国型国家資本主義でもない、日本型の新しい資本主義=公益資本主義とは如何なる考え方なのか。

提唱する原丈人さんが代表理事を務める一般財団法人アライアンス・フォーラム財団が運営する「公益資本主義研修」は今年で第8期を迎える。これから経営層として歩んでいこうとしている、大企業のマネジメント層や起業家に向けた、公益資本主義経営を学び実践していく研修プログラムだ。

今回は、同財団の理事執行役公益資本主義研究部門長の丹治幹雄さんとマネージャーの葛城禎之さんから、研修で学ぶ公益資本主義の考え方と意義、受講生の感想も交えてお話を伺った。(聞き手:加藤 俊)

実践的研修で21世紀の新しい資本主義=公益資本主義を学ぶ

 ―本日はよろしくお願いします。まず、一般財団法人アライアンス・フォーラム財団が運営する公益資本主義とは何か。そして研修の内容と意義についてお伺いします。

丹治幹雄 一般財団法人アライアンス・フォーラム財団理事執行役
丹治幹雄 一般財団法人アライアンス・フォーラム財団理事執行役公益資本主義研究部門長

丹治: いま、まさに資本主義の本質が問われています。公益資本主義とは、その新たな資本主義の在り方、指針となるものです。次の3つの基本原則があります。

第一の原則は、「中長期視点」であることです。中長期視点でバランスのよい経営資源の投資を行い、イノベーションを起こし、持続的な成長を現実のものにする。

第二の原則は、「企業家精神による改良改善」です。企業規模が拡大しても企業家精神を発揮できる企業文化・組織風土をつくり、リスクをとりながら果敢に新しい事業に挑戦し、常に改良、改善に努めることです。

第三の原則は、「公正な社中分配」です。会社というものは、社会に存在する様々な有形・無形の資源を活用させてもらうことで事業活動を行うことができます。その事業を通じて得た利益は、本来「公益」とも言えるものです。従って、その利益は株主だけでなく、会社を支える「社中」((いわゆるマルチ・ステークホルダー:会社、社員、顧客、仕入先、地域社会、地球、株主など)に公正に分配することが、持続可能な社会の実現に繋がるというものです。

公益資本主義研修は、この考え方を経営者のみならずこれから経営に携わる人にも伝えたいという想いから発足しました。ですから参加者の年齢層は30代40代が中心になっています。研修ではグループワークを主に、参加者同士ディスカッションしながら自分たちの考えをまとめていきます。

2018年度研修の様子(画像提供:アライアンス・フォーラム財団)

葛城:参加者は毎回20人から25人くらい。その中でグループを作って課題解決のための討論をしていると、参加者同士の横の繋がりも生まれてくる。それも目的の1つです。研修は隔週で水曜日の午後6時から8時まで2時間、半年間にわたって行います。新型コロナが流行し始めてからはオンライン開催に移行しています。

私は3年ほど研修に携わっています。講師は実際に公益資本主義を実践している大手企業の経営者や学者、官僚の皆さまで、彼らから理論的裏付けなど学ぶことができます。そしてディスカッションの場では学んだことをそれぞれの職場でどう活かしていくかを問いかけ、考えてもらいます。公益資本主義は形而上の理論ではなく実践的な考え方です。知識を与えるだけの研修ではなく、学んだことをどう行動に移していくべきかを考える研修を目指しています。

丹治:公益資本主義については、言葉は知っているが詳しくは分からないという人も多い。「公益」という言葉から役所のイメージを持っている人もいます。それらの誤解を取り除き、理解を深めていきたい。それも目的の1つです。

2019年度研修の1シーン(画像提供:アライアンス・フォーラム財団)

葛城:修了式では参加者全員に、どのように公益資本主義を実践していくか決意表明をしてもらいます。「数字の目標だけでなく、どのような形で社会に貢献できるかをしっかりと考えたい」「人事評価に公益資本主義を取り入れ、結果の数字のみで判断しないようにする」「職場内でも勉強会を開催して伝えていきたい」など様々な決意を話してくれるのですが、それを聞いていた当財団の神永晉評議員(元住友精密工業株式会社代表取締役社長)が「研修当初と修了式の時の話では参加者の話す内容が大きく変化している。公益資本主義への理解が深まり、どう実践していくのかを真摯に捉えている」と高く評価されていました。公益資本主義を分かっているようで分からない、といった漠然と捉えていた人が「真の経営とはこうなんだ、自分はこの方向に行くべきなんだ」と指針を見つけられるのが研修の特徴です。

丹治:どうしても1つの会社に属して仕事をしていると会社の歯車のようになってしまって、タコツボの中でしか物事を考えられなくなってしまう。そこに「こういう考え方もある」と気付きを与えたい。会社がどう社会に貢献していくかを考えて経営していけば、帳簿を改ざんしたり検査をごまかしたりしなくなる。そこも大きなポイントでしょうね。

(画像提供:アライアンス・フォーラム財団)

経営者にとって必要な指針を与えてくれる研修

―現在の参加者は中間管理職が主ですが、そこに限らず中小企業やスタートアップ企業の経営者にももっと参加してもらいたいと伺っています。経営者にとってはどういった学びを提供できるのでしょうか。

丹治:経営者は孤独であり、常に1人で経営判断をするので、自身の考えが本当に正しいのか確認することができません。それがこの研修に参加すると、自らの意思決定が本当に正しかったのかを確認できる。常に申し上げているのですが、事業はお金儲けをするためだけのものではありません。もっと大事なのは「儲けたお金をどう使うのか」ということ。特に中小企業やスタートアップ企業は「3年後にIPOを目指す」という話をよく聞きます。IPOの本来の目的は、事業を拡大したいが金融機関での資金調達が難しいのでマーケットで調達しよう、という趣旨のはずです。しかしIPOを目標にするとその先のビジョンが描けない。IPOは目的や目標ではなく手段ですので、調達した資金をどのように使うのか、儲けたお金をどのように分配するべきか、という考え方を知ってもらうのは大事だと思います。

葛城:神永晉さんもお話されていましたが、公益資本主義は経営の1つの考え方として「これに従っていれば大丈夫だ」と安心感を与えてくれます。彼も1人の経営者として会社の行く末や事業戦略に思い悩んだ時、公益資本主義に照らしたらどうだろうと考えるとスッキリ腹に落ちることがあるそうです。

公益資本主義は決して特別なものではありません。経営者としてのあるべき姿、意思決定のための1つの指針を与えてくれる。それをこの研修で経営者には学んでもらいたい。

葛城禎之 一般財団法人アライアンス・フォーラム財団公益資本主義研究部門マネージャー

他にはない高い視座を提示できる

―他の様々な経営セミナーとの違いは、主にどのような点にあるのでしょうか。

丹治:一般的な研修では「社会貢献をすべき」、「従業員を大事にすべき」といったピンポイントの議論が多くなると思います。しかし私たちは会社に関係するステークホルダー全体を意味する「社中」という言葉を用いて、社中皆が会社を良くし事業を通じて社会をよくしていこう、と明確に表している点が大きな特徴です。また会社は「社会の公器」であることを強調しているのも大きなメッセージだと思います。

逆に言えば株主資本主義へのアンチテーゼなのです。株主資本主義は会社の持ち主は株主で、株主が利益を独占するものであり、会社は株主のために動くべきというコンセプトです。このコンセプトでは会社は株主の持ち物であるが社会貢献「も」する、従業員「も」守るという「も」理論で事業が進められている。我々はそれとは全く違った見方を提示している。

葛城:公益資本主義は株主資本主義よりもっと視座が高く、様々な経営理論を包括するコンセプトを持っています。それだけ高い視座が必要になるため、これまでの資本主義理論からすればパラダイム転換が求められます。自身の既成概念を取り払う必要がある場合もありますので、人によってはじめのうちは分かりづらいと思う部分もあるかもしれません。

SDGs、ESGの本質を理解するために

 ―最近では「新しい資本主義」という言葉も使われるようになりましたが、公益資本主義は2007年に原丈人氏が著書「国富論」で提唱して以来、健康で教育を受けた中間層を作るべく、国に働きかけるなど着実に活動してこられたと認識しています。私自身、「原丈人氏・特別インタビュー 日本再生の鍵を担う「公益資本主義」」でもインタビューさせていただきました。また現在SDGsやESGといった言葉が普及し始めていますが、世の中が公益資本主義の考え方に追いついてきている現れではないでしょうか。

丹治:そう思います。しかし私がその流れに不安も感じているのは、SDGsやESGの本当の意味はどうなのかということです。つまりESG投資に関して各社が公開している数字は、表面上は社会貢献を語っていても、長期的に見れば結局株主の利益を追っているだけなのかもしれないということです。
SDGsの17項目についても同じで、それをどうビジネスに結びつけるかと考えるのではなく、会社の運営そのものを達成に繋げていくことのほうが遥かに重要なのです。
国連がSDGsを打ち出し、それが多くの人に受け入れられているのだとすれば、私たちはSDGsが間違った論理に向かうことを防いでいかなければなりません。

またESGに関して言えば、ここで示されたガバナンスとは明らかに資本主義的なガバナンスです。環境問題について取り組んでいる企業があったとしても排出権取引などの新しいマーケットを興す限りは貧富の格差を加速させる危険性を孕んでいる。中途半端な理屈の下に何かを進めたら逆に歪んでしまう可能性があるのです。それらの点も含めもっと冷静にSDGsやESGの背景を考えていかなければならないと思います。

―多くの企業がSDGsやESGには賛同していますが、公益資本主義の考えからはどう捉えられるのでしょうか。

丹治:SDGsやESGに関しては様々なフォーマットから導き出された数字が各社から示されて「我々はこういうことに努力しています」とアピールしています。しかしそれは他と比較する指標の1つとしての意味しかありません。大事なのは経営者がSDGsに照らして会社はこの路線で進んでいく、と考えたことを社員全体に、更にはお客様にも広げていくことだと思います。
そういったコーポレート・コミュニケーションをとって意識を共有し「私はこうコミットメントします。分かり易く数字も入れます。守られているかどうかをモニタリングします。達成したかどうかを発表します。そしてより良い状態になるように改善していきます」とPDCAを回していくことのほうが重要です。お仕着せのフォーマットに則ってやっていればいいと思っているのは良くない風潮だと思います。

葛城:SDGsやESGは、多くの人が世界の困った問題に目を向けるきっかけとしては良いと思います。しかし、SDGsやESGでは、それらの問題を真に解決するにはまだ知恵が足りないのです。私たちは、それらの問題を可決できる公益資本主義を、もっと広めていくために知恵を出し合っていかなければならない。何とかしなければならないという危機感を持っているのは事実です。

ただ、公益資本主義はSDGsやESGといった馴れない外来語ではありません。明治の人は外国からの概念を新しい言葉を作って意識に落とし込んでいきましたが、今は外来語をそのまま使っているから落とし込めていない、非常に薄っぺらく、上滑りしていると感じています。その点、公益資本主義は日本語ですから、得心がいくはずです(笑)。

(公益資本主義研修の様子 提供:アライアンス・フォーラム財団)

How toではない、1人1人が自分で落とし込み、実践する

―先ほどの「社中」という言葉は現代では聞き慣れない言葉です。具体的にどのようなことを意味するものかお聞かせいただけますか。

丹治:社中とは「同じ目的を持つ人々で構成される仲間や組織」という意味です。具体的には、社員、顧客、仕入先、地域社会、地球、株主つまりステークホルダー全てを繋げる概念が社中です。例えば公益資本主義では、従業員は社員として社会に貢献すると同時に消費者としても社会に貢献していて、個人個人がそれぞれの仕事をすることが社会に貢献している、という考えをベースにしています。

―また、これだけ著名な方々が登壇者として講義してくれる研修は他にはないと思います。

【第8期 公益資本主義研修の日程・講師】


丹治:それは、講師の皆さんも私たちの考えに賛同してくれているからです。

上村達男(早稲田大学名誉教授)先生は会社法についてフランス・イギリスでの会社の成り立ちから始めて、では、今はどうなのか?と話されます。そしてそれを変えるための公益資本主義なのだと述べられる。こういったお話はなかなか聞ける機会はありません。広田真一(早稲田大学商学学術院教授)先生も固有の文化から各国の制度が生まれ、それは株式会社、株式市場も同様であって、従って、自ずと各国の資本主義の在り方も変わってくることを実証的にお話してくれます。

葛城:講師の皆さまにも一貫して公益資本主義の考えが根付いている。それに照らして経営や哲学についてお話してくれます。様々な事例を交えながら公益資本主義の考えを示してくれるのです。

丹治:How toではありません。そこで得たものを更に受講者1人1人が自分に落とし込んで、それを実践していくことが目的です。
実際にどのような研修なのか、受講者の感想をご紹介したいと思います。

引用 受講者の感想

大手電機メーカー 製造・装置業システム本部長
公益資本主義研修を通じて、これまでの株主資本主義で提唱されるKPIに対する現実を直視することができるようになり、自身の会社の目標設定に対する解釈や提言が行えるベースを獲得することができた。改めて、原丈人代表、ならびにアライアンス・フォーラム財団の皆さま、一緒に研修を受講された他社の受講生の皆さまに感謝を申し上げ、本レポートの締めくくりとさせていただきたい。

大手人材派遣企業 情報通信事業本部長
半年という長きにわたり、貴重な学びの機会を与えていただきありがとうございました。恥ずかしながら、研修に参加する前は、「公益資本主義」という言葉すら聞いたことがない状態でしたが、原先生の本を読み感銘を受け、毎回の講義も非常にためになる内容で、考え方の幅が広がったと実感しています。学んだ内容を自分なりにかみ砕き、これからの仕事に活かしていくと同時に、周りにも啓蒙していきたいと思います。今後とも、ご指導ご鞭撻のほど、よろしくお願いいたします。

大手食品メーカー 経営企画部長
公益資本主義研修では、第一線の経営者及び専門家の皆さまの講話とメンバーの皆さまとの対話を通じて、公益資本主義について深く学ぶことができた。こうした貴重な学びの機会をいただいたことに、まずは感謝申し上げたい。
私は、経営企画部で戦略を立案し、推進している。当研修で学ぶことで、公益資本主義が問いかける、会社とは何であるのか、誰のものであるのか、どのような価値を生み出し提供していかなければならないかを、経営者とともに考え、実行すべき立場であると改めて認識した。

大手電機メーカー 新事業推進本部 部長
研修においては、大学の教授の方などからのアカデミックな内容でのフレームワークの理解に加えて、実業の方(特に経営者)から、公益資本主義的な活動について、実例を通じて話していただいたことで、自分の会社や組織に当てはめて考えることに繋げることができて、とてもバランスがよいプログラムになっていました。(唯一の心残りはオンラインであったことくらいです・・・)

外資系総合人材サービス企業 ITエンジニアリング人材派遣事業本部  本部長
今回の学びにより踏み込んだ学びを得る事ができ、理解していたつもりである事に多数気付く事ができました。
学んだ結果、感じた事、考えた事を行動に移し、実行して初めて本当の学びとなると思っていますので、今回記載した内容を実行して参ります。
改めてとなりますが半年間ありがとうございました。心から感謝と御礼を申し上げます。

経営を担う人材が自ら掴み取る研修

葛城:実は公益資本主義研修は、最後は「あとは御社のご自由に」と、各社の主体性に任せるスタイルを貫いています。研修の感想にも「良い考えだとは分かったのですが具体的にどうしたらいいのでしょうか」と書いた受講生もいました。この研修は明確な経営指針や方針を教えるものではありません。それを自分の中で形成してほしい研修なのです。ですから何かを教えてほしいと思って参加された人にとっては物足りないかもしれません。しかし受講者もそれぞれの企業から選ばれて将来は経営幹部になるべき人たちなのですから、自ら掴み取るつもりで研修を受けてもらいたい。いずれは経営を自分で担うのだと意識を持って受講していただきたいのです。
そうすれば研修で語られたことの意義がより大きなものになるでしょうし、将来経営を担うポジションに就いた時、必ず役立つものになると思います。

株主至上主義は結局大多数を幸せにすることはできなかったという世界の諦念を生んだ。はたして、その吐息が一筋の光芒を見出そうとしている先は何処なのか。近江商人の「三方よし」のような伝統的な日本型経営の価値観に向かうという声もあるが、ESGやSDGs、ステークホルダー資本主義といった世界のメガトレンドを見れば、指標づくりに不得手な日本に有利な形でデファクトが定まる可能性は少ないと言われている。斎藤幸平さんは『人新世の「資本論」』で、SDGsを現代の大衆のアヘンであると喝破した。ESGについては言わずもがな。投資家に向けた情報公開である以上、SDGsよろしく大多数はグリーンウォッシュの域を脱しない現実がある。

本当の意味でサステナブル社会を醸成するためには、何が必要なのか。関わる存在、社中を尊重する「公益資本主義」が世界に広まるのかはまだわからない。ただ、日本再興の可能性を見るときに、大きなヒントになるはずだ。

松下幸之助は企業の責任として、どんな企業も「おおやけのもの」だという意識を持つべきとの想いを込めて「企業は社会の公器たれ」と説いた。「企業は誰のものか?」という企業所有論の嚆矢であり、会社経営の普遍的な本質を学ぶことができる名著『企業の社会的責任とは何か?』の中に、その言葉を拾うことができる。松下幸之助の世界観では、人や土地、資源といったものは全て、社会からの借りもの・預かりものという認識を持ち経営することを求めている。
企業の本質的な役目について以下のように語っている。「社会の足らざるところを補い、これを潤沢に作りだすことで、世の貧困を失わせるものでなければならない」。こうした企業の責任を一言で言い表したのが「企業は社会の公器」という言葉だと思う。少し長いが、該当箇所を引用して終わりたい。

まず基本として考えなくてはならないのは、企業は社会の公器であるということです。つまり個人のものではない、社会のものだと思うのです。企業には大小さまざまあり、そこにはいわゆる個人企業もあれば、多くの株主の出資からなる株式会社もあります。そういった企業をかたちの上、あるいは法律の上からみれば、これは個人のものであるとか、株主のものであるとかいえましょう。しかし、かたちの上、法律の上ではそうであっても、本質的には企業は特定の個人や株主だけのものではない、その人たちをも含めた社会全体のものだと思います。

◎プロフィール
丹治幹雄
一般財団法人アライアンス・フォーラム財団理事執行役公益資本主義研究部門長
1977年東京大学法学部を卒業後、日本長期信用銀行に18年在職、この間通産省に出向して投資減税を実現、米国に駐在して航空機金融などに従事、更に本部で金利政策・ポートフォリオ管理などに関与。退職後起業、ヘッドハンティング、新銀行東京の経営などに携わり、現在はアライアンス・フォーラム財団の傍らヘルスケア分野の事業開発に従事している。法務博士、構想日本の理事でもある。

葛城禎之
一般財団法人アライアンス・フォーラム財団公益資本主義研究部門マネージャー
1989年慶応義塾大学経済学部を卒業後、25年以上外資系証券会社にて外国株式の機関投資家営業に携わり、その後、医療法人グループで経営全般に関わる。株主資本主義の中心で抱いた疑問が、公益資本主義研究により氷解した。リバイアサンと称される資本主義が公益資本主義の理念、考え方で優しい資本主義となれる可能性を強く感じている。趣味はランニングと書道。

◎団体概要
Alliance Forum Foundation(米国法人)
国連経済社会理事会特別諮問非政府機関

米国オフィス
Alliance Forum Foundation
111 Pine Street Suite 1410
San Francisco, CA 94111

一般財団法人 アライアンス・フォーラム財団 (日本法人)

http://www.allianceforum.org/

日本オフィス
アライアンス・フォーラム財団
〒103-0023東京都中央区日本橋本町2-3-11
日本橋ライフサイエンスビルディング5F
TEL:03-6225-2795
FAX:03-6225-2791
設立年 1985年

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ライター:

1980年千葉県生まれ 筑波大学大学院博士課程中退(台湾留学経験有り)。専門は中国近代政治外交史。その他、F1、アイドル、プロレス、ガンダムなどのジャンルに幅広く執筆。特にガンダムに関しては『機動戦士Vガンダム』blu-ray Box封入ブックレットのキャラクター・メカニック設定解説を執筆(藤津亮太氏と共著)。

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