
伝統民具の体験ツアーを届ける株式会社ロハス長浜は素材の植林から技術の継承までを循環させ地域の自然資本とファンを持続的に育む新しい事業モデルを展開している
消えゆく集落の記憶を呼び覚ます手仕事
滋賀県長浜市余呉町の山深くにかつて存在した旧小原村。過疎化により廃村となったこの地には鎌倉時代から伝わる「小原かご」という木かご文化があった。
イタヤカエデの若木を削り一子相伝で編み上げる美しい道具だが作り手の減少で絶滅の危機にある。ウッディパル余呉の指定管理者である株式会社ロハス長浜は、この文化を現代の体験価値として蘇らせる試みを始めた。
森の再現から立ち上がる独自のエコツアー

一般的なクラフト体験と一線を画すのは、森の生態系そのものに触れる設計だ。参加者はかつての集落跡を歩き、木々の生い立ちを知った上でかごを編む。
単に完成品を持ち帰る観光ではなく、自然の恵みを使い育てる循環の営みを体感させる。消費型の旅から脱却し、参加者を文化の継承者へと変える点に他社にない強みがある。
100年後の未来へ森を育てる職人の信念
取り組みの根底には唯一の技術継承者である荒井恵梨子氏の哲学がある。荒井氏は100年後も木かごを作り続けられる森を残すため、自ら種を採り苗を育てる活動を続ける。
目の前の素材を消費するだけでなく未来の資源を育てる姿勢は、持続可能なものづくりの原点を教えてくれる。
文化と自然を資源に変える持続可能な経営
ロハス長浜の挑戦は、失われゆく地域資源を経済循環に乗せる手法を示している。背景にある物語と生態系を価値に変えることで、一過性の客ではなく地域を支える関係人口が生まれる。
資源の保護と事業性を両立させるこの設計は、これからのサステナビリティ経営において大きなヒントとなる。



