
婦人科検診を受けるとき、「恥ずかしい」という気持ちが受診のハードルになることがある。日本シーエイチシーが届ける「女性検査用パンツ」は、露出部分を最小限に抑え、着用したまま検査を受けられるよう設計された製品だ。患者の心の負担を和らげ、医療機関の診察を支える仕組みと、普及に向けた具体的な取り組みを紹介する。
「これがあるなら次も行こう」と思える検診へ
婦人科検診を受けるときの「恥ずかしい」という気持ち。日本シーエイチシーは、それを受診の心理的ハードルの一つとして捉えている。その負担を下げるために開発したのが、特許取得済みの「女性検査用パンツ」だ。
女性検査用パンツは、着用したまま検査を受けられるよう設計されている。股の部分に切り込みを設け、検査に必要な部分以外の露出を最小限に抑える。ゴムウエストで着脱しやすく、不織布製の使い捨てタイプとして衛生面にも配慮した。
2006年4月3日に設立され、千葉県浦安市を拠点に医療機器販売を手がける日本シーエイチシーが目を向けたのは、検査の内容だけではない。診察台に上がるときの恐怖心や屈辱感、「見られているかもしれない」という不安など、検診を受ける人の心の負担である。
最もデリケートな部分を隠した状態で検査を受けられれば、そうした負担は和らぐ。検査中の不安が減ることで、医師の説明も落ち着いて聞きやすくなると同社は説明する。
同社が届けたいのは、一度の検査を受けやすくすることだけではない。「これがあるなら次も行こう」と思える環境をつくり、定期検診へ通う心理的ハードルを下げることだ。女性検査用パンツを通じて、婦人科検診の受診率向上を目指している。
露出を抑える設計が、患者の心の負担を和らげる
女性検査用パンツの特徴は、検査に必要な機能と、受診する人の気持ちへの配慮を一つの製品にまとめた点にある。着用したまま検査できること、露出部分を最小限に抑えられること、着脱しやすいこと、使い捨てであること。それぞれが、検診時の負担を下げるための設計につながっている。
同社が患者に喜ばれている価値として挙げるのは、心の負担の軽減、検査への集中、受診のハードル低下の三つだ。デリケートな部分を隠せることで、診察台に上がる際の恐怖心や屈辱感が和らぐ。「見られているかもしれない」という不安が減れば、検査中も医師の説明を落ち着いて聞ける。
そして、検査を受けたときの負担が軽くなれば、次の定期検診にも通いやすくなる。同社は、女性検査用パンツを、羞恥心を理由に検診を敬遠してきた人の心理的ハードルを下げる製品として位置づけている。
日本の婦人科検診は欧米に比べて受診率が低く、「恥ずかしさ」が主な要因の一つとされていると同社は捉えている。女性検査用パンツを導入した医療機関の中には、受診率が大きく向上したところもあるという。
同社は、受診率の向上を、がんの早期発見と女性の健康課題の解決につなげたいと考えている。さらに、少子化問題の解決の一つにもなればとの思いを込め、SDGs目標3「すべての人に健康と福祉を」との関連も掲げている。

患者への配慮が、医療機関の診察も支える
女性検査用パンツは、患者だけでなく、導入する医療機関にとっても診察を支える役割を持つ。患者がリラックスすることで体の余計な緊張が抜け、検査を短時間で安全に終えられると同社は説明する。
また、デリケートな悩みに配慮する姿勢は、クリニックの特徴にもなる。同社は、「デリケートな悩みに配慮してくれる優しいクリニック」として、他院との差別化や口コミの向上、リピート率の向上につながる価値を挙げている。
医療機関、特にクリニックの院長からは、患者が増えただけではなく、感謝の言葉を受けているとの声を聞くという。初めて来院する患者が、女性検査用パンツを用意しているかどうか、事前に電話で問い合わせることもあるそうだ。
同社が医療機関に喜ばれている価値として挙げるのは、スムーズな診察、リピート率の向上、受診率の向上である。患者の緊張が和らぐことで検査を進めやすくなり、羞恥心に配慮する姿勢は、クリニックの特徴として口コミにもつながるという。さらに、検診を敬遠していた潜在層を呼び戻し、地域におけるがんの早期発見に貢献することを目指している。
患者が落ち着いて検査を受けられることと、医療機関がスムーズに診察できること。その両方を支える点に、女性検査用パンツが届ける価値がある。
露出を抑える設計、着脱のしやすさ、使い捨てによる衛生面への配慮を備え、受診時の心の負担と医療機関の診察の双方に対応している。
海外生産の不安定さを受け、国内生産体制へ
女性検査用パンツは、これまで東南アジアで製造していた。しかし、コロナ問題、ウクライナ問題、イラン問題に直面し、円安も重なる中で供給が不安定になり、同社は製造面で苦労してきた。
そこで、生産体制を海外から国内へ切り替えた。現在は、その一部を刑務所で製造している。受刑者にとっても、日本の少子化問題解決の一端を担っているという意識が、製造に取り組むモチベーションの向上につながっているという。
検診時の羞恥心を和らげる製品をつくることに加え、その製品を届けるための生産体制を整えることも、日本シーエイチシーの取り組みの一部である。海外での製造を続ける中で直面した供給の不安定さを受け、国内生産へと切り替えた。
同社が目指すのは、女性検査用パンツを必要とする医療機関へ普及させ、受診の心理的ハードルを下げることだ。そのために、製品の設計だけでなく、生産体制も見直してきた。
自治体との連携から、福利厚生への普及へ
日本シーエイチシーが描くのは、婦人科領域のすべての医療機関で女性検査用パンツが当たり前に普及している状態だ。安全に次の世代を担う子どもを産み、人口増加につなげていきたいという考えから、医療機関の環境整備に着手する必要があるとしている。
普及に向けて、同社が重要だと考えているのが自治体とのコラボレーションである。現在、愛知県豊明市では本予算が組まれ、市民に女性検査用パンツが配布されている。
これからは、生命保険会社のノベルティや企業の福利厚生としても普及を進めていく方針だ。医療機関への導入に加え、自治体、生命保険会社、企業との取り組みを通じて、女性検査用パンツを届ける機会を広げようとしている。
同社が最終的に目指すのは、早期発見・早期治療によって、子宮摘出に至る人や亡くなる人を少しでも抑えることだ。受診をためらう理由の一つである「恥ずかしい」に向き合い、「これがあるなら次も行こう」と思える検診環境を広げていく。そのための連携を、医療機関の外にも求めている。



