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株式会社シー・シー・アイ

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〒107-0061 東京都港区北青山3-6-7 青山パラシオタワー 11階

03-5778-5192

株式会社シー・シー・アイが「内在的価値を軸とした組織作りセミナー」第4弾を開催!テーマは「制度・仕組みと組織開発」

サステナブルな取り組み イベント
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セミナー案内

株式会社シー・シー・アイ(CCI)の「内在的価値を軸とした組織作りセミナー」シリーズ第4弾のテーマは、「制度・仕組みと組織開発」。

近年、労働人口の減少や働く人々の意識の変化に呼応するように、労働諸法令の改正が相次いでいます。

人事制度の設計においては、法令遵守もさることながら、多様な価値観をもつ人材が定着し、生き生きと働き続けられる仕組みづくりが求められます。

本セミナーには、外資系・日系メーカーの両方の勤務経験を持ち、海外経験も豊富な社労士 堀川 眞也 氏(社会保険労務士事務所フェリシアンス、株式会社フェリシアンス代表)をゲストにお迎えしました。

CCIからは代表取締役社長の平尾貴治氏が登壇。社労士ダイバーシティー研究会で知り合った両名が、社会環境の変化や近年の法改正にも触れながら、「優秀な人を辞めさせないための人事制度の3つのポイント」を解説します。

〈スケジュール〉
▼ 「内在的価値を軸とした組織作りセミナー」の意義と本セミナーのねらい
▼ 優秀な人を辞めさせないための人事制度のポイント
 ・企業人が意識すべき社会環境や法律の変化【ポイント1】
  ‐人口減少と働く人の意識の変化
  -従業員の定着が急務
  -労働諸法令の改正
  -心理的安全性の構築
 ・多様な価値観を持った人材を活かすための人事システム【ポイント2】
▼ 組織開発の観点から見た人事制度の効果的導入と変更方法
 ・企業ビジョンと個人の内在的価値をどう結びつけるか【ポイント3】
 ・まとめ

〈登壇者〉
堀川眞也氏
社会保険労務士事務所フェリシアンス/株式会社フェリシアンス 代表
特定社会保険労務士(社労士ダイバーシティー研究会)、国家資格キャリアコンサルタント(CDA)、健康経営アドバイザー、パワハラ予防士、キャリア・シフトチェンジワークショップインストラクター。
外資系、日系メーカーの合計3社で32年の会社員経験を経て独立開業する。会社員時代、110回の海外出張で22カ国を訪問。製品設計のため6カ国のメンバーとプロジェクトを行った経験から、グローバルコミュニケーションを得意としている。海外経験を活かし、社会保険労務士として、またキャリアコンサルタントとして外国人雇用、LGBTQ の就労支援、企業内の異文化理解醸成などを行う。「幸せに働けること、働く事で幸せに」という信念のもと、すべての人が働きやすい環境作りのため奔走している。

平尾 貴治氏
株式会社シー・シー・アイ 代表取締役社長
組織開発コンサルタント、ODNJ(ODネットワークジャパン)会員、ドラッカー学会会員、社会保険労務士(社労士ダイバーシティー研究会)。
そごう百貨店にて販売及び人事部門の管理職を歴任し、40歳の時に内部で経営破綻を経験。2001年より㈱シー・シー・アイにて組織コンサルテーション活動を開始、2010年からは組織開発コミュニティである任意団体ODネットワークジャパン設立発起人(現NPO法人ODネットワークジャパン)。組織を使って何か成し遂げたいことがあって、そのために本気で足掻いている方のための外部支援者であろうと日々活動中。

混沌とした時代を生き抜く組織のビジョン戦略に不可欠な「内在的価値」とは

内在的価値セミナーについて

冒頭でCCIの平尾貴治さんは、本セミナーシリーズのタイトルにある「内在的価値」の意義と必要性について解説しました。

内在的価値は、企業が既存戦略からビジョン戦略へとシフトする上で欠くことのできない価値観です。

従来の枠組みの延長を前提とする「既存戦略」は、前例、効率、能率、論理的合理性といった基準で判断を下します。このため、既存戦略の根底には外在的価値が流れています。

一方、従来の枠組みの否定と新たな枠組みの創造を前提とする「ビジョン戦略」では、効率や合理性を踏まえながらも「~したい」という意志や想いが判断基準になります。

それは絶対価値に基づく判断であり、根底には内在的価値があります。

混沌とした時代において「価値を出し続ける組織」として生き残るには、既存戦略からビジョン戦略への変革が求められます

ただ、ビジョン戦略を掲げながらも根底の価値観が外在的価値のままでは、新たな価値は生まれません。

したがってCCIでは2022年のテーマとして、「内在的価値を軸とした組織作り」に取り組むことにしました。

未来社会に向けて価値を生み出す戦略を立てるには、「戦略」だけでなく「組織文化」、「制度」、「個人」を含めた4つの分野を包括的に回す必要があります。

全5回で構成される「内在的価値を軸とした組織作りセミナー」シリーズは、毎回これらの分野のいずれかにフォーカスし、テーマごとに実践者ないし専門家をお招きして開催しています。

2022年内在的価値セミナー全体像

第1回は「キャリア開発と組織開発(OD)」ということで「個人」と「制度」に、第2回は「組織の心理的安全性とOD」ということで「組織」に、第3回は「組織診断とOD」ということで「組織」に、そして今回は「制度・仕組みとOD」ということで「制度」をテーマにしています。

最終回の第5回は、「中期戦略とOD」ということで、「戦略」に光を当てる予定です。
どれか1つでも参加できますが、複数参加されることで相互のつながりも見えてくることでしょう。

組織開発(OD)の視点で見ると「組織はオープンシステム」

組織をどう見るか

ODにおいては、組織をオープンシステムとみなします。

組織は「外部環境の変化」「リソースの変化」「歴史」などをインプットし、「企業(売り上げや製品)」「個人(やりがい)」「社会」といった要素のアウトプットを行います。

このインプットとアウトプットを結びつける存在が、『トランスフォーメーション』としての組織であると考えます。ODを考える上で、組織の外部と内部を行き来すべき理由はここにあります。

また、組織の内部の要素も互いに影響し合っています。組織は、「戦略」「人事制度・システム」「組織構造・技術構造」などのハード面と「ヒューマンプロセス」というソフト面で構成されます。

そして、組織パフォーマンスはこれら4要素のうち一番低い部分に揃ってしまいます

例えば、戦略がいくら優れていても、パラダイムシフトに対応できない昔ながらの人事制度・教育が行われていては、外部環境に対応できません。

また、人事制度が整っていても、ヒューマンプロセスの要素で「社員が『どうせ会社は潰れない』と安心しきっている」「オンラインで互いの考えが伝わりづらくなっている」といった現象があれば、パフォーマンスは発揮できません。

したがって、組織を見るときには、外部環境を含め全体に目を向ける必要があるのです。外部環境が変化しているにもかかわらず、組織は変わらないままでは、当然そこにズレが生じます。

平尾さんは、「企業や人事を取り巻く動き」として、2022年の次のような話題を列挙しました。

企業や人事を取り巻く動き

〈日本企業を取り巻く環境〉
・企業倒産3年ぶり増 4~9月、物価高・円安が重荷(9月26日)
・人手不足、コロナ後最大。企業の5割で正社員足らず(10月12日)
〈働く人や組織についての考え方の変化〉
・日本、「出世願望」低く(7月6日)
・新興企業、副業支援で競う(10月12日)
〈人事の制度・仕組みの変化〉
・オムロン、週3日勤務も可能に 学び直し支援に新制度(11月22日)
・新卒採用、高度人材一本釣り(11月20日)
・NTTデータ、管理職3000人をジョブ型に DX事業に対応(8月5日)
・東京海上、本人同意のない転勤を撤廃 26年度にも(7月2日)

さらには、日本の従業員のエンゲージメント(従業員が会社の方向性に共感し自発的に貢献する意欲)の低さを示すデータも紹介。

米国35%、中国18%、ドイツ16%、韓国12%であるのに対して、日本は5%にとどまります(日経新聞11月23日)。平尾さんは、「95%は外在的価値で動いている」と指摘します。

エンゲージメントが低い理由は、日本の名目GDPの推移とも関係がありそうです。平尾さんは、次のように分析します。

マネジメントと人事制度に「納得感」が必要な理由

・1955年~1965年:「商品が無い時代」(作る側が答えを持っている時代)、メンタリティは「根性と気合」。
・1966年~1990年:「お金はある時代」(使う側が答えを持っている時代)、メンタリティは「まじめで従順」
・1991年~現在:「迷える時代」(誰も答えを持っていない時代)、メンタリティは「新しい枠組みの創造とリスクへの的確な対応」

1955年から現在までのメンタリティの変遷を見ると、現在の人事制度には「納得感」が求められるようになったことが分かります。納得感が得られなくては、従業員のエンゲージメントは高まりません。

以上のようなOD的な視点を前提に、本題へと入っていきました。

エンゲージメントを高めて「大きな川に橋を架ける」

「優秀な人を辞めさせないための人事制度の3つのポイント」は、次の3つです。
1. 企業人が意識すべき社会環境や法律の変化
2. 多様な価値観を持った人材を活かすための人事システム
3. 企業ビジョンと個人の内在的価値をどう結びつけるか

最初の2つのポイントについては、堀川眞也さんが解説しました。

内在的価値を軸とした組織作りセミナー

堀川さんは、20歳で外資系企業に入社し、同社の日本撤退にともなう整理解雇により42歳で日系企業へ転職。

46歳でさらに別の日系企業へと転職し、52歳で会社を退職して社会保険労務士事務所を開設した経歴の持ち主です。

外資系企業と日系企業の両方を経験し、会社員時代に海外でも仕事をする中で、多様な価値観を知り、海外から見た日本の現状にも気付かされたと言います。

そんな背景もあり、社労士として独立してからは「幸せに働けること、働く事で幸せに」をモットーに、「従業員も経営者も『ずっとハッピー』な関係」を目指しておられます。

堀川さんは、労使間の信頼関係を「大きな川に架かる橋」に例えます。労使間には大きな川のような隔たりがありますが、そこに橋を架けられれば両者の幸せな関係性を築けます。

「橋を架けられるか?」という問いは、「エンゲージメントを高められるか?」とも言い換えられます。

エンゲージメントが高まれば、従業員の心身は健康になります。心身の健康が維持されれば、従業員が持つ内在的価値が発揮されます。

内在的価値が発揮される環境では、従業員の会社への貢献度が高まります。橋をかけることで、このような好循環が生まれるのです。

ポイント1:社会環境や法律の変化を意識する

「優秀な人を辞めさせないための人事制度の3つのポイント」の1つ目は、「社会環境や法律の変化を意識する」という点です。

人口減少と働く人の意識の変化

労働者の転職に関する意識

社会環境の変化として堀川さんは、次の3つのデータを示します。
・人口減少社会の到来で、10年ごとに労働人口が10%ずつ減少する。
・働く人の3人に2人は同じ勤め先にこだわらない。・若年層の「働く目的」第1位は「楽しい生活をしたい」。

労働人口が激減している上、転職や「働くこと」への意識が変化しており、従業員の定着の難易度が上がっている現状があります。

従業員の定着が急務

では、従業員が定着しないとどのようなデメリットがあるのでしょうか。

従業員が定着しないと

堀川さんは、「新規採用の費用から収益を得るまでの人件費、教育担当者の時間的コストを合わせると、新人一人あたり年間450万円のコストがかかる」というデータを引用し、社員が辞めない会社作りが急務であることを強調します。

「離職の現状を改善せずに採用を続けた企業」のケースを「止血しないまま輸血をしている状態」と断じ、定着率を高めることを提案します。

定着率が高まれば、無駄な人件費を削減できます。さらには削減した費用を既存の従業員への福利厚生や環境改善に充てることも可能です。

そして、社会環境の変化を踏まえると、前例にとらわれない制度設計で定着率を上げることが急務なのです。

相次ぐ労働諸法令の改正

社会環境の変化に加え、近年、労働諸法令の改正も相次いでいます。堀川さんは、「過去の労働諸法令改正の一部」として、次の5つを紹介しました。
・働き方改革関連法(法定外勤務の上限規制、健康配慮・面接指導、年次有給休暇5日取得義務)
・同一労働同一賃金(非正規雇用の処遇改善、派遣従業員の処遇改善)
・高年齢者雇用安定法(65~70歳までの就労機会確保措置)
・労働施策総合推進法(ハラスメント防止関連の義務規定)
・賃金請求権の消滅時効期間等の見直し(2年→暫定3年、本則5年)
いずれも、経営にインパクトのある法改正です。

予定されている法改正

2022年だけでも育児介護休業法、国民年金法・厚生年金保険法、女性活躍推進法、労働施策総合推進法などの労働諸法令が改正され、中小企業が対象となる範囲も拡大しています。

来年以降も労働基準法の改正が続きます。

これらの法改正に対して、「法律通りにやっていたら会社が潰れる」と言う経営者の反応が予想されるところですが、堀川さんは法令を守らないリスクを次のように説明します。

インターネットが普及した今、デジタルネイティブである従業員は、インターネットで他社と自社を比較したり、裁判例を収集したりと、容易に情報を集められます。

このような「経営者以上に労働諸法令に詳しい」デジタルネイティブが台頭する今の時代、「うちの会社は違法だ」と気付いた従業員から訴えられるリスクがあるのです。

堀川さんは、「社会環境も法律も働く人の意識も変わる中、変化していないのは会社だけ。前例踏襲では生き残れません」と警鐘を鳴らします。

前例踏襲を脱却し、企業が生き残るには、パラダイムシフト(意識改革)が不可欠です。堀川さんは、次の2つの例を挙げてパラダイムシフトを促します。

パラダイムシフトの例

〈パラダイムシフトの例①:最低賃金の改定〉
「法律だから仕方なく上げる」という発想から、「すべての人材を戦力にする」発想へと転換。

すべての人材を戦力にする発想へと転換できれば、パート・アルバイトの従業員も「売上アップの要員」「売り上げを上乗せできる人材」ととらえるようになります。

ひいては、「パート・アルバイトの内在的価値を発揮させるには?」という問いへとつながっていきます。

〈パラダイムシフトの例②:有給休暇〉
「従業員の権利だから仕方ない」という発想から、「会社の休日=所定休日110日+有給休暇10日=120日」という発想へと転換。

休日を120日ととらえ直すことで、「休日が120日あっても収益を出せる会社の仕組みづくりをしよう」という考え方へとシフトし、従業員が有給休暇を取得しやすい環境になるかもしれません。

有給休暇を気兼ねなく取れるようになれば定着率が上がり、結果、有給休暇は「会社に定着してもらうための仕組み」として機能するようになります。

このように、法改正に対して「法律が変わるから仕方なく……」という受け身の姿勢をとることもできますし、パラダイムシフト(意識改革)と並行して「攻めの制度設計」へと舵を切ることも可能です。

堀川さんは、「法律の一歩先を行く制度の導入を検討しましょう」と呼びかけました。

心理的安全性の構築

心理的安全性のもたらすもの

続いて、心理的安全性にも触れました。心理的安全性のある職場とは、「『お互い様』の気持ちが醸成された、従業員が安心して働ける職場」です。

逆に、心理的安全性が欠如した職場では、病気で入院している従業員が「復帰後、居場所がなくなっているかも」と不安になったり、妊娠中の従業員が「育児休暇を取りにくい」と感じたりしてしまいます。

1989年に流行語となった「セクハラ」が33年経った今も温存されている会社や組織は、「変われない組織」の典型例です。こんなところにも、「変わること」が急務であることが表れています。

堀川さんは、心理的安全性を構築した例として任天堂の「カスタマーハラスメントについて」の宣言を紹介。

製造業である任天堂が、従業員を守りきる体制を表明した、ひとつのパラダイムシフトの例だと説きます。

心理的安全性の構築は、内在的価値を発揮できる土壌を醸成します。心理的安全性には次のような効果があり、ひいては業績アップにもつながるのです。
・安心安全な職場環境
・意見を受け止められる組織
・豊富なアイデアの共有
・主体性の向上
・会社へのロイヤリティの向上
・経営陣、幹部との絆の強化

ポイント2:多様な価値観を持った人材を活かすための人事システムを構築する

「優秀な人を辞めさせないための人事制度の3つのポイント」の2つ目は、「多様な価値観を持った人材を活かすための人事システムを構築する」という点です。

最初のステップは、「従前の制度のおさらい」から始めましょう。

堀川さんは、就業規則、各種休暇、育児介護休暇・休業、休職制度、賞与、退職金などの「法律通りの」制度を挙げ、「内在的価値の発揮に直接影響していますか?」と問いかけます。

その後、「多様な価値観を受け入れる制度の導入を検討してみましょう」と、次のような人事システムを列挙します。

多様な価値観を受け入れる制度導入の検討

・アルムナイネットワーク(退職者同窓会)の活用
・退職者の再雇用
・副業・兼業制度の拡充
・リカレント制度
・積立休暇制度
・有給休暇シェア制度
・カスタマーハラスメント対応
・同一労働同一賃金
・パート従業員の正社員登用
・多様性のある従業員の活用
・同性婚者に異性婚者と同等の制度

こうした制度を構築するにあたり重要なのは、前例に固執するのではなく、視点を大きく変えること。堀川さんは、「魅力ある制度の導入で、エンゲージメントを構築しましょう」と呼びかけました。

また、「LGBT求人サイトに65万人が集まった」「任天堂が同性も婚姻扱いとする社内規定の改定を行った」などのニュースや、障害者や外国人労働者を戦力にする好事例、不動産仲介業を展開する会社における例など、多様な価値観を受け入れる制度の具体例を紹介。

顧問先様の例 パラダイムシフトを営業戦略に

かつては「会社が社員を選ぶ時代」、今は「会社が社員に選ばれる時代」と指摘し、マインドセットの「オールリセット」を促しました。

堀川さんは、企業ビジョンと個人の内在的価値を結びつけるには、次の点が重要であると指摘します。
・会社がビジョンを共有し、浸透させて、方向性を示すこと。
・会社への帰属意識と貢献意識を引き出すこと。
・経営陣が従業員を信頼して相乗効果を生むこと。

これを前提に「組織開発の重要な要素としての制度を設計する上でのポイント」として、次の3つを掲げます。
1.ビジョンのギャップを埋める。
2.会社の方向性を見せる。
3.信頼関係を構築する。

最後に、「これらのポイントを押さえた制度設計が、内在的価値を引き出す原動力になります」として、平尾さんにバトンを渡しました。

ポイント3:企業ビジョンと個人の内在的価値をどう結び付けるか

「優秀な人を辞めさせないための人事制度の3つのポイント」の3つ目は、「企業ビジョンと個人の内在的価値をどう結び付けるか」という点です。

これについては、ふたたびCCIの平尾さんが解説しました。

強調されたのは、人事制度を変えるだけでは意味がないという点です。分かりやすい事例として、こんなケースを紹介しました。

「制度と組織開発」実際の事例①

社長「数年前に人事制度を変えたが、社員の行動が変わらない。むしろ退職者が増えている。CCIで人事制度を見直して欲しい。」

CCI「制度を再度変える必要があるかを含め、経営層と幹部に「今の経営と組織について何が本当の問題なのか」について個別ヒアリングをさせてください。」

幹部A「今の数字で必死なのに、将来のことなんて綺麗ごとでしょう。」

幹部B:「社長が組織を変えたいのは分かるけど目的が見えない。」

幹部C:「このままでも会社は潰れやしませんよ。」

平尾さんは、この状況について「経営層や幹部の目指していること、見えていることがバラバラ。人事制度だけ変えても機能するわけがない」と言います。

そこでCCIが行ったのは、ビジョンと問題意識をそろえる本音ミーティングです。

「制度と組織開発」実際の事例②

タブーなく根深い現状問題を洗い出し、既存の規範と組織文化の健全化をはかります

さらには、ビジョンの共有、問題の本質の究明、具体的行動の明確化を経てはじめて、人事制度の再改定を実施します。

このような本音ミーティングで「構造を変えられない本質」を探った上で、制度の再改定と現場実践、実践後の振り返りまでを行いました。

約10年を経た今も、同社は事業を順調に拡大し、社長のブレーンが健全に機能しています。

平尾さんは、「人事制度を作ることも大事ですが、いかに『変えられない本質』を変えていくかも探っていただきたい」と、セミナーを締めくくりました。

本セミナーでは、効果的な人事制度を実現する上で重要なポイントとして、次の3つを解説しました。
1. 社会環境や法律の変化を意識する。
2. 多様な価値観を持った人材を活かすための人事システムを設計する。
3. 企業ビジョンと個人の内在的価値を結び付ける。

次回は「内在的価値セミナー」シリーズ最終回、第5弾「中期戦略とOD」を2月に開催予定です。ぜひご参加ください!

◎会社概要
・株式会社シー・シー・アイ
https://cci-od.jp
・主な業務 コーポレート・カルチャー・アイデンティティ(Corporate Culture & Identity = CCI)
・〒107-0061東京都港区北青山3-6-7 青山パラシオタワー 11階
・03-5778-5192
・代表取締役会長 大島 岳
・代表取締役社長 平尾 貴治

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ライター:

1985年生まれ。米国の大学で政治哲学を学び、帰国後大学院で法律を学ぶ。裁判所勤務を経て酒類担当記者に転身。酒蔵や醸造機器メーカーの現場取材、トップインタビューの機会に恵まれる。老舗企業の取り組みや地域貢献、製造業における女性活躍の現状について知り、気候危機、ジェンダー、地方の活力創出といった分野への関心を深める。企業の「想い」と人の「語り」の発信が、よりよい社会の推進力になると信じて、執筆を続けている。

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