フクナガエンジニアリングの福永政弘社長は、これまで積極的に新しい取り組みを行ってきました。特に最近はミッション・ビジョン・バリューを策定し、社内への浸透を強く願っています。
福永社長は大胆にもcokiにて現場で感じている課題を公開で挙げてもらい、社員一人一人が当事者意識を持って果敢に取り組んでいくまでのプロセスを描いていきたいと要望されました。
そこで今回は現場のリーダーであるマネージャーの座談会を企画し、お客様サポートグループマネージャー 安東弘之さんとマーケティング部マネージャー 杜氏康浩さんに話を伺いました。
かなり率直な意見が語られました。本当に公開できるのでしょうか。
少し心配ですが、すべてをオープンにしたうえで改革を実施していきたいというフクナガエンジニアリングの強い想いを受けて、ここにやりとりを記します。すべての中小企業の参考になると思います。
(このレポートは2022年11月時点の現在地を記したものです。ここから会社がよくなっていく過程を記録していきます!)
フクナガエンジニアリングの5つの課題
フクナガの5つの課題
課題1 新しいものを導入して計画を立てるが継続しない
課題2 スケジュールをチェックするお母さん役がいない
課題3 コンサルタントに頼り過ぎて、メンバーがチャレンジをしなくなった
課題4 経営層が何も考えず、現場に丸投げする
課題5 社内ルールなどの管理的なガバナンスが全く利いていない
何でもチャレンジできて時代の最先端を取り入れるのがフクナガの良いところ
加藤
安東
お客様サポートグループマネージャーです。私を除いて自部門に3名のメンバーがいて、彼らの仕事の進め方や、日々の業務の相談事があったら、それを受けて方針を出しています。
私は営業担当でもあるので、お客さまからのお問い合わせを受けて、大口の案件や少し難しい案件をメインで対応しています。対外的なところでは、幾つかある協力先との折衝や情報交換をしています。
また、会社のミッション・ビジョン・バリューの浸透と深化・探索のための計画の作成と、メンバーへの落とし込みを行っています。
私が全社を担当しているという意味ではなく、各グループリーダーが各チームメンバーに落とし込みをしています。
個々人の日々の行動とのつながりは、マネージャーが基本的に方針を立ててメンバーと相談して作っていくという形です。
杜氏
マーケティング部マネージャーです。部署としては、私ともう一人の2人です。
一般的なマーケティングやデジタルマーケティングがメインの業務になっています。サイトのレイアウトや内容を考えること、ライティングなど担当しています。
また、社員のパソコンの手配、セットアップ、ヘルプデスク、サーバーの構築、システムの入れ替えも含めて、システム関係全般担当しています。
基本的には私も安東さんもプレーイングマネージャーなので、以上の業務をしつつ、評価なども担当しています。
加藤
安東
2006年に新卒で入社しました。私が新卒の時から4年後ぐらいまでは、弊社は新卒採用に力を入れていました。それ以降は海外の人や、縁故で入社する人が増えました。
人事、総務に5年、金属のスクラップ、リサイクルの部門で5年経験し、フレコンバックの部署になりました。
役員の1人である乾晃一郎さんがベトナム法人の社長に就任する時に、ソフトバッグ事業のお客様サポートグループが空いてしまったので、私が配属されたという流れです。
杜氏
2008年に新卒入社して以降、社内ジプシーのような感じでした。営業部署で入って、管理部門の情報システム、管理部門の人事、総務、経理を経て、管理全体、そしてマーケティングです。
担当していないのはリ・メタル事業だけで、全事業部をほぼ経験しています。あっという間に弊社の中でも最古参の部類になりました。
加藤
取締役の3名以外で、お二人よりも先輩にあたる方はいらっしゃるのですか。
安東
加藤
本当に古参のメンバーなのですね。御社の良いところを教えてください。
杜氏
いい意味で適当ですね。「やりたい」と言えば「やってみろ」と言われます。
そこに政治的な調整は必要ありません。適当なので後に痛みもあるのですけれども、基本的に何でもチャレンジさせてもらえます。
ルールはないに等しい感じです。そのような緩いところが良さではあります。社内のシステムでも、私が「こういうものがいいのではないか」と言えば認められます。
安東
乾さんも、もともと海外で仕事をしたいという思いがあったので、そこからベトナム法人ができたと思います。
他の良いところとしては、福永社長が新しもの好きなので、とにかく時代の最先端を取り入れようとする点ですね。
例えば「フクナガさんは中小企業なのに、全員がテレワークをしているなんてすごいですね」などと言われるように、大手企業よりも先に取り組んで定着していく点は、良いところだと思います。
しかし、その反面、いろいろな課題があります。
加藤
そのようですね。今度は御社の良さの裏側にある課題についてお聞かせください。
フクナガの5つの課題
課題1 新しいものを導入して計画を立てるが継続しない
杜氏
先ほど安東さんが言ったように、福永社長は新しもの好きでいろいろなことを取り入れるのですが、コレクター癖に近いところがあります。
一つを導入するとそれで満足するので、次の新しいものを探しにいくのです。会社を改善していくために、どんどん新しい知恵を取り入れていきたいことはわかりますが、例えば、コンサルタントが入って新しい人材育成の仕組みに取り組み、3~4年たったら違う仕組みに取り組むという形です。
直近でも「ランクアップノートを定着させよう」、「7つの習慣だ」、「OKRだ」という感じで、前のものをやめるというアナウンスがなく次々と変わります。
計画を立てることは大好きですが、継続されることはありません。例えば7年計画が毎年更新されて、どんどん年数が延びていき、忘れていく感じです。撤退基準を決めないということかもしれません。
やることを決めることよりも、やらないことを決めることがもっと大事だと思うのですが、全部手に残っていって、ぽろぽろ落ちていって、全員忙しいという感じです。
加藤
途中検証や振り返りをする場を意識的に設けることが必要そうですね。
杜氏
あるのですけれども、大体2回目ぐらい実施して、その後、フェードアウトする傾向がありますね。
課題2 スケジュールをチェックするお母さん役がいない
杜氏
端的に言うと、お母さん役がいないのです。「忘れているよ。スケジュールを入れておくよ」と言う人がいないので、忘れていくのです。
役員はいろいろなことに忙しいのです。例えば今年は、ミッション・ビジョン・バリューを作って、四半期に1回振り返りをしていくということでした。
6月に振り返りやって、次、9月にやる予定だったのですが、やらないまま11月になっています。
もうそろそろ飽きたのかなという感じです。導入していく全てのものに、こういうパターンが当てはまっていくのです。
私が入社した時から人数が半分ぐらいに減っていますが、業務量は変わらないので、一人一人が抱えている業務量が多過ぎるのかもしれないです。
課題3 コンサルタントに頼り過ぎて、メンバーがチャレンジをしなくなった
安東
新しいことに取り組むのですけれども、どうなっているか分からないまま、次のものにいくということに慣れてしまっていますから、結局最初のミッションは浸透しないということになります。
なおかつ取り組む項目も多いとなると、最終目標を追い掛けているのか、行動することが目的になっているのかも分からなくなってきます。そのおおもとは、コンサルタントに頼り過ぎていることだと思います。
加藤
安東
コンサルタントがいない時はないです。一番多い時は20人ぐらいいました。どれだけコンサルタントに金を使うのかという感じです。
自社の根本がない状態だったので、コンサルタントが会社を運営しているようになってしまいました。
言われたことに対して「それはいい」と行動していったので、コンサルタント同士の意見が合わない時は、ぐちゃぐちゃになりました。
チャレンジしたいことを認めてくれる会社だったですが、コンサルタントに新しいことを言われ過ぎて、チャレンジしたいことが出てこない状態になりました。
言われたことをやることに慣れてしまって、発想が出てこないのです。どうしても受け身的になった時代があったので、幹部候補になる社員は会社と合わなくなって辞めていきました。
今残っているメンバーは、会社に対して要望を言うというよりも、日々の生活のために安定的に働くことができて、安定的な収入が得られればいいという傾向になっています。これも深刻な課題だと思います。
加藤
安東
杜氏
もう1人、1~2カ月の人がいますから、今は3人ですね。
安東
課題4 経営層が何も考えず、現場に丸投げする
加藤
課題1、2に関してはコンサルタントの方たちも把握しているはずですが、改善策はなかったのでしょうか。
杜氏
コンサルタントの方たちからも、「ちゃんと振り返りをしたほうがいいですよ」と言われました。
そのたびに「改善目安箱を置こう」とか「それをやる人を集めよう」となるのですが、社員には日常業務があるので、そこの管理が追い付きません。
「こういう声が上がったから、システムの部分なのでマーケティング部署でよろしく」と丸投げされます。
情報整理、交通整理をせずに、そのまま渡してくるのです。そこをかみ砕く、料理をする、飲み込める形にするということは、全部こちらに飛んでくるので、まず戸惑いが生まれます。
その後は、やってもやっていなくても何も言われませんから、取りあえず4割ぐらいアクセルを踏んでいたらいいのではないかという感じになってしまいます。
安東
今年の「コト売りをしよう」という話が、一番いい例です。
経営層はふわっとしたことを決めるのは好きなのですが、それについての考えを深めずに「あとは現場でよろしく」と丸投げしてきます。結局、計画を作るのはわれわれグループマネージャーです。
当然、われわれが計画を作ったので取り組まなければいけないのですが、この内容でうまくいくのか分からないまま進みます。うまくいくのかどうか微妙なことを下のメンバーには言いにくいです。
メンバーそれぞれは一生懸命考えて取り組んではいるのですが、「これはコト売りなのだろうか」という自問自答が全員に巻き起こっています。
課題5 社内ルールなどの管理的なガバナンスが全く利いていない
加藤
社内ルールを浸透させるにあたってのガバナンスや内部統制の仕組みはあるのですか。
杜氏
ないです。社内ルールなどの管理的なガバナンスは全く利いていないです。恐らく人事制度も、テレワークの前から決めて、私や安東さんが触っていた頃からアップデートされていないです。
加藤
人事のコンサルタントが入っているということですが、そこは担当していないのですか。
杜氏
社内をもっと盛り上げていこうという部分を担当している感じです。エンゲージメントやモチベーションを高めようということですね。
われわれが経営を担うとしたら、このように課題を解決する!
加藤
企業経営では一人ひとりが主体的になることが最も重要なことだと思います。課題を感じている当事者であるお二人が、もし次代の経営を担うとしたら、上記の課題をどのように解決しようと思いますか。
安東
とにかく皆で決めた1個の目標を達成してみるということです。たくさん取り組むのではなく、1個に絞るのです。
その進捗を社員全員にフィードバックして追い掛け、1個の目標に対して熱量を高く持つようにします。
弊社は部署内の連携や仲間意識が強いのですが、他部署との関係になると疎遠になっています。会社全体で追い掛けることで結果を共有でき、次の取り組みの土台になります。
もう一つは、経営層から丸投げしてメンバーに考えさせるスタンスはやめて、経営層とリーダー側である程度の方向性や取り組みを決めて、それに対してメンバーに意見を言ってもらうような「最初の小さな1歩」を踏み出していくことだと思います。
今まではその1歩を全部飛ばして、いきなりメンバーに意見を求めてきましたが、それは少し早いと思います。
先ほども言ったとおり、メンバーは安定志向になっているので、そこまで意識を持っていないからです。
杜氏
安東さんの意見と似ているのですが、方向性を示すことだと思っています。
現在はふわっとしたやりたいことを提示されるので、いろいろな解釈をしてしまいます。
メンバーは真面目なので、それぞれが思ったことを一生懸命に取り組むのですが、方向性が統一できずに、同じところでずっとぐるぐるしていることがあります
方向性をきちんと示し、安東さんが言うように1つのことに絞って取り組んでいくことが良いと思います。
加藤
経営は時間軸を限定して物事を考える必要もあります。もし仮に、会社の余力がなく、1年で変革しないと生き残れないとしたら、どういったことに取り組みますか。
安東
他を全てそぎ落とし、1つの目標達成だけに絞って取り組みます。
余力がない状態で全て手を出しているわけにはいきません。優先順位を決めて、他には一切手を触れないし、目も触れないようにするという一点突破で打開していきます。
例えば、利益を上げなければいけないということであれば、それだけに集中します。
具体的には、売り上げ拡大と経費削減です。売り上げ拡大には、いろいろ手だてがあるでしょう。経費削減には、コンサルタントをなくすことや、仕入れ原価の再交渉などがあるでしょう。
もちろん、将来的にはコト売りなどの新しいことは重要なのでしょうけれども、まずは土台からです。稼いだ分で人の余裕が生まれた上で、新しいことに取り組みます。
杜氏
売り上げ拡大の1つに絞ります。弊社はまだ今のビジネスを究めていないと思っています。
例えば経営層は、フレコンバックもタイヤも、これ以上やっていても将来性はないから、新しいことを始めようと言っています。
しかし、果たしてわれわれは今まで死ぬほど努力をしたのかいうと、そうではないのです。
ターゲットのお客さんに対して、売り上げを最大化する方法は何か、もっと皆で考え、いろいろな取り組みを試してみるべきです。
加藤
メンバーが安定志向に陥っているという話でしたが、彼らのモチベーションを上げるにはどうしたらいいでしょうか。
安東
会社全体としての目標をチームで追い掛けることでしょう。1人でやっているのではないという雰囲気を出すことが重要です。
会社全体から「あのチームのあの人はできていない」と見られることで、取り組まざるを得ないというネガティブな側面でのモチベーションが生まれます。
反対に、「チームのメンバーが喜んでいるから頑張ろう」というポジティブな発想も、弊社は生まれやすいです。
杜氏
メンバーからすると、役員はあまりこちらを見てくれてない感じが強いと思います。
例えば社長とランチミーティングをして課題を話すのですが、その後のリアクションがなく、ふわっとしたままになってしまいます。
そして「もう一回、ランチミーティングをします。毎月します」と言うのです。もう課題は話したので、解決してほしい、何とかしてほしい、助けてほしいのです。
表彰制度も3回ぐらいテコ入れをして、3回とも消失しました。今、表彰制度と言うと、メンバーはがっかりします。
端的に言えば、役員は人に興味がないのです。取りあえず取り組んでみて、効果がなくマンネリ化したからフェードアウトしていくパターンが多いです。
信頼口座の残高が底を突きつつあるのではないでしょうか。メンバーのモチベーションアップには、役員の信頼を回復していくことが重要だと思います。
改革に時間を使えるプロジェクトチームがあってしかるべき
加藤
これまでお話を聞いていて、最も重要となる解決策はお母さん役を立てることではないかと感じました。何かアイデアがありますか。
安東
外部から人を入れることや代替システムを導入しても、今までの歴史が証明しているとおり100%うまくいかずに、無駄に費用だけが発生します。社内で立てるからこそ浸透するし、意見でも出ると思います。
杜氏
しかし、お母さん役をできる心の余裕がある人はいないですよね。
加藤
そのポジショニングを新設して、振り返りや業務の流れ、コト売りやミッション・ビジョン・バリューの浸透に徹する人がいたら、状況は改善しそうですか。
安東
もちろん、「どうですか?」と聞くだけではなくて、一緒に考え、アイデアを出したら他の部署とつなぐ役割の人がいれば、結構変わってくるのではないでしょうか。
杜氏
そうだと思います。ただし、弊社は間接部門にコストを掛けることを極端に避けようとします。ある程度営業のことも知っていないと、「何も知らないくせに」という話も出やすいです。
安東
その意味では、全チームのつなぎ役をする管理チームがないといけないでしょうね。既存事業は今のメンバーが頑張るので、改革に時間を使えるプロジェクトチームがあってしかるべきです。
加藤
そういうポジショニングを社内公募した時に、名乗り出る人はいますか。
安東
杜氏
担当できる人が直近で辞めました。
私や安東さんから見ると、役員はずっと上の人なので遠慮して言いにくいのですが、その人は外部からの中途入社で、なおかつフランクに話す人だったので、役員に対しても好き放題に言いましたし、社長に対しても文句を言う人でした。
いろいろなことを聞いてくれて、それを伝えてくれる立場でした。そこが欠けたことは、割とダメージは大きいと思います。
加藤
それを人事や経営のコンサルタントが代替することは難しいのですか。
杜氏
結局、そこの課題感が私たちとずれているのではないでしょうか。
そういう部分は課題だと考えていないと思います。人事制度がうまくいっていないという課題感はあるのですが、なぜ人事制度がうまくいっていないのかとは考えない感じがします。
加藤
そこまで深掘りはしないのですね。社内公募をしても出てこないとしたら、例えばお二人はどうなのでしょうか。今の業務を部下に引き渡せばできますか。それとも、それは自分の任務ではないと思います。
安東
業務を引き渡せたらいいのですが、量が多いのです。私の下に、サブリーダーのポジションの方が8月に中途で入ってきたのですが、その方がある程度育ってからであれば私は担当できると思います。
加藤
本質的には取締役の古川さんがそこに専念するべきかもしれませんが、経理なども担当しているので現実は難しいので、誰かを充てないといけないのでしょうね。
私もお話をお聞きして、安東さんが適任と思います。
杜氏
皆、実行はすると思うので、先ほども言ったように「お母さん役」でいいと思うのです。
社長に文句も言えるとか、「ちゃんとやってくださいよ。期限が切れていますよ」と言える人だけでも、結構変わるのではないかと思います。
加藤
それがコンサルタントの仕事だと思います。そういう認識でコンサルタントは入っていないのですね。
杜氏
安東
加藤
私は来週、もう一方のチームにお話を伺います。そこでお聞きした内容を福永社長に進言した時に、聞く性格なのでしょうか。聞いてはくれるのですが、その後の変化がないのでしょうか。
杜氏
『7つの習慣』も「これはいいから皆やれ」と社員に言うのですが、『7つの習慣』で言われていることをあなたたちは実践できているのか、腹落ちできているのかということです。
多分、「自分たちはそういう立場ではないから」と言っているのです。
加藤
逃げてしまうのですね。それを改善すれば前進できそうですね。
杜氏
我が強いというか、意思がはっきりしているというか、そこが難しいのです。それぞれがそれぞれの正義を持っているのです。
加藤
きょう話を聞いている限りでは、課題は明白で、そこに充てるべき対処法も結構明白で分かっているだけに、それができればいいのだという感じではありますね。
杜氏
そうですね。そう思いつつ、結構長いこと来ているので。
安東
杜氏
安東や私はずっとそれを見続けているので、もやもやし続けている感じです。
安東
4~5年前の資料を、今年の計画だと言って出したらいいのではないかと思います。
加藤
社長はミッション・ビジョン・バリューだと言っているけれども、皆さんは理念を大事に思っているのですか。私はミッション・ビジョン・バリューが皆さんの中に腹落ちしていないのではないかと感じています。
安東
そうですね。これから腹落ちさせていくのだというぐらいです。あれができて2年目になるのでしたか。
杜氏
安東
そうか。1年目の理念なので全然落ちていないです。昔作っていた経営理念も唱和していて、話せるけれども、何かしていたかというと、そういうわけでもないでした。
加藤
皆、そうですよね。
ただし、一つだけ言うなら、ミッション・ビジョン・バリューにするのだったら、それを体現するということはどういうことなのかということは、きちんと言語化されているべきだし、それを体現した人が、金銭報酬も含めて、最も評価されるような制度になっていないと浸透しないです。
安東
全て新しいものに切り替えたばかりなので、どれも中途半端でうまく機能していないです。
加藤
経営陣が入らないで、皆さんのマネージャー層がいろいろな人たちの話し合いを通して、逆に整えていくほうがいいと思いました。
安東
本当はマネージャーがもう少し手が空いていたら、マネージャーたちで1個何かプロジェクトをしたらいいのではないかと思います。
下を巻き込まずに、マネージャーの7~8人で1個のプロジェクトをすることが、一番進むとは思っています。それができれば一番いいですが、おのおのが持っている仕事の量があるのでうまくいかないです。
杜氏
ミッション・ビジョン・バリューを作る時も、割とマネージャーの意見を大切にしていたのですが、集約する時に経営陣の「これは違う。これはこうだ」というエッセンスが強く入って、最終的に私たちが考えたニュアンスと違いました。
安東
これは、ミッション・ビジョン・バリューの立て方から、そうなると思っていました。
皆の意見を集約しようというスタートだったので、それを調整していけば、誰もが中途半端に納得するものか、どれかに偏るしかないのです。それは最初から分かっていたので、仕方のないと思っています。
ですから最初は、ある程度コアな部分は社長方針があって、そこで決めていただいて、その上でわれわれが肉付けするほうがいいと思いました。
そうではなくて、一から皆で意見を出して決めていきたいというのが今回の方針だったので、それで意見が合う、合わないということがあって、決めるまでに4月手前になって、そこから計画作りが始まったので、2~3週間で計画を作らなければいけなくなりました。
ですから、マネージャーと経営層は、そういう意味ではいろいろ話をして、理念に対してはそこそこ考えたものができ上がっているのですけども、それが浸透しているか、大事にしているかというと、また違います。
加藤
安東
杜氏
加藤
そうすると、まだまだフクナガエンジニアリングで働く必要はあるわけですよね。
杜氏
加藤
そうすると、やはり改革の担い手は皆さんでなければ駄目ですね。御社は、他の会社と比べて特別に悪いというわけではないでしょう。
しかし、このままこの問題を放置して、これからの不確実性の高い時代を生き残っていけるかと考えると、早い段階で改革しないといけないでしょう。
何もしないで10年先まで持つような会社の状況ではないのではないかと感じました。やはり皆さんが当事者にならないと駄目なのではないかということを、きょうの話を聞いていて感じました。
今回、福永社長がわれわれに期待していたことはPRだったと思うのですが、どうやらPRだけではなくて、会社がより深くトランスフォームしていくプロセス自体を追っていってほしいという趣旨が分かりました。
逆に言えば、これだけ課題が明確化していて、一人一人が解決策まで見えているということは、難しいミッションではないと思いました。
他社の話を聞くと、「対処のしようがありません」というところに落ち着いてしまう会社もあります。もっとひどいケースでは、そもそも社長が誰の話も聞かないという会社もたくさんあります。
それに比べて御社は、社員の声を拾おうとしています。拾った上で、それを取り入れるかどうかは怪しいですが、拾おうとしているところには救いがあります。
なにより、きょうお話ししていても、お二人がこのままではいけないということを感じていて、そういった人たちが会社のコアな部分を担っているということは感じました。
皆さんの要望として何かありますか。
杜氏
結局、もっと考えることを減らしてほしいし、きちんと人を配置してほしいということになります。
加藤
業務量が多いのですよね。聞いたところでは、以前より半分近くの人数になったのに同じことをしているということなので、そのしわ寄せがあるのでしょうか。
安東
それは実際にそうです。メンバーの負担は過去よりも増えています。マネージャーも一部それをやらなければいけないということもあります。
あとはやはり新しいことを曲がりなりにも作ってやらなければならないとなると、マネージャーが動かざるを得ないので、いろいろなことに時間を取られていることが多いです。
杜氏
良くも悪くも、多分、現状の既存業務はマネージャー層で回っていると思うので、役員はもう少し暇になってほしいです。
安東
マネージャーがそうなのに、役員は何しているのだろうと思っています。
杜氏
暇という感じを出してくれないと相談もしにくいのです。
加藤
安東
そうですね。今年作ったもので、手が付いていないものが3~4項ありますが、どうするのか。
加藤
安東
例えば、3年後の新規事業をやるための種を見つけることが、もともと上半期であったのですが、多分、ほぼ手付かずです。
営業部のグループマネージャーが中に多く入っているのですが、種を見つけるといっても、どのようにしていくか決まらないまま、項目だけ入っています。
そうなった状態で今に至っているのですが、先ほど言ったような進捗管理や追い掛けをどうしようということになっていません。
あと半年で本年度が終わりますが、あれだけ時間をかけて作ったのに、昨年、一昨年と同じ流れを歩もうとしています。
今からでも、自分たちが立てた分なのだから、もう少し見たりとか、やったりしてほしいです。やらないのだったらやらないと決めて、メンバーにも告知するべきです。それがいつもうやむやなのです。
加藤
それはストレスがたまってしまいますね。また皆さんとお話しさせてもらいながら、定点観測していくしかなさそうだと感じました。多分、来週もこういった話になりそうですね。
加藤
杜氏
もっと考えることを減らしてほしいし、きちんと人を配置してほしいです。先ほども言いましたが、業務量が多いのです。
以前より半分近くの人数になったのに同じことをしているので、そのしわ寄せがあるのです。
安東
そうです。メンバーの負担は過去よりも増えているので、新しいことに取り組むにはマネージャーが動かざるを得ません。進捗管理をして、しっかりとメンバーに告知してほしいです。
杜氏
役員の方は何をしているのですか。仕事をしていないという意味ではないです。役員の方たちは基本的にコミュニケーションが薄いです。
進捗もそうですけれども、どこで何をしているのか、あまり言わないタイプの人たちなのです。もう少し積極的に話してくれたら、受け取り方も全然違うと思います。
安東
役員はどんな仕事を抱えているのか聞きたいです。
本年度立てた目標の進捗具合を把握しているのか、どういう気持ちでいるのか。上半期が終わってみて、そもそも本年度の目標達成率をどう思っているのか。危ないと思っているのか。それを聞いてみたいです。
加藤
社内の役職の付いていないメンバー全員です。経営層やリーダーが決めた新しい取り組みや制度で、だいぶ振り回されているはずです。
特にコロナ禍になってからは、ものすごいスピードで激しい変化がありますが、売り上げが落ちてはいけません。文句を言いながらも付いてきていただいているのは、ありがたいことです。
今いるメンバーが2~3人抜けたら、弊社は回らなくなります。メンバーの方には感謝したいです。
私も基本的にはメンバー、特に自分の部下ですね。あとは安東さんの営業部門との距離が近いので、そこにも感謝しています。
加藤
本日は率直な意見がたくさん出ました。皆さんが真剣に考えているからこその意見ですね。この意見をベースに改善がなされ、今後ますます御社が発展しますよう祈念します。
この記事を公開したら、今度は改めて役員陣と会社を改善していくためにどうすべきかを話しあう必要がありますね。
これだけ皆さんが熱い思いで会社の課題を洗い出していただいたので、次は、取り組みの定着をどうするか、お母さん役をどうするかを場をもうけて考えていきたいです。
きちんと実装できたら、御社は大きく羽ばたけますね。引き続きcokiでも動向を追わせてもらいます。
◎プロフィール
安東弘之さん
1982年、大阪府生まれ。
大学卒業後、2006年にフクナガエンジニアリングに新卒入社。
管理部門の人事、総務、金属スクラップのリサイクル部門、フレコンバック部門を経て、現在はお客様サポートグループマネージャーを担当している。
杜氏康浩さん
1985年、大阪府生まれ。
大学卒業後、2008年にフクナガエンジニアリングに新卒入社。
営業部門の情報システム担当から始まり、管理部門の人事、総務、経理、管理全体を経て、現在はマーケティング部マネージャーを担当している。