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株式会社フクナガエンジニアリング

https://www.ecosoft.co.jp/

大阪府大阪市城東区鴫野西5-13-30

【課題の公開討論2】決断と責任に裏打ちされたミッション経営を! 明日のフクナガエンジニアリングを考える会

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株式会社フクナガエンジニアリング タイヤ事業部マネージャー 山﨑正喜さん(左上)、ロジスティックスグループマネージャー 植木満さん(中央上)、ベトナム支社マネージャー Thuy Tran Hongさん(右上)、人事部マネージャー 近藤正史さん(左下)
株式会社フクナガエンジニアリング タイヤ事業部マネージャー 山﨑正喜さん(左上)、ロジスティックスグループマネージャー 植木満さん(中央上)、ベトナム支社マネージャー Thuy Tran Hongさん(右上)、人事部マネージャー 近藤正史さん(左下)

フクナガエンジニアリングの福永政弘社長が強く願っているミッション経営を浸透させていくために、現場リーダーが課題を透明化して、解決策を話し合う座談会の第2弾です。

前回は新卒入社のマネージャー2名に登場していただきましたが、今回は中途入社組のマネージャーである、山﨑正喜さん、植木満さん、Thuy Tran Hongさん、近藤正史さんの4名です。

他の企業での勤務経験がある4名からは、前回よりも厳しい意見も飛び出しました。今回もかなり率直な意見が語られました。

すべてをオープンにしたうえで改革を実施していきたいというフクナガエンジニアリングの強い想いを受けて、ここにやりとりを記します。すべての中小企業の参考になると思います。

(このレポートは2022年11月時点の現在地を記したものです。ここから会社がよくなっていく過程を記録していきます!)

自由に仕事をさせてもらえて、チャレンジしたいことに取り組める

加藤

まず自己紹介からお願いします。

山崎

今までずっと奈良県に住んでいます。フクナガに入社して今年で10年目です。

フォークリフト用のタイヤを販売しているタイヤ事業部に所属しておりまして、マネージャーという役割です。入社した時からタイヤ以外の事業部の経験はありません。

中途採用で入社しており、前職はAED、心電図などの医療機器を販売している会社の営業職でした。もともとフクナガの役員だった方が私の知り合いで、面白い会社があるという話を伺っていました。

福永社長と面談した時に、面白い人だと感じました。前職の会社は大きな会社でしたが、フクナガは小さな会社なので、今から成長する機会も多いのではないかということで転職することにしました。

植木

生まれも育ちも東大阪です。前職はバイクの販売会社でイベント担当をしていました。仕事であちらこちらを転々としましたが、最終的には東大阪に落ち着きました。

入社して12年目で、山﨑さんと1年違いです。ロジスティックスグループの責任者、マネージャーをしています。

わが事業部は国内物流、品質管理、技術対応という3つの機能を持っていまして、それぞれを担当するメンバーがいます。

フクナガの責任者は皆、プレーイングマネジャーですので、私もマネージャーをしながら技術対応をしています。

Thuy

入社3年目です。ベトナム支社でマネージャーとして仕事をしています。海外部ですけれどもベトナム法人なので、会計、経理、人事、総務、調達、営業、全ての部門があります。

日本本社のようにきちんと部門は分けておらず、1つのチームになっています。ですから、私は全ての管理をしなければなりません。

前職はパナソニックで12年間働きました。入社した目的は、会社が家から近くて、歩いて5分なので、仕事と家庭の両立ができるからです。

近藤

奈良県の出身です。人事グループという部署で人事担当をしています。

2013年10月に中途入社したので、山﨑さんの8カ月後ぐらいです。前職は通信関係の会社で営業兼調査員でした。電波調査をしながら営業もしていました。

たまたま転職サイトを探している時に、フクナガの募集ページにインパクトを受けました。

当時、フクナガでは金属スクラップ事業をしていたので、環境事業についていろいろ書かれていて、東日本大震災の被災地にフレコンバックを提供したという記述もあったので興味を持ちました。

また会社が祖母の家の近所でなじみのある場所だったので入社しました。

加藤

御社の良いところを教えてください。

山崎

会社の規則が全然厳しくないので、ある程度自由に仕事をさせてもらえるところですね。営業に関しても数字で追い込まれることもなく、楽しく仕事ができています。

植木

何でも割とすんなりチャレンジさせてもらえる点ですね。

Thuy

会社が目先のことを追い掛けず、チャレンジしたいことに取り組める点です。

計画を立てて、自分の夢を実現することもできます。また、私の入社の目的が仕事と家庭の両立だったので、オンラインで仕事ができて、その目的を達成できている点も良いです。

近藤

いい意味で自由なところが好きです。会社によっては意見が出しづらいこともありますが、フクナガはその辺が自由です。誰でもいろいろなことが言えるのは良いところだと思っています。

フクナガの6つの課題

フクナガエンジニアリング 本社外観
加藤

御社の課題をざっくばらんにお聞かせください。

課題1 利益を生み出すことに注力していない

山崎

たくさんあり過ぎて、何から言ったいいか分からないです。

まず、何を取り組むにしても、きちんと利益を出すべきだと思っています。社会貢献もそうですし、メンバーがチャレンジしたいことを仕事につなげるにしても、全てにお金が掛かります。

残念ながらフクナガの場合は、利益を上げて会社を大きくすることは後回しで、経営陣がチャレンジしたいことを率先して取り組んでいる感じがします。

根本的に、もう少しきちん利益を生み出すことに注力してほしいと思います。

加藤

先ほど山﨑さんはフクナガの良いところとして、数字で追い込まれないことを挙げました。しかし、皆が利益を上げることにコミットしないことが課題だと思うわけですね。

山崎

はい。自由にもさせていただいていますが、私は営業畑の出身なので、最終的にはどれだけ利益を会社にもたらせたかというところが最も重要だと思っています。

会社の方向性、経営陣の考え方、行動などを見ていると、少し違うと感じます。
大企業の経営層の役割は、社員をどう動かすかということだと思います。

しかしフクナガは30人程度の小さな会社なので、経営層もある程度実務に関わりながら将来のことを考えるべきだと思います。

別に実務をしてほしいと思っているわけではありませんが、実質的に考えて取り組むのは、われわれマネージャーを含めた社員であり、ここが利益を生み出しているのです。

経営層はもう少しわれわれの仕事に関わるべきだと思います。

課題2 計画を作ることは好きだが、検証・継続しない

山崎

利益を生み出しているわれわれの仕事に関わらずに何をしているかというと、計画作りです。

計画を作ることは本当に好きで、皆で頑張って時間もかけて作っています。そして実行するのですが、途中で検証をせず、結果的に計画は継続しません。

検証・継続をする前に、また新しいことが出てきて、また計画を作るということをずっと繰り返していることを私は見てきました。

課題3 コンサルタントが多過ぎて、経営層が責任を取らない

加藤

過去はたくさんのコンサルタントが御社に関わっていて、混乱していた時期があったそうですね。今はコンサルタントも2~3人と少なくなってきたということを安東さんと杜氏さんに伺いました。

山崎

いや、そんなことはないと思いますよ。今もかなり多いと思います。私が知る限り数人以上います。

最近、私は経営層に「コンサルタントをゼロにしたらいい。自分たちで考えて、失敗したら自分たちで責任を取るべきだ」と言っています。

われわれは確かに経営層の深い考えまでは分からないですけれども、営業で問われる費用対効果と一緒だと思います。

コンサルタントに掛けた費用はどれだけの効果をもたらしているのかという検証は絶対に必要です。そこは臭い部分なので、全部ふたをしてしまいます。言い方は悪いですが、ずるいと思います。

課題4 5年以上勤務を続ける社員がいない

植木

私が感じている課題は、5年以上勤務を続ける社員がいないということです。

私の部署も先月1人辞めました。私や山﨑さんが入社して約10年ですが、その間に3年ぐらいで辞めていった人がほとんどでした。

この会社で何十年も働き続けられないという感じで辞めていくパターンが多いです。3年間一緒に仕事をして、覚えてもらった時間が大変な無駄だと思っています。

また一からやり直しになってしまいますから、全然発展しないです。
働いているメンバーが計画的に将来を見えるようになれば、会社に残っていくと思います。

例えば2年後にはこのポジションになっていて、給料は幾ら頂けるということが透明化されていれば違うのではないでしょうか。

説明しているつもりになっているかもしれないけれども、メンバーは理解していないです。

課題5 新しい評価制度が現場にマッチしていない

植木

評価制度も一昨年から新しいものになっていますが、新しいチャレンジを中心に評価が組み立てられているので、既存業務を抱えている人たちは評価されず、納得していません。

Thuy

現在のフクナガには、既存事業の「深化」と新事業開発の「探索」という2つの目標がありますけれども、今求められているのは「探索」のほうに偏っています。

ですから、日々の業務はそれほど評価されません。新しい評価制度が現場にマッチしていないのです。

われわれは日々の既存事業の業績をベースに給料やボーナスを頂きます。そのような既存事業の「深化」に集中できるような評価制度にするべきではないでしょうか。

評価の基準となる目標値を設定する時に、例えば社員は「深化」が70%、「探索」が30%、マネージャーは「深化」が20%、「探索」が80%というように、職域によって分けてほしいです。

「探索」の部分は、中長期で初めて結果が出るものですから、どのように評価をするか皆で納得するまで議論をしてほしいです。それが透明化されていれば、皆がそこに向かって走っていくことができます。

さらに「探索」を実施する投資金額としてのコンサルタント費用や、人件費、ボーナスなども、きちんと見通しに入れてもらわないといけません。

そういうことを野村さんにも話をしました。野村さんは「そうですね」と言いましたけれども、その後会社として理解いただけたのかは分からないです。

加藤

人事部の近藤さんは、評価の基準に不満が多いということに対して、どのように思いますか。

近藤

人事制度については、全社員にアンケートを取って意見を出していただいています。

その意見を基に経営層と人事部で検討を進めていって、外部コンサルタントの意見も伺っています。課題があることは事実なので、今はそれに対してどう対処していくか検討している段階です。

社員へのロードマップの提示もこれからとなりますが、具体的にいつになるかは不明です。

一応、来期に向けて課題に対して取り組んでいこうという話をしている状況です。この四半期でロードマップを策定するというような時間軸ではありません。すぐには無理ですね。

課題6 経営層への信頼がない

加藤

アンケートの回答の中で、共有できるものがあればお話しいただけますか。ポジティブな意見もあるのですか。

近藤

ポジティブな意見はありません。全員というわけではありませんが、「結局、何をやっても変わらないだろう」という意見が多いです。経営層への信頼がないということが、その根底にあります。

これまでも人事制度に不満があるということは分かっていたので、「具体的にどの点が不満なのか」とアンケートを取ったことがあったのですが、無回答でした。

漠然と不満は持っているけれども、明確な答えは出てこないのです。

今回は人事制度の冊子を作って配付し、それを見てもらった上で意見を求めました。返ってきた答えには、「信頼関係が崩れている中でこんなことをやっても意味がない」という辛辣なものもありました。

人事部として良くしようとしている部分はあるのですが、経営層に対して信頼がないとか、信頼が崩れているという話になるので、結局、私も巻き込まれている感じはします。

経営層は社員に寄り添い、姿を見せて考えを示すべきである

加藤

ここまで社員の立場で見える課題をたくさん聞かせてもらいました。一方、経営層は皆さんには見えていない課題への対応で忙しい。

そこで想像して見てほしいのですが、こうした課題を解決できるのは皆さんしかいません。もし皆さんが社長になったとしたら、上記の課題をどのように解決していこうと思いますか。

近藤

もっと寄り添うというか、下に下りていくというか、まず見せるというところではないかと思います。

加藤

フクナガエンジニアリングは、社員の皆さんの腹の内をすべて明かしてオープンにすることを望んでいます。

経営層に対して思っていることをここまで素直に話すことができる会社は、経営層が社員に寄り添っているように見えます。それでも信頼がないというのは、どうしてなのでしょうか。

近藤

私が入社した時はフレコンバックの部署で営業職として入ったのですけれども、その時の上司が野村さんでした。その時はとても距離が近かったです。

他の部署も同様で、今の役員と社員の距離は近かったと思います。同じ部署だったので、お互いの仕事も理解していました。

野村さん、乾さん、古川さんが、取締役に就任した時から溝ができてきたと感じています。一切仕事に関わらなくなったというと語弊がありますが、変に距離を置くようになったと思います。

植木

それぞれの役割があるので、距離が空くのは仕方がないと思います。

彼らがそれまで現場で担っていた内容がわれわれに下りてきている部分もあるので、その点はわれわれもしっかりしなければいけないと感じています。

近藤

細かいことですが、今までは役員から社員に対して「こういう結果だったので給与改定や賞与はこうなる」と話していたのですが、今年は私から話をすることになったのです。

その後、社員から私に「なぜ役員が話さないのか」というチャットが来ました。

もちろん人事部から話をすることは間違っていないのですけれども、社員からすると役員の口から、役員の言葉で話をしてほしいというのです。

結局、「われわれにとっては大切な給与や賞与の話であるにもかかわらず、役員が何も話さないのはどういうことだ」、「役員は自分たちの給与や賞与に興味はないのだ」と感じてしまいます。

見せてほしいとか、寄り添ってほしいというのは、その部分です。

テレワークになってからは特にそうですが、経営層が話をすることが極端に減ったので、社員側からすると何をしているのか分からないと感じます。

結局、役員はコンサルタントに丸投げをして、コンサルタントを探すことだけが仕事なのではないのかという話まで出てきます。そういったことから、私はどんどん溝が深まっている印象を感じています。

加藤

そこを改善するべきだということは明確に言えますね。確かに社員にとって最も重要な給与・賞与の改定や仕組みについては、中小企業であれば代表から直接話してほしいと思う心情はわかります。

経営層は社員の希望や期待を理解し、お互いに認め合うべきである

フクナガエンジニアリングの社員の皆さん。植木さんも!
加藤

Thuyさんが社長になったとしたら、どう解決しますか。

Thuy

まず社員の立場に立って、社員の希望や期待を理解することからスタートしないと、経営層の信頼を回復することは難しいと思っています。

自分の立場はいったん置いておいて、相手の立場に立って聞くことが大事です。そういう部分がもしかしたら、まだ足りないかもしれません。

また部下のほうも、上司の立場に立って考えないと駄目ですね。先ほど近藤さんも言っていましたが、アンケートを出しても意見を出さない人も多いのです。

一方が悪いというよりも、人間関係なので両方に問題があると思うので、お互いに認め合うことも大事だと思っています。

もちろん経営層が改善するべきことがあると思いますけれども、一人一人が自分自身を反省した上で率直な意見を言い合ったほうが、もっと距離が近づくのではないかと思っています。

マネージャーは上にも下にも気を使う立場なので、どのように関係をつくっていくのか悩んでいます。

マネージャーの態度や行動を見て部下も判断していきますので、上下のバランスをうまく取っていくことが非常に難しいです。

例えば、1カ月くらい自分の部下をマネージャーの立場にしてみたら、上司の仕事がいかに大変なのか理解できると思っています。多分、経営層も同じ考えだと思います。

経営層は責任を持って決断し、社員に成功体験をさせるべきである

加藤

山﨑さんや植木さんは、自分が社長だったらどうしたいと思いますか。

山崎

弊社はミッション経営を進めています。その影響か分からないのですが、何でも皆で決めようという形を取っています。

営業戦略、人事関係、組織についてなど、多岐にわたってマネージャーが会議に呼ばれます。議論はするのですけれども、経営層の決断がほとんどありません。誰も決断しないのです。多数決に近いです。

言い方は悪いですが、責任を取りたくないのではないかと思えてしまいます。最終的に決定をして責任を取るのが経営ではないですか。

皆から意見を吸い上げるのはいいのですが、最後は経営陣が決断し、責任をきちんと持つべきだと思います。

駄目だったとしても、「われわれが最終的に決めたのだから、あなたたちの責任ではない」と言ってくれる形だと安心します。

現在のフクナガは、そうではなく、「マネージャー全員が意見を出して決めたのだから、あなたたちが責任を持ってやりなさい」というスタンスに感じてしまいます。

ミッション・ビジョン・バリューもそうですし、先ほど近藤さんが言っていた人事の件もそうです。
決断と責任が全てだと思っています。そこが曖昧なので、会社として何がしたいのかよく分かりません。

最終的に良かったのか悪かったのか、誰が責任を持っているのかというところが曖昧なので、社員全員がどこを向いているのか分からないのだと思います。ここが大変な問題です。

もう一つは、社員にはいろいろ関わらせないということです。社員が与えられた役割の中で、100%のパフォーマンスを出すことに集中できるような環境を用意してあげることです。

自分に関係ないことを考えさせないで、自分の役割に集中させて結果を出させることです。

今は社員全員が成功体験を積むことができていません。それを繰り返していると、何をやっても一緒だというイメージになり、誰も取り組みたくなくなるのです。

集中させて、「君が頑張ったから良い結果が出た」と言われたらうれしいではないですか。そういう成功体験を持たせてあげないと、士気は上がらないと思います。

植木

今、経営層が4人いますが、誰が社長なのかと感じています。決断する役割を担う人がいてほしいです。私がもし社長という立場になったら、そこの責任を持たなければいけないだろうと感じています。

ミッション経営を浸透させるには?

加藤

福永社長は「ミッション経営を浸透させたい」と願っていますが、これを実現させるにはどうしたらいいでしょうか。

Thuy

ミッションから戦略に落として、戦略から行動計画に落とすという順番がありますが、山﨑さんが言ったようにフクナガは継続力が弱く、途中でやめてしまうことがあります。

計画の評価もできていません。日々の業務に落とさないミッション経営は浸透しません。

例えば「新しい事業の種を見つける」ということであれば、各メンバーが新しい勉強して、気付きから腹落ちさせて、腹落ちから計画まで落とし、その計画に基づいて行動することでしょう。

ベトナム法人の年間目標、月間目標、週間目標、そして日々の目標がありますから、今月は30%の新しいことに取り組むというのであれば、そこから逆算して自分の行動計画まで落とすことで、ミッション経営が浸透すると思っています。

会社全体が同じ熱量で、同じ行動することは難しいと思うので、まずお互いを理解し認め合うことだと思います。

また、自分のベネフィットが見えないとなかなか行動しないものですから、ミッション浸透の部分もきちんと評価したらよいのではないでしょうか。

しかし、新しい種を見つるにはかなりの知識がないと難しいです。われわれが付加価値を付けて販売し、顧客の課題解決をしていくためには、今の知識では何も提案できません。

たくさんコンサルタントが入っていますが、どのような知識を蓄積しているのでしょうか。

きちんと計画を作って、ミッション経営を実現するための投資、新しい事業をつくるための投資の見通しを立てないと、言葉だけになって浸透しないことになります。そこが大きな課題だと思っています。

植木

やはり社員はミッションが遠いものだと感じていると思います。今は言葉だけで何とか伝えようとしていますが、それではなかなか伝わりません。

もっと身近にミッションを達成できるような事例を見せてあげることが、最も近道だと思っています。ミッションを体現している事例です。

近藤

ミッション経営を達成するための予算はどこから持ってくるのか、幾らあれば達成できるのかということも明示されていません。

それがないまま、ミッションの達成のために新しいことだけがフォーカスされているので、結局その評価制度に関しても不満が出てきます。

今お金を生んでいる既存事業はどうなるのかということに関して、経営層からのメッセージも全然ありません。

結局、経営層がチャレンジしたいことに取り組むためのお小遣いを稼いでいるだけではないかという思いにつながるので、どんどん不満がたまっていく一方なのだと思います。

先ほど私は「見せる」という言葉を使いましたが、経営層がどうしたいのかということをどんどん出してもらわないとわれわれは分からないです。

「フクナガのミッション経営ではこういうことに取り組みたいのだ」ということを、経営層のメッセージとしてきちんと出してもらわないと、下の人間には分からないですし、付いていきたいという気持ちも芽生えないのではないかと思います。

そういうメッセージはどんどん発信してほしいです。

山崎

ミッション経営が悪いとは思いません。良いことだと思っています。問題は、ミッション経営とは何かということが、経営層の中でも、社員の中でも、結構ばらつきがあるということだと思います。

言葉だけが先に走って、それが分からないまま、皆が始めてしまいます。そのような曖昧なミッション経営を基にして戦略を立てていくので、余計にぐちゃぐちゃになっているのです。

ですから「ミッション経営はこれだ」というところを合わせていくべきだと思います。

全員が合意しなくていいのです。明確に示されていれば、それに向かって走っていけばいいと思っている人もいます。それが会社だと思います。そこが重要です。

難しい点は、そもそも経営層が全部決めて、それに部下が従ってきたから自分事として捉えられなかったという経緯からミッション経営が始まったということです。

社長が1人で経営理念を決めていたのが良くなかったので、皆で決めるようになったのです。ここでまた「経営陣が決めてください」と言っても、昔に戻ってしまうということになります。

それでも、やはり皆で話し合っても決められないのです。最終的に「これだ」と言ってくれる人が誰1人いません。

もちろんマネージャーも言えません。「今回はいい議論ができた。また来週、もっと議論を深めよう」という繰り返しで、よく分からないまま進んでしまっています。

やはり誰かが決めないといけないのです。それは経営層だと思うのです。

もちろん、われわれも素直に意見を出さないといけません。適当な意見を出していると、恐ろしいことになります。

ある程度われわれが言いたいことを全部吸い上げてもらった状態で、最終決定は経営陣がするべきだと思います。

加藤

貴重な意見がたくさん出ました。きょう語っていただいた意見を踏まえて、福永社長に決断していくことが重要だと感じました。ありがとうございました。

◎プロフィール
山﨑正喜さん
1983年生まれ、奈良県出身。医療機器販売会社の営業職を経て、10年前に中途入社。入社当時からタイヤ事業部一筋で、現在は同事業部マネージャーを担当。

植木満さん
1971年生まれ、大阪府出身。販売会社のイベント担当を経て、12年前に中途入社。現在はロジスティックスグループのマネージャーを担当。

Thuy Tran Hongさん
1982年生まれ、ベトナム Phu Tho(フート)県出身。パナソニックで12年間勤務した後、3年前に中途入社。現在はベトナム支社のマネージャーを担当。

近藤正史さん
1983年生まれ、奈良県出身。通信関係会社の営業兼調査員を経て、2013年10月に中途入社。現在は人事部チームリーダーを担当。

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ライター:

1964年生まれ、群馬県出身。国立群馬高専卒。専攻は水理学と水文学。卒業後、日刊紙『東京タイムズ』をはじめ、各種新聞・雑誌の記者・編集者を務める。その後、映像クリエーターを経て、マルチメディア・コンテンツ制作会社の社長を6年務める。現在は独立し、執筆と映像制作に専念している。執筆は理系の読み物が多い。 研究論文に『景観設計の解析手法』、『遊水モデルによる流出解析手法』、著書に科学哲学啓蒙書『科学盲信警報発令中!』(日本橋出版)、SFコメディー法廷小説『科学の黒幕』(新風舎文庫、筆名・大森浩太郎)などがある。

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