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サンリオ「VIVANT」コラボ突然中止 中国の批判で日本も販売終了、「みんななかよく」は誰のため?

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サンリオ
株式会社サンリオ 公式サイトより

ハローキティと人気ドラマ『VIVANT』のコラボが、突然打ち切られた。サンリオは10月29日、関連商品の販売や今後の企画を終了すると発表。きっかけは、中国で高まったドラマへの批判だった。第2弾グッズの発売が告知されたばかりのタイミングで、なぜ日本国内の企画まで中止になったのか。サンリオの決断に注目が集まっている。

 

サンリオが突然コラボ中止 発売直前の第2弾も白紙に

10月29日、サンリオは公式サイトで『VIVANT』とのコラボレーションを終了すると発表した。理由として挙げたのは、作品に関連するコンテンツに企業理念と合わない表現が含まれているという判断だった。関連するすべての取り組みや今後の展開、プロモーション活動を中止する方針だ。前日の28日夜には中国法人がSNS「微博(ウェイボー)」で同様の声明を出しており、中国で始まった騒動が日本の販売にも波及したことになる。

今回のコラボは6月に発表され、7月から関連商品の販売や予約受付が始まっていた。ハローキティやマイメロディなど、サンリオの人気キャラクターがドラマの登場人物に扮したぬいぐるみなどを展開。さらに10月25日には、番組公式Xで第2弾グッズの発売決定が告知されたばかりだった。それからわずか数日で全面中止となったのだ。購入済み商品や予約分の取り扱い、返金の有無については、10月29日の公式声明では具体的に説明されていない。ファンにとっては、楽しみにしていた商品がどうなるのかも気になるところだ。

 

中国で批判された『VIVANT』 拷問シーンに国営メディアが反発

騒動の発端は、2026年7月から放送されている『VIVANT』シーズン2の描写だった。主演の堺雅人が演じる乃木憂助は、表向きは商社マンでありながら、自衛隊の秘密諜報組織「別班」の一員として活動する。世界各国を舞台にしたスパイアクションが人気を集めてきたが、今作では中国系の架空の諜報組織「シンシー」が登場。日本側の諜報員を監禁し、指を切断する拷問シーンなどが描かれたことが、中国で反発を招いた。

中国共産党系の環球時報や国営中央テレビ(CCTV)は、ドラマが中国人を残酷な加害者として描き、日本の諜報活動を正当化していると批判した。環球時報は10月28日、サンリオとドラマのコラボについても取り上げ、友好や調和を象徴するハローキティが、こうした作品と協業することに疑問を呈した。中国のSNSでも批判が広がり、サンリオ中国法人は同日夜に謝罪と企画中止を発表。翌29日には中国外務省の郭嘉昆副報道局長も記者会見で、日本国内に文化作品を通じて中国を中傷しようとする勢力が存在するとの見解を示した。ドラマの描写をめぐる議論が、企業のコラボ中止から外交当局の発言にまで発展した格好だ。

 

TBSは「特定の国をおとしめる意図はない」 フィクションにも及ぶ批判

一方、ドラマを制作・放送するTBSは、中国側の批判に対して制作意図を説明している。TBSの龍宝正峰社長は10月28日の記者会見で、作品はフィクションであり、特定の国をおとしめたり、国民感情を傷つけたりする意図はないと述べた。また、暴力的な描写が視聴者に過度な恐怖や不快感を与えていないかについては検証する考えも示している。

『VIVANT』は、国家間の情報戦や諜報活動を描くスパイドラマだ。物語に敵対組織や残酷な人物が登場すること自体は、作品の性質と深く結びついている。今回の中国側の批判は、架空の組織を使った描写であっても、特定の国を連想させる表現がその国のイメージを損なうというものだった。一方、日本の視聴者からは、架空の物語に政治的な批判が向けられ、関連商品まで中止になることへの戸惑いも広がっている。ドラマの内容を批判することと、企業に提携解消を求めることでは、影響の大きさが異なる。今回はその境界を越え、作品そのものとは別の場所で事業の中止という結果が生まれた。

 

「みんななかよく」は中国への配慮? サンリオが抱える巨大市場

サンリオが今回の判断で強調したのは、創業以来掲げてきた「みんななかよく」という企業理念だ。キャラクターを通じて思いやりやつながりを広げ、世界中の人を笑顔にするという考え方である。確かに、親しみやすさや平和的なイメージを大切にするサンリオと、拷問や諜報戦を描く『VIVANT』には、作品の性格に大きな違いがある。ただ、コラボは数カ月前から展開され、商品も販売されていた。中国で批判が強まった直後に、企業理念との不一致を理由に中止を決めたという経緯は、今回の判断を考えるうえで重要だ。

もう一つ見逃せないのが、中国市場の存在である。新華社によると、2026年上半期のサンリオの中国事業売上高は7億8100万元に達し、前年同期から4割以上増加したという。中国はサンリオにとって重要な成長市場であり、ハローキティをはじめとするキャラクターの人気も高い。中国でのブランドイメージが傷つけば、商品販売や事業展開に影響する可能性がある。もちろん、サンリオは今回の中止を中国市場への配慮とは説明していない。しかし、世界各国で商品を展開する企業にとって、現地の世論や文化的な価値観が事業判断に影響する現実が、今回の騒動から見えてくる。

 

中国の批判で日本の商品まで中止 サンリオの判断が残した疑問

今回の騒動で特に注目したいのは、中国で起きた批判によって、日本国内のコラボ商品まで販売終了となったことだ。サンリオの中国法人が現地での展開を取りやめる判断と、日本のファンに向けた商品販売を終了する判断は、必ずしも同じではない。日本では『VIVANT』を楽しむ視聴者も多く、ハローキティとドラマの組み合わせを歓迎していたファンもいる。そうした中で、サンリオは国内外を含めて企画全体を終了する道を選んだ。

SNSでは、サンリオの平和的な企業理念と暴力描写のあるドラマの組み合わせに、以前から違和感があったという意見も見られる。一方で、中国からの批判をきっかけに日本向けの企画まで中止したことに、複雑な思いを抱く声もある。さらに中国メディアの観察者網は、謝罪声明が当初、中国のSNSで発表されたことを問題視した。サンリオが批判への対応を進めても、新たな批判が生まれるという難しい状況に陥っている。

サンリオは今後、コラボ企画の審査体制を強化するとしている。ただ、すでに販売を始めた商品を終了させるほどの判断に至りながら、具体的にどの表現が企業理念にそぐわなかったのかは明らかにしていない。問題となったのが拷問などの暴力表現なのか、中国を連想させる組織の描き方なのか。その違いによって、今回の中止が持つ意味も変わってくる。

世界中で愛されるハローキティと、世界を舞台にしたスパイドラマ『VIVANT』。国境を越えた人気を持つ両者のコラボは、国境を越えた批判によって幕を閉じた。「みんななかよく」という理念を守るための決断だったとしても、その過程で日本のファンが楽しみにしていた商品は失われた。サンリオが守ろうとしたものと、今回の判断で失ったもの。その両方をどう説明するかが、今後の企業への信頼を左右しそうだ。

 

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ライター:

Webライター。きれいごとだけでは済まない現実を、少し距離を置いて綴っています。

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