
「一般人でやれ」と言われて一般人を揃えたら、今度は「一般人ヤンキーきつすぎる」。そんな視聴者のわがまま、いや欲望に応えるように、第二期で投入されたのが北新地のトップキャバ嬢・みみだった。さらに第13話からは、なぜかONE OK ROCKのTakaまでMCとして登場。『ラヴ上等2』、どうやらここに来て番組そのものの空気を変えにきたようだ。
「有名人を出すな」と言っていた視聴者が、今度は「一般人ヤンキーきつい」
『ラヴ上等』は、ヤンキーの男女が沖縄の羅武上等マリーンアカデミーで共同生活を送り、恋愛、友情、衝突を繰り広げるNetflixのリアリティーシリーズだ。シーズン2では、MEGUMIと永野に加え、沖縄出身のヒップホップアーティスト・AwichがMCとして参加していた。ところが第二期に入った途端、視聴者の間で別の違和感が噴き出している。
Xには「シーズン1からもう何周もしてるけど今回顔面偏差値酷すぎ。次回作からもう少しまともな顔面選んでくれよ。流石にレベル低すぎるって」と、かなり手厳しい投稿がある。
さらに別の投稿では、「可愛くない子いないから転校生に美女いれてかき乱してほしい」と、むしろ美女の投入を求める声まで出ていた。
つまり、視聴者が「一般人だけでやってほしい」と思っていたはずなのに、今度は「一般人ヤンキーだけでは物足りない」という逆方向の不満が出始めたわけだ。
その変化を端的に表している投稿がある。
「ラヴ上等2『有名人を出すな、売名目的、一般人でやれ』」から、「ラヴ上等2-2期『一般人ヤンキーきつすぎる、ブスの恋愛おもんない、みみ(超有名キャバ嬢)可愛すぎ』」へ。
もちろん、これはX上の一個人の感想だ。しかし、今回の第二期をめぐる視聴者心理を、これほど端的に表した投稿もない。視聴者が欲しがっていた一般人のリアルと、実際に画面で見たい華やかさ。その二つは、案外簡単には両立しないようだ。
そこへ北新地のトップキャバ嬢・みみ 突然現れた“別格美女”
そして、まさにそのタイミングで投入されたのが、みみだった。
オリコンニュースによると、みみは第二期から加わった転校生で、北新地のトップキャバ嬢。「本気しか響かない、最強モテ嬢」と紹介され、華やかな外見を持つ一方で、自分に自信を持てない一面もあるという。これまでの女性メンバーも、キャバクラ勤務、ラウンジ勤務、ネイリスト、元暴走族など、かなり濃い顔ぶれだった。だが、みみは明らかに別のカードだ。
いわゆる恋リアの王道美女と呼ばれるタイプを、最初から並べていたわけではない『ラヴ上等2』。そこへ突然、北新地のトップキャバ嬢が入ってくる。画面上の印象としては、一般人の集団に突然、芸能人が一人混ざったような違和感すらある。そんなみみの姿を見た視聴者からは、こんな声も飛び出した。
「おい。こんなルッキズムの突きつけ方あるかよ。これぞ嫉妬。レベルがあまりにも違い過ぎて可哀想や。ド一般人の中に水商売の中で一握りの芸能人レベルぶち込むことあるかよ。酷過ぎる」
さらに投稿者は、女性同士の“バチバチ”を「最高におもろい」としながら、「怖くて夜も9時間しか寝れないよ」と締めている。どうやら視聴者も、恋愛の行方より先に、この女同士の空気に震え始めている。
しかも、この“みみ”には見覚えのある視聴者もいる。みみは、過去の恋愛リアリティー番組『LASTCALL』に“ルナ”として出演していた女性だ。今回も北新地のトップキャバ嬢として登場し、別の恋リアから再び恋愛の舞台へ乗り込んできた格好になる。
そしてXでは、「この2人が眼福すぎて嬉しい!」「眼福いないわー思ってたから」と歓迎する声や、「るな可愛すぎる」といった声が上がる。一方で、「キャバ嬢の恋愛もういいよ…」という反応もある。ここが面白い。「かわいい子を入れてほしい」と言っていた視聴者が、必ずしも「キャバ嬢を入れてほしい」と言っていたわけではない。みみは歓迎された。だが、キャバ嬢という肩書きには拒否反応もある。つまり、視聴者が求めているのは単純な美女ではなく、“この番組にいてほしいと思える美女”なのかもしれない。
なぜ最初から美女を揃えなかったのか 『ラヴ上等』のキャスティングに浮かぶ疑問
そもそも、なぜ『ラヴ上等2』は最初から王道の美女を揃えなかったのか。Netflixの恋愛リアリティー作品なら、ビジュアルの整った男女を集めること自体は珍しくない。視聴者が出演者を検索し、この人は何者なのかと興味を持つことも番組の楽しみの一つだ。ところが『ラヴ上等』は、そこに正面から乗らない。シーズン2の第一期では、女性陣も男性陣も、とにかくキャラクターが濃い。過去の傷、家族との関係、仕事、喧嘩、恋愛経験。見た目だけではなく、それぞれの人生そのものを背負って沖縄に集まっている。
シネマトゥデイが紹介した番組プロフィールでも、シーズン2は「本当の恋がしたい」「一途な愛に一直線」「愛に溺れて、暴走中」など、出演者それぞれの人生や恋愛観を前面に出した設定になっている。だからこそ、いわゆる「美女とイケメンの恋愛」を見たい視聴者からすると、少し物足りない。しかし逆に、全員がモデルのような容姿だったら、『ラヴ上等』という番組の異物感そのものが薄れてしまう。ここには制作側の難しいところがある。リアルさを追求すれば、華やかさが足りないと言われる。華やかさを足せば、「一般人だけでやれ」と言っていた視聴者から「売名では?」と言われる。そして、実際に美女を投入すると、今度は「可愛すぎ」と歓迎される。恋愛リアリティーショーのキャスティングは、なかなか面倒な商売である。
「ブス黙れ」まで飛び出した女子たち みみ投入で本当に荒れるのか
第二期で、もう一つ大きく変わったのが女性同士の関係だ。シネマトゥデイによると、第一期では女性メンバー同士の絆や漢気の強さが印象的だった一方、第二期の予告では「ブス黙れ」「ああいう女嫌いなんだよ」と激しくぶつかり合う女性たちの姿が映し出されている。この変化は大きい。これまでの『ラヴ上等』では、男性陣のほうが荒々しく見えた。派手な入場で威嚇し、今にも喧嘩が始まりそうな空気を作る。
ところが、しばらくすると普通に話している。それまでの“威嚇”が、番組内では一種のお約束のように見える場面すらある。ところが今回は、女性側が本気でぶつかり始めている。そこへ、最強モテ嬢として紹介されたみみが入った。もちろん、みみが原因で女性同士の対立が生まれたと断定することはできない。ただ、これまで出来上がっていた女性陣の関係の中に、明らかに違うタイプの女性を一人入れれば、恋愛の勢力図が動くのは自然なことだ。
美女を入れてかき乱してほしい。そんな声が出ていたところへ、本当に“かき乱しそうな女性”がやってきた。制作側が視聴者の声を意識していたのかは分からない。ただ、タイミングが出来すぎている。
そして第13話で突然Taka Awichからの交代理由は明かされず
もう一つ、第二期で気になる変化がある。第13話を再生すると、これまでMCを務めていたAwichではなく、ONE OK ROCKのTakaが登場する。事前に25日19時公開のシネマトゥデイが、Takaが『ラヴ上等2』の13~16話でゲストMCを務めると報じており、ENCOUNTやリアルサウンドなども同様に伝えている。Takaはシーズン1の熱烈なファンで、企画・プロデュースを手がけるMEGUMIからの直接オファーを快諾したという。ただ、実際に第13話を見ている側からすると、AwichからTakaへの切り替わりはかなり突然だ。
「なぜAwichではなくTakaなのか」という説明は、少なくとも今回確認した各報道では見当たらない。
Takaが恋愛リアリティー番組のMCに挑戦すること自体はニュースになっている。しかし、なぜこのタイミングでTakaなのか。ここはまだ少し謎が残る。
Taka自身は、ヤンキーたちが一番見せたくない姿・感情を素直にさらけ出していることに引き込まれたとコメントしている。その言葉を考えると、第二期で番組が見せたいものが、第一期とは少し変わってきた可能性もある。怖そうな男たちが喧嘩する。刺青の入った男女が睨み合う。そんな表面的な“強さ”より、その奥にある恋愛や家族、嫉妬、弱さを見せる。Takaが見るのは、そうした部分なのかもしれない。
「一般人でやれ」から「美女を入れろ」へ 視聴者の欲望を映す番組になった
『ラヴ上等2』をめぐる今回の反応で興味深いのは、視聴者の意見が簡単にひっくり返っていることだ。「有名人を出すな」と言っていた人たちが、「一般人ヤンキーきつすぎる」と言い始める。「美女を入れてほしい」と言っていたところへ、みみが登場すると、「可愛すぎ」となる。しかし、「キャバ嬢の恋愛もういい」という声も残る。つまり、視聴者が求めているものは、単純なリアルでも華やかさでもない。
リアルであってほしい。でも、画面は華やかであってほしい。有名人は出してほしくない。でも、地味すぎるのも嫌。そんな、なかなか贅沢な注文である。そして制作側は、その矛盾した欲望の真ん中に、みみを投入。さらにTakaまで13話から登場させた。偶然なのか、狙っているのか。
少なくとも、第二期から『ラヴ上等2』の景色が変わったことは確かだ。オリコンニュースによると、第二期は8月25日に11~13話が配信され、9月1日に14~16話、9月8日に17~20話が配信される予定。これからみみが本当に女性陣をかき乱すのか。Takaの登場で、ヤンキーたちの一番見せたくない感情がどこまで出てくるのか。そして、制作側は本当に美女を欲しがる視聴者の声を読んでいたのか。答え合わせは、まだこれからだ。「一般人でやれ」と言われた番組が、今度は「一般人だけじゃ物足りない」と言われ始めた。『ラヴ上等2』第二期は、出演者だけでなく、視聴者の欲望まで映し出し始めている。



