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『日本三國』作者・松木いっか、BL二次創作への苦言で謝罪・X削除へ 問われる二次創作マナー

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TVアニメ『日本三國』公式サイトより引用

『日本三國』作者・松木いっかが、BL二次創作を直接送られたことに苦言を呈した後、「BL差別」「ホモフォビア」と批判され謝罪、Xを非公開化したとして話題に。騒動の経緯や作者擁護の声、二次創作と原作者の適切な距離について考察する。

『日本三國』作者にBL二次創作が送られ騒動に

人気漫画『日本三國』の作者・松木いっかが、作品のBL二次創作を直接送られたことに苦言を呈した後、一部ユーザーから「BL差別」「ホモフォビアではないか」と批判を受け、謝罪に追い込まれたとしてSNSで議論になっている。

松木のXアカウントは一時削除された後、非公開になったとみられ、ネットでは「作者本人に望まない二次創作を送りつける方が問題」「先生が謝る必要はなかった」と擁護する声が相次いだ。

『日本三國』は文明崩壊後、三つの勢力に分断された近未来の日本を舞台に、主人公・三角青輝が再統一を目指すSF戦記。小学館の「マンガワン」「裏サンデー」で連載され、単行本は7巻まで刊行されている人気作だ。

 

発端は、作者本人への二次創作BL送りつけ

SNS上で共有されている経緯によると、松木のもとへ『日本三國』の登場人物を題材にしたBL二次創作が直接送られたことが騒動の発端だった。

松木はこれに対し、BL二次創作が苦手であり、自身には送らないでほしいという趣旨の投稿を行ったとされる。
しかし、投稿の一部表現を巡り、
「同性愛そのものを否定している」
「ホモフォビア(同性愛や同性愛者に対する嫌悪感、偏見、差別、恐怖心)の表明ではないか」
と批判するユーザーが現れ、議論が急速に拡大。松木は投稿を削除し、謝罪した後、アカウントを非公開化したと伝えられている。X上でも、作者へBL二次創作が送られたことや、苦言の後に騒動が広がった経緯を指摘する投稿が拡散している。

ただし、最初に作品を送った人物の意図や、送付された内容の詳細については、公開情報だけでは確認できない部分も多い。騒動を論じる際は、未確認情報を断定しない慎重さも必要だろう。

 

「先生は悪くない」作者擁護の声が相次ぐ

松木が謝罪し、Xを非公開にしたことを受け、SNSでは作者を擁護する声が広がった。

「作者本人に二次創作を送りつけるのがそもそもおかしい」
「BLが悪いのではなく、見たくないものを直接見せられたことが問題」
「苦手だから送らないでほしいと言う権利はある」
「作者に負担をかけた側ではなく、作者が謝る流れになるのは納得できない」

といった反応が目立っている。

今回の問題を「BLファン対作者」という構図だけで捉えると、本来の論点を見失いかねない。問われているのは、BL二次創作というジャンルの是非ではなく、作者が望んでいない作品を本人へ直接届ける行為と、その拒否をどこまで尊重できるかという問題である。

 

二次創作は「作者に見せない」が暗黙のマナー

漫画やアニメの二次創作文化では、原作者や公式の目に入らないよう配慮するという考え方が長く共有されてきた。

二次創作は、原作への愛情や独自の解釈から生まれるファン活動である。一方、キャラクター同士の恋愛関係や性的な描写など、原作者が想定していない内容を含む場合もある。

そのため、検索避けをする、公式アカウントをタグ付けしない、作者へ直接送らないといった線引きが、ファンコミュニティを守るためのマナーとして重視されてきた。

作者が二次創作を全面的に認めていたとしても、「自分に直接見せてほしいか」は別問題である。創作する自由があるのと同じように、作者にも見ない自由、受け取らない自由があるはずだ。

 

「BLが苦手」と「同性愛者への差別」が混同された今回

騒動が複雑化した理由の一つが、「BL作品が苦手」という意思表示と、現実の同性愛者への差別が同一視されたことだ。
BLは男性同士の恋愛を題材にした創作ジャンルであり、現実の性的少数者そのものと完全に一致するものではない。特定の作品や表現形式を好まないことと、実在する人の性的指向を否定することは、分けて考える必要がある。

もちろん、苦手だと伝える際の表現によっては、誰かを傷つける可能性もある。しかし、表現への批判と、作者が「自分には送らないでほしい」と境界線を示すことまで否定するのは別の話だろう。
作者の拒否を差別と断定し、謝罪を迫る空気が強まれば、創作者は自身の不快感や限界を口にできなくなってしまう。

 

人気作の作者をSNSから追い詰める結果に

『日本三國』は、文明崩壊後の日本を舞台にした重厚なストーリーや政治・軍事を巡る頭脳戦で支持を集める作品だ。公式情報では単行本が7巻まで刊行されており、2026年にはアニメ化も発表されるなど、注目度を高めている。

一方、松木は直近にも体調不良による休載を発表していた。今回の騒動との因果関係は不明だが、療養中の作者にSNS上の大量の批判が向けられたことを心配するファンも少なくない。

ファンが作品を愛し、二次創作を楽しむことは文化の豊かさにつながる。しかし、その活動によって原作者がSNSを閉じざるを得なくなるのであれば、本末転倒ではないだろうか。

 

二次創作文化を守るためにも「送らない自由」を尊重すべき

二次創作は、原作への愛情から生まれる一方、原作者の作品やキャラクターを借りて成立する活動でもある。
だからこそ、作者との距離を守り、望まれていない作品を本人へ直接届けないという配慮が必要になる。
今回の騒動で守るべきなのは、特定ジャンルを批判する自由ではない。二次創作を楽しむ人の自由と、作者がそれを見ない自由の両方である。

「苦手だから送らないでほしい」という境界線を示した作者が、差別者と決めつけられ、謝罪やアカウント非公開へ追い込まれる状況は健全とは言い難い。
『日本三國』を大切に思うのであれば、作品への愛情を作者への負担に変えないこと。その最低限の距離感こそ、ファン文化を長く守るために必要なのではないだろうか。

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軽田 カルダモン

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スパイスの妖精。ライター歴10年。

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