
ライブ配信者「最上あい」こと佐藤愛里さん(当時22)刺殺事件の裁判で、傍聴席からの「生配信」によって審理が中断された。さらに、この生配信を行ったと指摘されている配信者が、コンビニの外国人店員に「日本語できないのに働くな」と発言する動画も拡散している。
SNSでは配信者「山本ゆりあ」氏の名前が挙がっている。ゆりあ氏は過去に、配信者「なあぼう」氏の署名を無断で記入した婚姻届を提出し、実刑判決を受けた人物でもある。
「法廷が生配信されている」審理が2度中断
2026年7月10日に東京地裁で開かれた高野健一被告の論告求刑公判では、裁判官が傍聴席に対し、公判がライブ配信されているとの情報が入ったと説明。「心当たりのある方は名乗り出てください」と呼びかけた。
名乗り出る者はおらず、審理は約10分後に再開されたが、直後に同じ理由でもう一度中断された。裁判所は配信者を特定していないが、SNSではゆりあ氏が配信したとする投稿が拡散している。
法廷内の撮影や録音、配信は裁判所の許可なく行うことができない。生配信中に被害者が襲撃された事件の裁判が、再び生配信によって妨げられたことに批判が集まった。高野被告には7月15日、懲役16年が言い渡されている。
コンビニ店員に「日本語できないのに働くな」
続いて拡散したのが、ゆりあ氏とされる人物がコンビニの外国人店員に高圧的に接する動画だ。女性は店員に対し「日本語できないのに働くな」と発言している。
接客への不満があったとしても、日本語能力を理由に就労そのものを否定する発言は、通常の苦情ではない。店員の出身や属性に向けられた攻撃であり、「カスハラだ」「外国人差別だ」と非難されるのは当然だろう。
東京都では2025年4月にカスタマーハラスメント防止条例が施行され、人格を否定する言動や、店員をSNSでさらして中傷する行為などをカスハラの例に挙げている。国でも2026年10月から、事業主にカスハラ対策が義務付けられる。
配信者「なあぼう」氏の婚姻届を勝手に提出
ゆりあ氏は2023年、好意を寄せていた配信者・なあぼう氏に無断で婚姻届を作成した。
千葉地裁の判決によると、ゆりあ氏は同年10月、なあぼう氏に婚姻意思がないと知りながら、夫の署名欄に本人の名前を記入して富里市役所へ提出。婚姻届は受理され、戸籍にも婚姻の事実が記録された。なあぼう氏は戸籍を訂正するため、婚姻無効確認請求訴訟を起こさざるを得なかった。
ゆりあ氏には2024年9月、有印私文書偽造・同行使などの罪で懲役1年6月の実刑判決が言い渡された。
約7年間の接触と、判決が認定した「累犯前科」
なあぼう氏はテレビ朝日系の取材に、ゆりあ氏から約7年間にわたってDMや自宅訪問などのストーカー行為を受け、接近禁止命令が出た時期もあったと証言している。
千葉地裁の判決文にも、ゆりあ氏がメッセージを送信したり自宅を訪問したりしても受け入れられず、自分の感情を満たすために婚姻届を偽造したと記されている。
さらに判決は、ゆりあ氏に「累犯前科」があり、以前にも相応の期間服役していたと認定。過去の犯罪についても、好意を抱いた男性への未練を断ち切れなかったことが動機だったと指摘した。過去の具体的な罪名は公表判決に記載されていないが、婚姻届偽造以前にも前科と服役歴があったことは裁判所の判断から確認できる。
ゆりあ氏は2025年12月の出所後も、配信でなあぼう氏を「まだ諦めきれない」と発言していた。
法廷配信疑惑とコンビニ動画の人物がゆりあ氏本人なら、相手の拒絶、裁判所の規則、働く店員の尊厳を無視する行動を再び繰り返したことになる。「配信のネタ」で他人の権利を踏みにじる行為を、単なる炎上として消費してはならない。



