
静岡市駿河区の「歯科・ファーストスマイル」で院長を務めていた歯科医師・原田孝行被告(50)が、歯列矯正で来院した当時18歳の女性患者にわいせつな行為をし、その様子を動画撮影したとされる事件の公判が7月14日、静岡地裁で開かれた。原田被告は起訴内容を認め、弁護側も公訴事実を争わないとした。
女性は矯正治療に50万円を支払っていた。歯科治療だと信じて目元をタオルで覆われたまま「舌の運動」を続け、供述調書で「舌にあたっていたのがまさか下半身だったとは思わなかった」と訴えた。
手のひらから男性器へ 目元を覆った「舌の運動」
静岡朝日テレビによると、原田被告は2025年3月、歯列矯正で来院した当時18歳の女性に対し、当初は自分の手のひらに舌を当てさせる「舌の運動」を行っていた。
その後、女性の目元をタオルで覆った状態で同じ動作を指示し、舌に触れさせる対象を自身の男性器に替えたとされる。その様子はスマートフォンの動画モードで撮影されていた。
起訴状などによると、原田被告は2025年3月9日、診察台に乗せた女性に男性器をなめさせ、動画を撮影・保存したとして、不同意わいせつと性的姿態等撮影の罪で起訴された。
女性は供述調書で、50万円という安くない治療費を支払っていたため、舌に触れていたものが男性器だとは考えなかったと説明した。被害をふとした瞬間に思い出して気分が悪くなるとして、原田被告を「許せない」と訴えた。
休診日に患者を個別予約 スタッフのいない診察室へ
これまでの公判では、原田被告がほかのスタッフのいない休診日に歯列矯正の予約を個人的に受け入れていた経緯も示されている。
テレビ静岡によると、患者を診察台に横たわらせて目元をタオルで覆い、治療に必要な舌の運動だと虚偽の説明をしていたという。
原田被告のスマートフォンからは、患者に男性器をなめさせる様子などを記録した動画が発見された。初公判では、動画に付随する位置情報が歯科医院付近を示していたことも明らかにされた。
姉への相談と別の被害報道から警察へ
当時18歳の女性は、治療中に覚えた違和感を姉に相談していた。姉が別の女性患者に関する被害報道を知り、母親に伝えたことで警察への申告につながった。
捜査で押収された原田被告のスマートフォンからは、この女性が被害を受けたとされる動画が見つかっている。
女性の母親は「信頼して治療を受けていたのに許せない」「心の底から反省してほしい」と話しているという。
母子保健部の担当理事 乳幼児の歯科健診を調整
原田被告は地域の歯科医療で要職を担っていた。
集英社オンラインによると、原田被告は2023年6月末から2026年2月4日まで静岡市歯科医師会の理事を務め、母子保健部を担当していた。
行政が実施する1歳6カ月児と3歳児の歯科健診の調整、障害者歯科センターとの連携、救急歯科センターの当直などに携わっていたという。
同会幹部は同媒体の取材に、歯科医療では患者と術者だけの状態を避けることがトラブル防止の基本だと説明している。
逮捕は6回、起訴対象の女性患者は5人
原田被告は同様の事件で計6回逮捕されている。
テレビ静岡によると、原田被告は2026年1月28日、20代女性患者への行為をめぐって最初に逮捕されたが、この容疑は不起訴となった。2月17日には同じ女性に対する別の行為で再び逮捕され、その後、別の患者に関する逮捕が続いた。
4月27日の初公判では、当時21歳と16歳の患者に関する起訴内容が審理され、原田被告は「間違いありません」と認めた。
6月8日の公判では当時15歳の患者に関する追起訴分、7月14日は当時18歳の患者に関する追起訴分が審理され、いずれも公訴事実を争わなかった。
テレビ静岡の7月14日報道によると、検察は7月8日、別の女性患者に関する事件でも原田被告を追起訴。起訴対象の女性患者は計5人となり、5人目に関する追起訴分は8月24日の次回公判で審理される予定だ。



