
一蘭は中国本土に公式店舗を一切出店していないにもかかわらず、店舗デザインからロゴ、創業年表記までをほぼ完コピーした店が複数展開。知的財産侵害としてファンのみならず幅広い層から怒りの声が上がっている。
一蘭の丸パクリ詳細 ロゴから店内まで完コピ
2026年5月の最新事例は、北京市豊台区の「本日一蘭拉麺(五棵松店)」だ。赤地に緑文字の円形ロゴを使用し、店名に「一蘭」を取り入れ、看板デザインが本家と極めて類似している。店内には味集中カウンター風の個別仕切り、オーダー用紙、赤い壁面装飾まで再現されている。
創業表示では「中国建国65年創業」と記し、一蘭の実際の創業年(1960年・福岡)を古く見せかける手法が問題視されている。価格を抑え、見た目だけで集客するビジネスモデルで、味については「本家に遠く及ばない」「まずい」との評価が主流である。オーダーシステムや丼のデザイン、店員の制服に至るまで細部にわたる模倣が確認されている。
これまでの一蘭模倣店
過去最大規模の模倣店は2017年から2018年にかけて杭州を中心に広がった「蘭池(ランチ)」チェーンだ。運営会社は浙江省杭州の蘭池(杭州)餐飲管理有限公司。
看板、丼、店員の服装、店内レイアウト、さらにはフレーズまで微妙に改変しながら本家を忠実に模倣した。具体的には一蘭の「こだわりたい美味しさがある」を「美味しそがある」、「喜ばれるとよ」を「喜ばれるさよ」などと表記。ウェブサイトの文章も一致する部分が多く、コピペ疑惑が指摘された。
短期間で10店舗以上を展開し、無錫、天津、北京、深圳など中国各地へ拡大した。その後も2020年に「博多一蘭」、2022年に上海のパクリ店などが確認されている。
これらの店はいずれも一蘭の秘伝のたれ、豚骨スープ、味集中カウンターといった核心的な特徴を模倣したものだった。
一蘭側の対応
一蘭公式サイトでは「一蘭を模倣した店舗・商品や偽WEBサイトにご注意ください。一蘭とは一切関係ありません」と明確に警告を発信し、直営店のみを強調している。
2026年5月14日には、元迷惑系YouTuberで奈良市議会議員のへずまりゅう氏が福岡の一蘭本社を直接訪問。問題を伝え、法務部から「事実確認しました。弁護士に相談します」との回答を得た。
従業員からは「絶対に許せない」「そこまでしてお金儲けがしたいのか」といった強い反応があったという。へずまりゅう氏は本社ビルや総本店での試食写真を添え、「中国のパクリ文化を絶対に許すな」とXに投稿し、拡散を呼びかけた。
この行動により2026年の最新問題はさらに注目を集めている。中国での商標登録は行っているものの、店舗未進出のため消費者混同の立証が難しく、不正競争防止法の適用にもハードルが高いとされる。
中国のパクリ文化「山寨」とその歴史的背景
中国ではこうした模倣を「山寨(シャンザイ)」文化と呼ぶ。
元々は山中の砦を意味し、1980年代の改革開放以降に低コスト生産の代名詞となった。2000年代には山寨携帯電話が爆発的に普及。NokiaやSamsungの外観をコピーした低価格機が市場を席巻し、台湾のMediaTekチップが普及を後押しした。
2010年代以降は高品質化(高仿)へ移行し、家電、ファッション、食品分野へ拡大した。低所得層への製品提供という肯定的側面もある一方、知的財産侵害や品質問題が国際的に批判されている。
中国政府も保護強化を進めているが、淘宝などのeコマースでの拡散が続きやすい構造が残る。一蘭問題はこの長い歴史の延長線上にある典型例だ。
一蘭ファン以外からも広がる怒りの声
2026年の現在、X上では一蘭ファンだけでなく、一般ユーザーからも「許せない」「創業年まで偽るのはやりすぎ」との投稿が相次いでいる。へずまりゅう氏の本社直撃投稿や関連投稿は数千のいいねを獲得。中国ネットユーザーからも「恥を知れ」「吐き気がする」といった反感の声が見られる。
日本国内では「一蘭の努力が踏みにじられている」「法的に徹底的に対応してほしい」との声が多い。
へずまりゅう氏の本社直撃行動もこうした怒りの声を代弁する形となった。
過去のパクリ騒動時にも同様の怒りが広がった。2018年の蘭池問題では中国ネットユーザーからも反感コメントが相次ぎ、「やりすぎ」「恥ずかしい」との声が上がっていた。食文化を象徴するブランドの侵害として、観光客やラーメン愛好家を超えた広い関心が過去から繰り返し集まっている。
一蘭は香港、台湾、米国などで正規展開を進めているが、中国本土は未進出のままだ。模倣被害が続く中、法的対応や外交ルートを通じた解決が注目される。消費者に対しては公式サイトや直営店確認を呼びかけている。
この問題は日中間の知的財産意識の違いを象徴する。中国経済成長の過程で生まれた山寨文化が、グローバルスタンダードと衝突する典型例として、継続的な注目が必要だろう。



