
M!LKと宝塚花組の『好きすぎて滅!』コラボで宝塚ファン増加の兆しが。その一方で、私設ファンクラブ「会」の運営を経験した人物による匿名ブログが再び話題に。宝塚独自のファンクラブ文化や支える側の実情、今後の課題を整理する。
FNS歌謡祭のM!LKコラボで宝塚に興味をもつ人が急増
『2026 FNS歌謡祭 夏』で実現したM!LKと宝塚歌劇団花組による『好きすぎて滅!』のコラボは、「麗しすぎて滅」がXでトレンド入りするなど大きな反響を呼んだ。
「何この美少年たち?」
「宝塚ってこんなにかっこいいの!?」
「チケットを取って観劇してみたい!」
SNSではそんな声も多く見られ、新たに宝塚へ興味を持つ人が増えている。
一方で、宝塚について調べる人が増える中、ある匿名ブログが再び話題となっている。
華やかな舞台を支える”私設ファンクラブ”の運営について、自身の壮絶な経験をつづった体験記だ。
宝塚私設ファンクラブ運営に携わり鬱になったという匿名ブログ
そんな中、近年再び注目を集めているのが、はてな匿名ダイアリーに2023年に投稿された『ジェンヌの個人FC運営で鬱になった話』という記事である。
筆者は、自身がフルタイム会社員として働きながら、人気タカラジェンヌの私設ファンクラブ運営スタッフを数年間務めた経験を告白している。
記事では、
「生活も精神も壊れた」
「倒れて救急搬送された」
と振り返り、宝塚を支える側の苦悩を赤裸々につづっている。
宝塚には「私設ファンクラブ(通称・会)」という文化がある
宝塚歌劇団には公式ファンクラブのほか、各タカラジェンヌごとに設立される「私設ファンクラブ(通称・会)」が存在する。
長年続く宝塚独自の文化であり、ファン同士が協力しながら応援活動を行っている。
活動内容は多岐にわたり、
・入り待ち・出待ちの運営
・お茶会(※)の企画・運営 ※タカラジェンヌの私設ファンクラブが公演期間中に主催するファンミーティング
・チケットの取り次ぎ
・グッズ制作
・会員への連絡
など、一般的なファンクラブよりも幅広い役割を担うケースが少なくない。
芸能事務所のマネージャーとは異なり、これらを有志のファンが支えている点が特徴だ。
睡眠1時間、24時間呼び出し対応、先輩からの叱責などの過酷な日々
ブログには、次のような内容が記されている。
毎朝6時前後から入り待ちの準備を行い、そのままフルタイム勤務へ向かう生活。
夜は出待ちや会員対応が続き、ジェンヌ本人から翌朝の集合時間が深夜1~2時に連絡されるため、実際に眠れるのは午前3時を過ぎることも珍しくなかったという。
さらに、
・イベント企画
・会報やグッズ制作
・チケット配席
・会員対応
・他団体との調整
なども担当。
経費を一時的に立て替える場面もあり、筆者は「公演期間中は食事にも困るほどだった」と振り返っている。
最終的には栄養失調で倒れ、うつ病を発症して退くことになったとしている。
ファンが演者の生活すべてを支える構図は永続的なのか
もっとも、このブログはあくまで一人の体験談であり、すべての私設ファンクラブが同様の運営をしていると断定することはできない。
和やかに活動している会もあれば、負担を分散して運営している団体もあるだろう。
また、宝塚歌劇団がこの内容を認めているわけでもなく、個々の会によって実態は異なると考えられる。
その点は十分に踏まえたうえで読む必要がある。
この匿名ブログには、多くのコメントも寄せられている。
「80~90年代は専業主婦が多く、時間にも比較的余裕があったため、後援会活動として成立していたのではないか」
「そもそも人生に仕事という選択肢がない金持ちの娘さんがお仕事ごっこでやるものだった」
などと、後援会の成り立ちを考察する感想も。
また、
「働く独身女性の増加、可処分資産と事務能力向上により「一時的には」後援会活動が出来てしまう層が生まれたことに起因する気がする。フルタイムワーカーには持続不可能だが、一度入ると責任感が生まれ承認欲求も満たされてしまう」
という分析も見られた。
時代の変化によって、従来のファンクラブ運営モデルとの間にギャップが生まれているのではないかという指摘である。
華やかな舞台はファンの自己犠牲で支えて良いのか?宝塚文化の未来に必要なこと
宝塚の魅力は、舞台上だけでは完成しない。
ファンの応援や支えがあってこそ、現在の文化が築かれてきた側面もある。
だからこそ、その支えが一部の善意や自己犠牲だけに依存してしまうのであれば、長く続けることは難しい。
もちろん、私設ファンクラブという文化そのものを否定する必要はない。
多くのファンにとって、ジェンヌを応援する喜びや仲間とのつながりはかけがえのないものだろう。
しかし、善意が過度な負担へ変わり、心身を壊してしまう人がいるのであれば、それは決して「美しい文化」とは言えない。
M!LKとのコラボをきっかけに宝塚へ興味を持った新しいファンが増えている今だからこそ、舞台の華やかさだけでなく、それを支える人たちの存在にも目を向ける機会になるのではないだろうか。
宝塚という素晴らしい文化が、出演者もファンも、そして支える人たちも無理なく長く愛せるものとして続いていくことを願いたい。



