
「みんななかよく」を掲げるサンリオが、なぜ『VIVANT』とコラボしたのか。ドラマとのコラボ中止を発表したサンリオに、Xでは「サンリオには暴力から遠い存在でいてほしい」と賛同する声が上がっている。一方で、企業理念にそぐわないという理由で中止するなら、そもそもなぜ企画したのかという疑問も。今回の騒動は、中止の是非だけでなく、企画段階の判断にも目を向けさせている。
「みんななかよく」に賛同
サンリオの中国法人は10月28日、TBS系ドラマ『VIVANT』とのコラボレーションを中止すると発表した。関連する内容に、サンリオグループの企業理念にそぐわない表現が含まれていると判断したためだ。翌29日には、日本のサンリオも公式サイトでコラボレーションの終了を発表。今後の展開やプロモーション活動も中止し、審査体制を強化する方針を示した。中国では、ドラマに登場する中国系組織の拷問描写などが問題視され、作品が中国を中傷しているとの批判が広がっていた。こうした経緯を受け、Xでは中止を支持する声が目立つ。
「サンリオ、それでいい!サンリオにはヘイトや暴力から最も遠いところにいてほしい」
「中国云々の問題ではなく、そもそも戦争や憎しみを煽るようなテーマは、サンリオの企業理念とは相容れないでしょう」
「そもそもサンリオとVIVANTに何の共通項があるの」
投稿からは、中国側の主張に賛同するだけでなく、サンリオには平和や友好を大切にする企業であってほしいという期待がうかがえる。中止という結論そのものより、キャラクターが持つイメージと、作品の世界観との組み合わせに違和感を覚えた人もいるようだ。
コラボ企画の背景
一方、サンリオの対応には、企画段階の判断を疑問視する声も上がっている。
「批判された後に『企業理念と合わない』って言い出してるのは悪手だよ」
「企業理念って企業活動の上位原則だよ? そもそも最初にコラボする意思決定したのはどういう背景?」
批判の矛先は、中止という判断そのものよりも、そこに至るまでの経緯に向けられている。サンリオは今回、企業理念にそぐわない表現が含まれていると判断したと説明した。それならば、企画の段階で作品の内容やコラボ商品の表現を確認できなかったのか、という疑問が生じる。実際、コラボ商品はすでに販売されていた。7月には、ドラマに登場するスパイの衣装を着たハローキティやマイメロディのぬいぐるみなどが発売され、第2弾の商品展開も予定されていた。つまり、企画は構想段階で白紙になったわけではない。商品が販売された後に、コラボそのものが終了することになったのだ。どのような審査を経て企画が実現し、何をきっかけに企業理念との不一致を認識したのか。公表された説明だけでは、そこまでは分からない。中止の理由を説明するだけでなく、当初の企画判断についても説明が求められるのは、こうした経緯があるからだろう。
作品の表現と企業理念
『VIVANT』は、諜報活動や国際的な陰謀、組織間の対立を描くドラマだ。物語には、架空の中国系情報機関が日本側の諜報員を拷問する場面などが登場する。中国メディアは、こうした描写について、中国への中傷や中国脅威論をあおるものだと批判していた。一方、TBS側は、ドラマはフィクションであり、特定の国を中傷する意図はないと説明している。また、暴力描写についても、ドラマの演出として必要と考えて制作している一方、視聴者に不快感や過度な恐怖心を与えていないか、今後も検討する課題だとの認識を示した。ここで分けて考えたいのは、暴力や対立を描くことと、それらを肯定することは同じではないという点だ。犯罪や戦争を題材にする作品は少なくない。物語の中で残虐な行為が描かれたからといって、制作側がその行為を支持しているとは限らない。もちろん、作品の表現が視聴者にどのような印象を与えるかは、別の問題だ。サンリオがコラボの内容を企業理念に照らして見直すこと自体は、企業の判断としてあり得る。ただし、今回のコラボのどの表現が理念にそぐわないと判断されたのかは、具体的に示されていない。作品の世界観とキャラクターのイメージが合わないと考えたのか。それとも、商品に用いられた特定の表現が問題だったのか。判断の根拠が明らかにならなければ、今回の中止が何を意味するのかも見えにくい。
問われる企画段階の判断
サンリオは日本の公式発表で、寄せられた意見について謝罪し、今後のコラボレーション企画では確認体制を強化すると説明した。企業が自らの理念を守るため、企画を中止することに異論があるわけではない。今回も、サンリオには暴力や憎悪から遠い存在でいてほしいという期待から、中止を支持する声が上がっている。ただ、企業理念にそぐわないと判断したのであれば、なぜ当初はコラボを企画し、商品を販売するに至ったのか。その疑問は残ったままだ。企画段階で問題を見抜けなかったのか。発売後に寄せられた意見によって判断が変わったのか。あるいは、コラボのどの部分を問題としたのか。サンリオの発表からは、こうした経緯までは読み取れない。今回の騒動で問われているのは、コラボを中止するべきだったかどうかだけではない。「みんななかよく」という理念を掲げる以上、その理念を企画段階でどう判断に反映させていたのか。 中止という結論に納得する人がいる一方で、企画そのものへの疑問が残るのは、その説明が十分ではないからだろう。



