
山梨県富士河口湖町のホテルで台湾人女性ジン・ユン・ロン(井雲蓉)さん(38)が殺害された事件で、夫で李姓の男が台湾で拘束され、共同殺人や詐欺未遂などの疑いで勾留された。台湾の台南地方検察署が10月27日、明らかにした。
日本から帰国した夫を空港で拘束、7カ所を捜索
中央社によると、台南地検の王聖豪検察官が同日、捜査状況を説明した。夫は事件後、ジンさんの死後の手続きのため日本を訪れ、24日夜、高雄の小港空港に帰国したところで拘束された。
台湾側は22日、刑事警察局からの連絡を受けて捜査班を設置。24日と25日に男の自宅など7カ所を捜索し、被疑者や証人計7人を拘束、または呼び出して事情を聴いた。
検察は、虚偽の婚姻を公的記録に登載させた疑いに加え、殺人への共同関与や詐欺未遂の疑いが強く、逃亡や証拠隠滅の恐れがあると判断。25日に勾留と接見禁止を請求し、台南地裁が26日に認めた。
妻に掛けた旅行保険、大口2件で3000万台湾ドル
検察側の説明では、夫はジンさんとの婚姻を偽装し、同さんに単独で日本旅行へ出かけるよう勧め、高額の保険を掛けていた疑いがある。
契約した旅行保険のうち、大口の2件は1000万台湾ドルと2000万台湾ドルだった。捜査当局は、日本で逮捕された台湾人女性と夫との接触記録も把握し、両者の連絡内容や役割を調べている。
「年末まで生きられない」事件前に記者へ相談
台湾の週刊誌『鏡週刊』は、ジンさんが事件前、夫に危害を加えられることを恐れ、友人を介して同誌記者に相談していたと報じた。
同誌に語った内容によると、ジンさんは今年5月、Threadsで見つけた会社のアシスタント職に応募し、経営者だった夫と知り合った。7月に結婚すると、夫はジンさんに傷害保険など複数の保険を掛け、保険料を一括で支払ったという。
保険が有効になって数日後には、片手か片足を失えば高額の保険金を受け取れると持ちかけられたと説明。夫の発言に恐怖を覚え、「年末まで生きられない」との不安も抱えていた。同誌は事件後、相談内容を警察に伝えたとしている。
同じツアーの27歳女性、銃刀法違反容疑で逮捕
テレビ朝日によると、ジンさんは19日、富士河口湖町のホテルの1人部屋で、血を流して仰向けに倒れているのが見つかった。司法解剖で首に刃物で刺された傷が認められ、死因は失血死とされた。
山梨県警は同じツアーに参加していた台湾人のヤン・ミン・ハン(楊閔涵)容疑者(27)を、刃渡り約12センチの包丁を所持した銃刀法違反の疑いで逮捕し、ジンさんの死亡との関係を捜査している。
台湾の刑事警察局は27日、日本の警察と協力して捜査を広げる方針を示した。法務部も、必要に応じて駐在する法務・警察担当者を通じ、日本の捜査当局と連絡を取るとしている。



