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アツギのストッキングに「男性更年期」で炎上 女性客が反発、過去のラブタイツ騒動も再燃

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アツギ
Atsugi 公式サイトより一部抜粋

ストッキングを開封したら、男性の更年期について理解を求める文章が入っていた――。レッグウェア大手のアツギが、商品に同封した健康情報をめぐって批判を浴びている。Xでは「なぜ女性が男性のケアを求められるのか」と反発が広がり、不買を宣言する声も上がった。実は今回の文章、以前から続く健康啓発活動の一部だった。女性の健康を考えて始めた取り組みは、なぜ批判を招いたのか。

 

アツギのストッキングに男性更年期の説明 X投稿から批判が拡大

騒動の発端は、Xに投稿されたストッキングの写真だった。投稿者はアツギの商品を開封したところ、男性の更年期について理解を促す文章が書かれた厚紙が入っていたとして、不快感をあらわにした。問題となったのは「中台紙」と呼ばれる包装材で、商品の形を整えるために使われるものだ。そこには「女性も知っておきたい、男性の更年期症状のこと」という健康情報が掲載されていた。男性も加齢によるホルモンの変化で心身に不調を抱えることがあり、周囲の理解やサポートが大切だという趣旨の内容だった。

投稿はXで拡散され、女性向け商品に男性の健康情報を掲載したことへの批判が相次いだ。仕事や冠婚葬祭などでストッキングを着用する女性も多い。自分のために購入した商品の包装に、男性の不調への理解を求める文章が書かれていたことで、女性に気遣いやケアの役割を求めているように感じた人もいた。

 

なぜ女性向け商品に男性更年期?

アツギは2024年、今回の健康情報を掲載する企画について公式に発表していた。同社は長年、ストッキングの中台紙を利用し、女性の暮らしや健康に役立つ情報を発信している。乳がんや子宮頸がん、月経、女性ホルモンなどを取り上げてきた。今回問題となった文章は「性ホルモンとの上手な付き合い方」をテーマにした全12話のうちの一つで、男性の更年期症状を紹介する11話目に当たる。アツギは女性ホルモンの働きだけでなく、男性ホルモンにも話題を広げ、性ホルモン全般への理解を深めることを目指したと説明している。

つまり、男性の更年期を取り上げたのは、男女双方のホルモンについて知ってもらうためだった。この企画は女性の健康を中心に構成され、低用量ピルの使い方や過度なダイエットによる影響、骨折のリスクなども紹介している。ただ、購入者が12話すべてを目にするわけではない。商品を開封した際に入っていた1枚だけを読む場合、企画全体の意図は伝わりにくい。アツギは男性ホルモンを取り上げた理由を説明しているものの、女性向け商品で男性の更年期への理解を呼びかけることについては、十分な説明があったとは言い難い。

 

Xでは不買を宣言する声も 「男性自身に伝えるべき」と批判

Xでは、男性の更年期について啓発するのであれば、男性が購入する商品に掲載するべきだという意見が目立った。男性更年期障害は、男性ホルモンの低下などによって疲労感や不眠、集中力の低下、気分の落ち込みなどが生じることがある。本人が年齢や疲れのせいだと考え、症状を見過ごす場合もあるため、男性自身が正しい知識を持つことも重要だ。今回の批判には、こうした情報を必要とする本人に届けるべきだという問題意識も含まれている。

一方で、男性の健康問題を女性が理解することにも意味があるとして、アツギへの批判に疑問を示す声もあった。12話のうち男性をテーマにしたのは1話であり、それだけで企業全体を批判するのは行き過ぎだという意見も見られる。また、商品の品質を評価して今後も購入するとする人がいる一方、別のメーカーへの乗り換えを宣言する投稿もあった。健康に関する情報発信が、企業やブランドへの評価にまで影響を及ぼしている。

 

2020年のラブタイツ騒動も再燃 アツギは過去に謝罪

今回の騒動をきっかけに、アツギが2020年に実施した「ラブタイツキャンペーン」も再び注目されている。同社は「タイツの日」に合わせ、イラストレーターらが描いたタイツ姿の女性のイラストを公式Twitterで紹介した。ところが、一部のイラストに性的な描写を連想させる表現があるとして批判が殺到した。ITmedia NEWSによると、アツギは謝罪文を発表してキャンペーンを中止し、関連投稿も削除。社内の確認体制やモラル意識に甘さがあったことを認め、管理体制を見直す方針を示した。

今回もXでは、過去の騒動を引き合いに出して企業の姿勢を疑問視する声が上がっている。ラブタイツでは女性の描き方が、今回は女性への情報の届け方が批判の対象となった。内容こそ異なるが、いずれも女性向け商品を扱う企業の発信が、購入者の反発を招いた。アツギが伝えたいことと、商品を購入する女性が求めるものとの間に、認識の隔たりが生まれた点は共通している。

 

「プライベートな空間」が裏目に?

アツギの健康啓発活動には、ストッキングという商品ならではの発想がある。同社は公式資料で、ストッキングが女性のプライベートな時間や空間で開封されることに着目したと説明している。その際に健康情報が目に入れば、自分に向けられたメッセージとして受け取ってもらえると考えたという。乳がん検診や女性ホルモンなど、日常では意識する機会が少ないテーマについて知るきっかけをつくる狙いがあった。

しかし、個人的な時間に読むからこそ、内容によっては強い違和感を抱くこともある。女性自身の健康に関する情報であれば役立つと感じても、男性の更年期について理解やサポートを呼びかけられれば、自分に新たな負担を求められているように感じる人もいる。今回の騒動では、男性の健康について知ってほしいという企業側の意図が、女性に男性のケアを期待するメッセージとして受け止められた。

 

問われる「女性に寄り添う」の意味

アツギは女性の暮らしや健康に役立つ情報を届けるため、長年にわたってストッキングの中台紙を活用してきた。男性の更年期への理解を広げることも、男女が互いの健康について知るという意味では意義がある。ただ、今回の反発を見る限り、企業が伝えたい情報と、商品を購入する消費者が求める情報が一致しているとは限らない。過去のラブタイツ騒動でも、企業が意図した宣伝表現が女性消費者から批判され、謝罪に追い込まれた。

今回、男性の更年期を取り上げたこと自体よりも、その情報を女性向けストッキングに掲載し、購入者に理解やサポートを促したことが反発につながった。男性自身にどう知識を届けるのか、女性向けの商品には何を伝えるべきなのか。アツギが続けてきた健康啓発活動には、情報の内容だけでなく、その届け方を見直すという課題が突き付けられている。

 

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ライター:

Webライター。きれいごとだけでは済まない現実を、少し距離を置いて綴っています。

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