
堺雅人主演のTBS系日曜劇場『VIVANT』第2シーズンが、再び数字を伸ばしている。9月6日放送の第17話は平均世帯視聴率17.1%を記録。前週から2.1ポイント上昇し、第2シーズン初回に次ぐ高さとなった。個人視聴率も11.2%だった。
しかも今後は毎週そのまま物語を追えるわけではない。9月13日の第18話放送後、アジア大会中継のため20日と27日は2週連続で放送を休止し、次回は10月4日となる予定だ。続きが気になるドラマで、あえて3週間近い空白が生まれる。配信で「いつでも見られる」時代に、なぜ『VIVANT』はこれほど「次を待つ時間」まで含めて視聴者を引き付けるのか。
第17話17.1%、7週連続で世帯15%超
オリコンニュースによると、第17話は世帯17.1%、個人11.2%を記録し、前回から世帯で2.1ポイント、個人で1.6ポイント上昇した。第2シーズン初回の世帯18.8%、個人12.1%に次ぐ高さで、第11話から第17話まで7話連続で世帯15%を超えている。7話平均でも世帯16.3%、個人10.5%となった。放送当日のXでは「#VIVANT」が7週連続で世界トレンド1位となり、複数の関連ワードも上位に入ったという。
第2シーズンは2023年に放送された前作のラストから物語が直結する。秘密部隊「別班」に所属する乃木憂助を中心に、海外を巻き込んだ物語が展開されている。第17話では野崎守の過去や、堺雅人が乃木と別人物の二役を演じる展開などが描かれた。情報量が多く、一話を見逃すと次の展開を理解しにくい構成も、毎週視聴する動機になっている。
配信で見られるのに「後で見ればいい」にならない
現在はリアルタイムで見逃しても、作品そのものを見ることは難しくない。TBS公式サイトではリアルタイム配信や見逃し配信を案内しており、第2シーズンも放送後に追える環境が用意されている。かつてのように「日曜日の午後9時を逃したら見られない」状況ではない。
それでもリアルタイムの数字が伸びるのは、『VIVANT』が「後で見ても同じ」になりにくい作品だからだ。登場人物の正体、裏切り、伏線、突然の展開そのものが魅力になっており、放送が終わればSNSやニュースサイトにはすぐ感想や考察が流れる。後から見る視聴者にとって、それらはネタバレになり得る。いつでも見られる自由が広がったことで、話題作については逆に「誰よりも早く見たい」という心理が強くなる。
SNS時代に「放送時間」がイベントになる
もう一つ大きいのが、同じ時間に大勢が物語を追う共有体験だ。『VIVANT』の放送中には、登場人物の行動やセリフ一つ一つについてSNSで考察が飛び交う。視聴者はドラマを一人で見るだけではなく、「今、多くの人が同じ展開を見ている」という感覚まで楽しんでいる。Xで関連ワードが毎週のようにトレンド入りするのも、その延長にある。
構造はスポーツ中継にも近い。試合結果だけなら後から知ることができても、多くのファンはリアルタイムで観戦する。何が起こるか分からない時間を共有すること自体に価値があるからだ。ドラマも、配信作品として好きな時間に見るものと、放送時間に集まって楽しむイベント型の作品へ二極化し始めている。『VIVANT』は後者の性格が強い。
9月20日・27日は2週連続で放送なし
その『VIVANT』に、これから異例の空白が生まれる。TBSは9月16日から10月4日にかけて「アジア大会 愛知・名古屋」を中継する予定で、これに伴い『VIVANT』は9月20日と27日の2週にわたって休止する。10月4日から通常放送に戻る予定で、すでにネット上では放送間隔が空くことを惜しむ声も出ている。
通常の連続ドラマにとって、2週連続の休止は視聴習慣が途切れるリスクにもなる。一方、『VIVANT』の場合は空白期間そのものが次回への考察や予想を膨らませる時間になる可能性がある。9月13日の第18話をどのような場面で終えるかによって、10月4日までの「待つ時間」は単なる中断ではなく、作品への関心を持続させる期間にもなり得る。
『VIVANT』が作った「翌週まで続くドラマ」
2023年の第1シーズンから、『VIVANT』は放送前に物語の詳細をほとんど明かさず、「VIVANTとは何なのか」という謎そのものを入口にした。視聴者はドラマを見るだけでなく、放送後に伏線を探し、他人の考察を読み、翌週まで展開を予想する。1時間の放送が終わっても、作品との接触が終わらない構造をつくった。
第2シーズンでも、その基本は変わっていない。放送を見る、SNSで感想を確認する、配信で場面を見返し、次回を予想する。この循環が一週間続き、また日曜午後9時に戻ってくる。視聴率17.1%という数字は、そのサイクルに多くの人が今も参加していることを示している。
「テレビ離れ」ではなく、見る番組を選ぶ時代へ
テレビを何となくつけたまま過ごす視聴スタイルは弱くなったかもしれない。一方で『VIVANT』の数字を見る限り、「見たい番組があれば決まった時間に見る」という行動まで消えたわけではない。むしろコンテンツが増えたことで、視聴者は時間を使う作品を以前より厳しく選んでいる。
9月13日の第18話を最後に、物語は20日、27日と2週止まる。次に『VIVANT』が戻るのは10月4日の予定だ。いつでも好きな作品を再生できる時代に、3週間近く続きを待たなければならない。その不便ささえ話題になることが、『VIVANT』の現在地をよく表している。視聴率17.1%以上に重要なのは、このドラマが日曜午後9時を再び「次に何が起こるのかをみんなで待つ時間」に変えていることだろう。



