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飲酒運転体験が大バズり、QAB琉球朝日放送の中村月夢記者はどんな人物?入社半年新人の素顔

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QAB琉球朝日放送
画像:QAB琉球朝日放送公式HP

沖縄のローカルニュースから、入社1年目の記者が全国区の話題をさらった。琉球朝日放送(QAB)の中村月夢氏が、飲酒運転の危険性を自らの体で確かめる体験リポートに挑み、その映像がX上で大きく拡散している。1時間でビール4缶とワインを4杯空け、酒気帯びの基準をはるかに超えた状態でハンドルを握る。

その堂々とした飲みっぷりと、どこか楽しげにすら見える表情に、ネットは酒豪だと沸いた。いったいどんな人物なのか。

 

1時間でビール4缶・ワイン4杯 新人記者の体当たりリポートが拡散

騒動のもとになったのは、QABが10月15日夕方のニュース情報番組「CATCHY キャッチー」で放送した一本のリポートである。番組は、沖縄県で人身事故に占める飲酒運転の割合が5年連続で全国ワーストだというデータを紹介し、その危険性を伝える企画として、中村氏が9月18日に豊見城市で開かれた飲酒運転体験教室に参加した模様を流した。

教室では、参加者がまず酒を飲み、そのうえで自動車学校のコースを実際に走る。中村氏も1時間ほどでビール4缶とワイン4杯を飲んだ。乗車前の呼気検査で示された数値は0.5ミリグラム。酒気帯び運転の基準の約3.3倍にあたり、7月に改正された道路交通法で新たに定められた酒酔い運転の基準値に達していた。

それでも本人に迷いはない。カメラの前で「ほろ酔い気分ですが運転には自信がある」と言い切り、「準備ばっちりです」と笑顔を見せてから運転席に座った。この自信満々の宣言と、その後に起きたこととの落差が、のちに多くの視聴者を引きつけることになる。

 

中村月夢記者とは何者か 入社半年で現場を駆けた新人

話題の記者について、QAB報道制作局によると、中村氏は今年4月に入社したばかりの1年目である。

入社直後の4月14日、中村氏は大城慧士郎氏、上地陽菜乃氏という2人の同期とともに、新入社員として番組に初めて登場した。その年の新入社員が世代をつなぐタイプと評されたことにかけて、社内のかけ橋になれるよう3人で頑張りたいと抱負を述べている。配属からまだ日の浅い、初々しい表情だった。

そこから半年。現場での経験は着実に積み上がっていた。9月23日のシルバーウィーク最終日には、帰省や旅行の客でごった返す那覇空港に立ち、受付カウンターに伸びる行列を背にして中継リポートをこなしている。名古屋から訪れた子どもに旅の気分を尋ね、気分アゲアゲという弾んだ言葉を引き出すなど、相手の懐にすっと入っていく取材ぶりも見せた。地域の足元のニュースを地道に追ってきた、現場たたき上げの新人である。

その積み重ねの先に、飲酒運転の体験企画があった。酒豪を気取るでも、怖がって尻込みするでもなく、自信があると言い切って運転席に座り、終わればごまかさず恐怖を認める。切り抜き動画を見たユーザーからは、1時間で飲む量ではないと驚く声、酒飲みでも引くほどの速さだと苦笑する声が相次いだ。人形を避けきれなかった場面の表情をとらえ、事故の瞬間が妙に面白くてかわいいと評する反応まであった。酒に強い記者という意外性と、取り繕わない素の反応。その組み合わせが、堅いはずのニュース映像を一種のネットミームへと押し上げた。

笑いを誘う話題として広がった一方で、企画の狙いを正面から受け止める声も少なくない。沖縄では飲酒運転の事故が深刻だからこそ危険性を伝える意義があるという評価や、実際に酒を飲んで検証する報道を評価する書き込みも寄せられた。話題性の高さと企画の真面目さは、必ずしも相反するものではなかった。

 

笑顔の裏で人形を轢いた 体で示した酒酔い運転の恐怖

映像の核心は、笑いの手前にある。L字クランクなどの課題を、中村氏は時間をかけながらもなんとか通過した。問題は、路上に寝ている人形を避ける場面だった。同乗した指導教官がブレーキの指示を出したにもかかわらず、反応が一拍遅れ、人形を轢いてしまう。安全を確保するために教官が隣に座る状況ですら、避けきれなかった。

走り終えた中村氏の言葉は短く、重い。運転には自信があったのに、人が飛び出してブレーキと言われていたのに轢いてしまった。右も左も分からないようになっていた。酒酔い運転はすごく怖いと思った。飲む前の宣言と走行後のこの述懐の落差こそ、このリポートが体を張って示したものである。自分は大丈夫だという過信が、いかに当てにならないか。酔いは、本人が気づかないうちに判断と反応を奪っていく。

一連のニュース映像は、放送と同じ日にQAB報道制作局の公式YouTubeチャンネルにも上がり、公開から5日で100万回再生を突破した。番組の一場面を切り取った短い動画もX上で広く出回り、沖縄のローカルニュースが全国の目に触れる異例の広がりを見せている。

 

沖縄は飲酒事故5年連続ワースト 笑って済ませられない数字

ここから先は、茶化しようのない現実である。中村氏の表情に笑った人も、この数字の前では姿勢を正さざるを得ない。

QABの報道によると、沖縄県では人身事故に占める飲酒運転の割合が5年連続で全国ワーストとなっている。昨年度、県内で飲酒運転により検挙された人は1097人。今年も8月末の時点で検挙は606件にのぼり、そのうち190件で実際に事故が起きている。飲酒運転による検挙のおよそ3割が、事故にまで至っている計算だ。

この状況を受けて、国も対応を強めた。7月21日に改正された道路交通法では、これまで明確でなかった酒酔い運転に数値基準が設けられ、呼気1リットルあたり0.5ミリグラム以上と定められた。目安として、体重60キロの人がビールの大瓶2本程度、日本酒なら2合ほどで、この数値に達するとされる。中村氏が体験で示したのは、まさにこの一線を越えた状態だった。

体験教室で豊見城署の交通課長は、飲酒運転をしない、させない、許さないという意識がいちばん大切だと述べ、周囲から運転を止める雰囲気づくりの必要性を訴えた。飲酒運転は、個人の不注意では済まされない。何の落ち度もない通行人の命を、一瞬で奪う犯罪行為である。全国では、家族を飲酒運転の事故で失い、何年たっても癒えない悲しみを抱えて生きる遺族が数多くいる。このくらいなら大丈夫という油断の先に、取り返しのつかない結末が待っている。

 

体を張った新人と、変わらぬ現実

飲酒運転の怖さを言葉でいくら説いても、人はなかなか自分事として受け取らない。中村氏のリポートが広く届いたのは、本人が身をもって恐怖を体験し、その過程を包み隠さずさらけ出したからだろう。自信から恐怖への変化が、画面を通してまっすぐ伝わった。

話題が人物の魅力に集まること自体は、悪いことではない。親しみを入り口に、より多くの人が沖縄の飲酒運転の現実に目を向けるなら、体を張った意味はある。注目の矛先が、酒豪ぶりへの面白がりで終わるのか、それとも5年連続ワーストという数字への危機感につながるのか。入社半年の新人がつくったこの小さな入り口が、どこまで届くのかを見届けたい。

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ライター:

新聞社で記者としてのキャリアをスタートし、政治、経済、社会問題を中心に取材・執筆を担当。その後、フリーランスとして独立し、政治、経済、社会に加え、トレンドやカルチャーなど多岐にわたるテーマで記事を執筆

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