
葬祭用品の老舗がなぜ手芸糸をつくり、新興シューズブランドと組むのか。一見脈絡のない異色コラボの裏には、終わりを肯定し未来へ紡ぐ、三和物産の強烈なビジネス哲学が潜んでいた。
葬祭メーカーとシューズ店が描く異色のタッグ
葬祭用品大手である三和物産の手芸ブランドと、再生ニットシューズで勢いに乗るオッフェンが、福岡で手芸体験イベントを仕掛ける。
捨てられるはずだった着物と使用済みペットボトルという、一度役割を終えた素材同士が手を組み、自分だけのシューズ巾着へと姿を変える試みだ。
一点物の価値を体験に変える独自のアプローチ

大量生産の既製品が溢れる時代に、職人が手作業で洗ってほどいた着物糸は、二度と同じ柄が手に入らない圧倒的な個性を放つ。
他社のような単なるエコアピールに終始せず、参加者に糸を選ばせ結ばせる体験までを設計することで、消費者を素材の価値を問い直す物語の当事者へと引き込んでいる。
終着点を未来の始点に変えるビジネスの美学
三和物産の本業は、人の最期を彩る葬祭用品の製造である。死や別れをタブー視せずポジティブに捉え直す彼らの精神は、捨てられる着物に新たな命を与える取り組みとも深く響き合っている。
役目を終えたものを無価値と捨て去るのではなく、愛おしんで次の物語へとつなぐ姿勢こそ、彼らの真骨頂と言える。
捨てられる運命の素材から価値を再創造する視点
どんなビジネスも寿命と無縁ではいられない。しかし、終わったと見なされたものに新しい意味を与え、まったく異なる市場と掛け合わせることで、唯一無二のビジネスモデルは生まれる。
時代の潮流を読む力と、自社のコア思想をぶらさない強さの両立が、これからの事業開発における大きなヒントになる。



