
福岡県うきは市では収穫直前の梨約5000個が盗まれ、農家が閉園を決断した。
その直後の8月には栃木県でシャインマスカット約400房、佐賀県でブランドいちご「いちごさん」の苗約2000株が被害に遭った。
猛暑による高温障害も重なり、生産者の損失は深刻だ。
栃木・佐野市でシャインマスカット約400房盗まれる
2026年8月5日、栃木県佐野市村上町の果樹園で高級ぶどうシャインマスカット約400房が盗まれた。
被害額は時価約80万円相当。ビニールハウス5棟のうち複数棟で被害が確認され、木には刃物で切られた跡が残っていた。
防犯カメラは設置されておらず、管理人が最後に確認した7月25日夕方以降の犯行とみられる。
農家が8月5日午後に気づき通報した。警察は窃盗事件として捜査し、付近のパトロールを強化している。
市内では今年に入って同様の被害は確認されておらず、計画的な犯行の可能性が高い。
シャインマスカットは単価が高く全国的に盗難の標的になりやすい品種で、収穫直前を狙ったケースが目立つ。
佐賀・伊万里市でいちごさん苗約2000株盗難 過去最多規模
佐賀県伊万里市の育苗ハウスで、県産ブランドいちご「いちごさん」の苗約2000株が盗まれた。
8月4日早朝に農家が気づき、警察に被害届を提出した。
4棟のハウスから少しずつ間引くようになくなっており、鍵はかかっていなかった。
農家が最後に作業したのは3日夕方以降で、秋の定植用に約1万株を管理していたうちの一部が被害に遭った。
いちごさんの苗盗難は今回で6例目で、過去最多の規模だ。
品種は県が育成者権を持ち、JA経由でしか譲渡されない。
県は農家に対し、台帳管理の徹底やドア・柵の設置、周辺警戒の強化を呼びかけている。
過去の5件では犯人特定に至らず、盗まれた苗が悪用された事例も確認されていないが、遺伝資源の流出懸念は残る。
うきは市梨盗難の余波と支援の動き
福岡県うきは市では7月、収穫直前の幸水梨約5000個が盗まれ被害額約200万円。
前年も約6000個が狙われ2年連続の被害で農家は閉園を決断した。
人感センサーや柵を設置しても防げず、贈答用需要の高い時期の損失が響いた。
この事件を受け、タレントのダレノガレ明美さんがクラウドファンディングを提案し、応援メッセージや支援の輪が広がっている。
栃木と佐賀で被害が続いたことで、高級フルーツ生産地全体に不安が広がっている。
いずれも単価の高いブランド品種を収穫直前や定植用のタイミングで狙う点が共通し、防犯が手薄なハウスや畑が選ばれている。
高温障害も重なる生産現場の苦境
盗難被害に加えて、近年の猛暑による高温障害が果樹農家を直撃している。
シャインマスカットでは果実の日焼けや軟化、着色不良が起きやすく、糖度が十分に上がらないまま出荷を余儀なくされるケースが増えている。
いちごさんをはじめとするいちごでは、苗の活着不良や花芽分化の遅れ、果実の変形・小玉化が報告され、収量そのものが落ち込む。
梨でも高温による落果や果肉のスカスカ化が進み、贈答用としての価値が大きく低下する。
これらの品質低下や収量減に、収穫直前の盗難が重なると損失は一気に拡大する。
せっかく残った果実も高温で傷みやすく、販売できる量がさらに減る悪循環に陥りやすい。
農家は遮光ネットの設置や散水、夜間の温度管理を強化しているが、資材費や光熱費の負担が増し、利益を圧迫している。
防犯面では夜間の見回りや人感センサー、カメラの設置を進める動きが広がるものの、広大な畑やハウスをすべてカバーするのは難しく、限界がある。
警察・自治体・JAの連携強化や、被害情報の迅速な共有、流通経路の監視が求められている。
高級フルーツの産地では、自然災害と人為的被害のダブルパンチにどう対応するかが大きな課題となっている。



