
”シンガポールはもう十分に分かった”タレントの福田萌が、夫でお笑いコンビ・オリエンタルラジオの中田敦彦とともに、約5年間暮らしたシンガポールから日本へ本帰国したことを明かした。FRaU webの連載で”大冒険のチャプターが終わった”と前向きにつづった一方、ネット上では「税金逃れをしておいて、都合よく日本の医療や教育にただ乗りするのか」といった厳しい声も上がっている。しかし、このバッシングに対して実業家のひろゆき氏が「中田氏より多額の税金を納めた者だけが石を投げなさい」と一石を投じた。この騒動から透けて見える、現代日本の納税格差と、汗水垂らして稼ぐ高所得者層の本音とは。
もともと永住する気はなかった?
今回の帰国劇をめぐり、世論が最も注視しているのは、彼らが最初から数年で帰るつもりだったのかという点だろう。福田側はブログや連載などで、今回の帰国の最大の理由として長女の中学受験を挙げている。子どもの教育環境を第一に考え、日本の受験シーズンに合わせて生活拠点を戻す。それは親としてごく自然で、批判の余地のない選択に映る。しかし、夫の中田敦彦が移住当初から「ずっと同じ場所にいるつもりはない」「次は別の国に行くかも」と発言していたことを考えれば、この中学受験すらも、最初から織り込み済みだった戦略的な帰国カードのひとつに過ぎないのではないか、という見方もできる。ネット上では過去にデーブ・スペクター氏からテレビ番組で「税金対策ですか?」と直球で突っ込まれた経緯もあり、美味しいところだけを体験するための期間限定の滞在だったのではないかと邪推する声が絶えないのも、こうした計算高さが見え隠れするからだろう。
実際、帰国は思ったより早かったのか?
下の子がまだ幼いにもかかわらず、わずか5年での帰国となった背景には、近年の世界的なインフレに伴う現地の恐ろしいほどの物価高や家賃の高騰という、リアルな経済的ハードルがあったのではないか。シンガポールは移住先として人気だが、決して誰にとっても絶対的な天国というわけではなかったのかもしれない。一等地のマンションの家賃が毎月100万円を超え、子供をインターナショナルスクールに通わせれば1人あたり年間500万円近くが吹っ飛ぶのが、今の現地のシビアな現実だ。かつてテレビ番組で独自の教育論を展開し、努力の証明書としての学歴にこだわりを見せていた福田。そんな彼女だからこそ、これ以上の滞在はコストパフォーマンスが悪いと判断し、合理的な損切りを行ったのではないかと勘繰られても仕方のないタイミングと言える。
ひろゆき氏が苦言「多額の税金を納めた者だけが石を投げなさい」
こうした中田一家のいいとこ取りに見えるムーブに対し、ネット上では「日本を終わっていると貶めておいて、タイミングよく帰ってくるな」といった批判の声が噴出。しかし、実業家のひろゆき氏がX(旧ツイッター)を更新し、このバッシングに冷や水を浴びせた。ひろゆき氏は「過去に中田敦彦氏より多額の税金を日本に納めた者だけが石を投げなさい」とピシャリ。さらに、「社会保障にただ乗りしている」という意見に対しても、「中田氏より低い税金・保険料を払ってる人もただ乗りということになります」と独自の鋭い見解を示し、ネット民の矛盾を突いた。日本に戻れば当然、中田夫妻も日本の法律に従ってまた巨額の税金を納めることになる。それにもかかわらず、外野がここまで怒り狂う本質とは何なのだろうか。
ネットやXでの反応
ひろゆき氏の言及により、ネット上の議論はさらに活発化している。批判的な意見と、それを擁護する視点が真っ向から対立しているためだ。まず、批判派の主な意見は次の通りである。
「過去の納税実績とか関係ないんだよ。税金を安く抑えるために海外へ逃げ、現地のコストが上がったら日本の手厚い医療や教育にタダ乗りするために戻ってくる。その『都合の良さ』にもやもやする」
「社会保障費が140兆円を超えてカツカツな中、庶民は増税で喘いでいる。そこへドヤ顔で帰国されたら、そりゃ反発も買うだろ」
「納税の額以前の話。散々海外移住のメリットを語って動画を投稿していたのに、帰国したら都合よく過去の動画を削除して無かったことにしている。その不誠実さがみんな気に食わないんだよ」
一方で、税務の現場を知る関係者や高所得層からは、ひろゆき氏の視点に冷めた納得感を寄せる声も少なくない。
「税理士事務所などで多くの個人事業主や経営者を担当しているが、本当にたくさん稼いで税金をがっぽり引かれている層ほど文句言わずに働いている。逆に、大して税金を払っていない人ほど、少しの増税や控除の変更に大騒ぎし、文句を言うので、説明して納得させるの毎回面倒くさい。私に文句言われても…」
「努力して稼いでも、日本は税金で容赦なく持っていかれる上に、補助金からは所得制限で真っ先にハジかれる。この『最も損をする層』が黙って社会を支えているのが現実。そこを理解せずに『タダ乗り』なんて言葉で叩くのは、あまりに幼稚な嫉妬に見える」
「そもそも富裕層が海外に出てしまう本質的な原因は、こうした稼いだ人へのリターンが少なすぎる日本の歪んだ仕組みにあるのではないか。必死に努力して稼いだ人が、大して払っていない外野の文句をカバーしてやっているのが資本主義の現実なのに、どの口が中田さんに石を投げているのかと冷ややかに見てしまう」
高額な税金を引かれても黙って社会を支えている当事者と、1円の損も許せない外野の心の余裕の差が、この騒動でくっきりと浮き彫りになった形だ。今回の本帰国バッシングは、私たちに「納税と社会保障の公平性とは何か」という、ちょっと耳の痛い問いを投げかけている。単なる芸能人の一過性のニュースとして消費するのではなく、自分自身の納税への意識や、資本主義における格差の現実について、改めて考えるきっかけにしてみてはいかがだろうか。ネット民から投げられる石を綺麗にかわした夫妻が、次に”十分に分かった”と語る国はどこになるのだろうか。



