
福岡県が公表した服部誠太郎知事らの海外視察費をめぐり、批判が広がっている。2025年11月のフランス・パリ視察は22人・5日間で総額約5,030万円。県は2026年5月のハワイ視察費約1,622万円もあわせて公表した。福岡県政では「ワンヘルス」関連予算をめぐる知事の議会謝罪も続いており、海外視察費と予算運用への関心が高まっている。
初公表された経費の中身 パリ5,030万円、ハワイ1,622万円
福岡県は2026年7月2日、知事・副知事を団長とする海外視察の経費と内訳を初めて公表した。報道によると、2025年11月のパリ視察は、観光客誘致や県産品の販路拡大を目的に、服部知事と職員13人に加え、県議会の議長ら県議、議会事務局職員を合わせた計22人が5日間の日程で実施。総額約5,030万円の内訳は、県庁側の旅費約1,047万円、議会側の旅費約1,143万円、現地でのPRイベントや車両・通訳の手配などの事業費約2,839万円だった。
併せて公表された2026年5月の米ハワイ視察(日本・ハワイ姉妹都市サミットへの参加など)は、4日間で総額約1,622万円。テレビ朝日系の報道によれば、県議会の改革に関する会合では、過去の視察分も含めた「さらなる情報公開」を求める声が上がっている。
「税金でパリ旅行」SNSで拡散 知事も「疑念抱かせる事態」と認める
公表内容が報じられると、Xでは「22人で5日間、1人あたり約230万円」「庶民の年収を超える額で『視察』って…」とする投稿が拡散するなど、批判が一気に広がった。タレントの大竹まこと氏がラジオ番組で総額に絶句したことも報じられ、話題は全国区となっている。
こうした反応に対し服部知事は、「県民が費用の妥当性に疑念を抱いている事態」との認識を示し、今後の海外活動は必要最小限の規模に見直して経費削減を図ると表明。読売新聞によれば、費用を公開した上で第三者の評価を受ける考えも示している。
しかし、そもそも今回の公表自体、県議会の海外視察をめぐる高額経費や不透明な運用が先行して問題化したことを受けたものであり、「指摘されなければ公表されなかった」という構造への不信は根強い。
重なる「ワンヘルス」関連の逆風
批判に拍車をかけているのが、福岡県が全国に先駆けて推進する「ワンヘルス」(人・動物・環境の健康を一体的に守る理念)関連事業をめぐる一連の問題だ。服部知事は6月12日の県議会で、「ワンヘルスと言えば何でも予算が付くと誤解を生んだ」「ワンヘルスの予算とは言えない事業も計上してしまっていた」と謝罪し、予算の整理を表明した。
さらにRKB毎日放送などは、ワンヘルス関連の講演謝礼が県の基準を超えて26回支払われ、県議会議長への1時間10万円の謝礼もあったこと、議長側が「ワンヘルスパーク」整備を県に働きかけていたとされる内部資料の存在を相次いで報道。県予算の使われ方に対する疑念が幾重にも積み重なっている。
ワンヘルス自体は感染症対策や薬剤耐性菌対策など公衆衛生上の意義ある理念だが、その看板が予算獲得の免罪符のように扱われていたとすれば、理念そのものへの信頼も損なわれかねない。
海外活動の是非ではなく、説明責任の問題
トップセールスによる販路拡大や国際交流自体は、地方自治体にとって必要な活動だ。問題は、その費用対効果を県民が検証できる形で示してこなかったことにある。何を目的に、誰が、いくら使い、何を持ち帰ったのか――。視察報告書の公表、経費の事前・事後開示、第三者による効果検証が制度として定着しなければ、「税金で旅行」との批判は今後も繰り返される。



