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サンクゼールの森が挑むクマとの共生と次世代への責任

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サンクゼールの森が挑むクマとの共生と次世代への責任
提供:株式会社サンクゼール

豊かな自然を単なる景観として眺めるのではなく、生態系の一部として自ら汗を流し、守り抜く。長野県信濃町に拠点を置くサンクゼールが実践する、泥臭くも真摯な森林保全の在り方は、現代の企業が担うべき地域共生の正解を提示している。

 

ビジネスウェアを脱ぎ捨てた精鋭たちが「地面を這う」理由

長野県信濃町、標高の高いこの地に広がる静謐な森のなかで、ビジネスウェアを脱ぎ捨てた従業員たちが一心不乱に地面を這っていた。

彼らが手にしているのは、洗練された企画書ではなく、泥にまみれた石やつる性の植物だ。株式会社サンクゼールが実施したこの保全活動は、一見するとよくあるボランティア清掃のようにも見える。だが、その実態は驚くほど戦略的で、かつ切実なものだった。

舞台は、同社のオフィス周辺に広がる約11万平方メートルもの広大な「サンクゼールの森」。ここには千種を超える動植物が息づき、国からも「自然共生サイト」として認定を受けるほどの豊かな生態系が保たれている。

しかし、豊かな自然は時に牙を剥く。今回の活動の主眼は、イノシシによって掘り返された石を除去し、生い茂るツルを一本ずつ取り除くこと。この地道な作業こそが、実はクマなどの野生動物との不慮の遭遇を防ぎ、人と自然が安全な距離を保って共存するための、極めて合理的な「境界線」を作り上げているのだ。

効率化を捨ててまで「手作業」に固執する生存戦略

提供:株式会社サンクゼール

多くの企業が掲げる環境保護が、寄付や植樹といった形ばかりの活動に留まりがちななか、サンクゼールの取り組みは異質なほどの当事者意識に貫かれている。

彼らの活動が他社と一線を画すのは、環境保護を単なる「社会貢献」ではなく、自分たちが働く場所を物理的に整える「生存戦略」として捉えている点にある。信州大学の専門家による科学的な調査を基盤にしつつも、実際の整備を外部業者に丸投げせず、従業員自らが現場に入る。

「自分たちの手で森を明るくすることで、動物も人も、お互いの気配を感じやすくなるんです」

参加したパートナーがそう語るように、重機に頼らず人の手で整備をすることで、森の僅かな変化に気づく感性を養っている。見通しを良くすることは、単に景観を整えるだけでなく、野生動物の隠れ場所を減らすという科学的根拠に基づいた「緩衝地帯」の形成を意味しているのだ。

創業の原風景「信州の食卓」を守り抜くという哲学

 

この徹底した現場主義の背景には、サンクゼールが創業以来大切にしてきた、自然の恵みを分かち合うという哲学が脈々と流れている。

創業者がペンション経営を通じて感じた、食卓を囲む家族の笑顔。その原風景にあるのは、常に信州の豊かな自然だった。彼らにとって森は守るべき対象であると同時に、ジャムやワインといった自社の商品、そしてブランド価値そのものを育んでくれる母体である。

だからこそ、自然をコントロールしようとする傲慢さを捨て、その厳しさも含めて受け入れ、共生するための作法を自らの手で学んでいる。自分たちの足元にある土を愛せなければ、本当の意味で豊かな食卓は届けられない。そんな強い意志が、森の整備という地道な活動を支える背骨となっている。

泥臭いアナログの姿勢こそが「本物のサステナブル」

サンクゼールの歩みから私たちが学ぶべきは、サステナビリティの本質とは「土地に対する敬意と責任」であるということだ。

ビジネスが効率を追い求める一方で、自然界との摩擦は避けられない課題として浮上する。しかし、その摩擦をテクノロジーや壁で遮断するのではなく、自ら森に入り、汗を流して視界を切り拓くことで、共生の道を見出す。

現場に足を運び、自らの手で環境に触れる。この泥臭くも誠実なアナログの姿勢こそが、複雑化する社会課題を解決するための、最も確実な一歩であることを、彼らの森づくりは雄弁に語っている。

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ライター:

サステナブル情報を紹介するWEBメディアcokiの編集部です。主にニュースや解説記事などを担当するチームです。

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