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株式会社ダイキチ

https://daikichi.inc/

〒597-0094 大阪府貝塚市二色南町2-11

072-438-4500

社員が自ら成長し始める――離職を止めた“イキイキ経営”の正体 株式会社ダイキチ 小田吉彦 代表取締役社長

ステークホルダーVOICE 経営インタビュー
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ダイキチ 社長

「人はなぜ辞めてしまうのか」。事業をV字回復へ導いた後も、株式会社ダイキチ小田吉彦代表取締役社長の悩みは尽きなかった。営業の仕組みを整え、会社の業績は伸び続けている。それでも一定数の社員が離職していく。その現実に向き合った小田社長は、“数字”ではなく“やりがい”に着目した。

営業の楽しさを先に体感させる独自の育成法、そして将来の独立という夢を描ける社員独立制度。外から押し付けるのではなく、自ら「やりたい」と思える力を引き出すことこそが、人を成長させ、組織を強くすると考えたのだ。「すべてはイキイキのために」。その理念を軸に、人材育成と働き方改革へ挑み続ける小田社長の経営哲学に迫る。

 

どん底の現場から始まったV字回復劇

―本日はよろしくお願いいたします。御社はビルメンテナンス、特に清掃業をフランチャイズ展開するカバーオール事業を主とされていますが、小田社長がそれに取り組むことになったきっかけからお伺いします。

「弊社は創業から50年になりますが、5つの事業を有しています。まず弊社の創業からの事業であるダストコントロール、いわゆるレンタルマット事業、ボトルウォーターのレンタル・販売事業、害虫駆除事業、不動産事業の4つ。そして基幹として一番ボリュームが大きいカバーオール事業の5つです。
 
 私は1992年に株式会社ダイキチに入社し、その後造花をレンタルする事業を立ち上げて、事業部長をしていました。弊社は社内ベンチャーを推進している会社なのですが、この造花のレンタル事業も軌道に乗った1996年に法人化をし、私はそちらの取締役に移りました。
 
 そんなある時、元の会社の創業者から呼ばれて『基幹事業のカバーオール事業が全然うまくいっておらず、フランチャイズオーナーさんに売上保証できる仕事を提供できていない。なんとか立て直してもらいたい』と、私に白羽の矢が立ったのです。」

―ご自身が立ち上げて順調な事業から離れて、不振の事業を任された時はどんなお気持ちだったのでしょう?

「造花の事業はどんどん売上が伸びていますから、当時私も色々な将来のビジョンを持っていたんです。しかし創業者から話を聞く以前から『不振のカバーオール事業を小田に立て直させるんじゃないだろうか』という噂が私の耳にも届いていましたので、じゃあやってやろうか、と。それで営業部長として乗り込んでいきました。1999年のことです。

 行ってみると社内の雰囲気がとにかく悪い。毎日フランチャイズオーナーさんから『なんで仕事を回してくれないんだ』『話が違う、訴えるぞ』と怒りの電話が鳴り止まないわけですから。そんな中で気分良く仕事をしている人なんて誰もいませんでした。

 そして就任初日の朝礼の時です。営業社員が一人一人、前日の業務報告をするのですが、一人目が昨日は訪問100件で見込み客0ですと言った。そして次の社員も同じく見込み客0と。それを聞いて典型的な成果が上がっていない会社だと感じた。それで外回り営業を止めさせて全てテレアポに切り替えたんです。」

―成果が上がらない外回りをするより、まず電話営業で見込み客の発掘に時間をかける、と。

「業務時間の70%は見込み客発掘活動に、と指示しました。彼らに交じって私も一緒に何時間も電話し続けると、必ず数件のアポイントはとれる。話を聞いてくれるお客さんは現れるんです。

 その時、私たちが提供するサービスが清掃だというのが、大きなセールスポイントになることに気がつきました。じつは当時、私たちのように清掃を売り込んでくる会社は他に存在しなかったんです。この業界には大手のビルメンテナンス会社が幾つかありますが、それらのほとんどが大企業の系列会社です。そしてその他中小の会社は清掃員を従業員として抱えていて、大手ビルメンテナンス会社に対して営業をする。下請けとして仕事をもらっているのです。しかし私たちはそうではなく、直接エンドユーザーに対して営業をした。だから話を聞いていただけたのです。テレアポに切り替えたことで、この隠れていたニーズに気づくことができたのです。

 そして、アポイントが取れたら私も営業に同行する。それを繰り返し続けていくことで、業績をV字回復させることができました。」

ダイキチ 社長

基礎より先に“成功体験

―小田社長が営業部長として赴任した僅か3年後の2002年にはカバーオール事業部はダイキチカバーオール株式会社として独立・分社化し、小田社長は代表取締役社長に就任します。しかしその後、社員の離職問題に悩まされたと聞きます。

「たとえ電話でアポイントが取れても、成績を上げられない社員はどうしても自信を持てずに辞めてしまう。営業の仕組みをプロセス化し、それに則って営業を進めていけば業績が上げられるように改善したのですが、それでも人は辞める。辞めてしまったらまた募集をして、一から教えていかなければならない。もうため息しか出なくなりました。営業プロセスに従って動くことで成績は上がり、会社の業績も毎年成長していく。それでも一定数の人間は会社を去っていく。これは他の企業でも同じ悩みを持たれていると思います。

 ……近年は21世紀に入ってから生まれたZ世代が新入社員として入ってきていますが、彼らを観察して気づいたのは、社会貢献に対する意識が非常に高いこと。だから彼らにはまず、自分たちのやっている業務の社会的意義から伝えていくことにしました。

 そして彼らには、これまでのように基本から教えるのではなく、応用から伝えることで自信を持ってもらおうと思い、それを育成に取り入れています。」

―応用から、とは具体的にはどのような育成方法なのでしょうか。

「例えば野球を教える時、昔のように素振りやキャッチボールなどの基礎練習からしっかりやらせていると、その段階では野球本来の楽しみを感じることができません。楽しみを感じられないからそこで脱落してしまう人がいる。しかし、下手でもいいからまず試合をさせてみて、打つ楽しみ、打球をキャッチする楽しみを感じてもらう。楽しく感じたからもっと練習して上手くなりたいという意識が生まれて、基礎練習にも力が入るようになる。そういったトレーニング手法が、大学のスポーツ強豪チームでは取り入れられていると聞きます。

 応用から伝える、とはそういう育成の仕方です。挫折してしまう前に、営業の楽しさを感じて自信を持ってもらう。これまでのように苦しい基礎練習からやっていたら、じつはお客様との対話力や好感度の高かった人材が、営業の楽しさを知る前に辞めてしまっていたかもしれない。それを無くすための育成方法です。辛く苦しい時でも、以前自分が見たお客さんの喜ぶ顔を思い出したり、良い仕事をできた時の達成感を味わったことがある人たちは、そこでもう一度立ち上がってチャレンジできるようになるんです。」

 

「イキイキ」は強制では生まれない

「退職をさせないためのもう一つの方法がキャリアビジョンを鮮明にさせることでした。自分がどうなりたいかという目標設定をしっかり持っている人は、どんな高いハードルも簡単に乗り越えていく。またそういう人なら、基礎練習の反復も進んでやる。だから自分のなりたい姿をイメージさせることはとても重要なのですが、それをいくら強制しても無理です。強制されて作った目標は外圧的で、本心から求めてはいないものだからです。

 弊社には現場でフランチャイズオーナーさんに清掃指導をする、品質管理の部署がありますが、そこで働く社員が他部署と比べてキャリアビジョンを持っている割合が少なく退職者も多い、というデータがありました。そこで4年間品質管理で働いたら資金0でフランチャイズとして独立できる社員独立制度を作りました。この制度を使って独立していく社員が何人か現れたら、それを見てその後も頑張る者が続いていくだろう、と思っていたのですが今では、5割もの社員が将来の独立を目指しているという結果が出ています。」

―キャリアビジョンが明確になって目標意識が生まれた。

「弊社はフランチャイズの10年後の事業継続率が約86%という非常に高い安定性があります。それに過去にも独立した社員たちがいて、彼らも事業を続けている。そういった事実と、さらに制度を設けたことで、目標を示せたのが意欲に繋がったと感じています。」

―社員独立制度によって、社員の中からやりたい気持ちが沸き上がってきた。それが御社のスローガンである「すべてはイキイキのために」に繋がっている。

「社員独立制度も『イキイキ』させるために考えたものです。弊社の掲げる『イキイキ』は外圧的なものではなく、内面から湧き上がるもの。自分の内面から生まれ起こる力が働かないと、人の足は止まってしまう。

 会社は社員にやりがいを与えていかなければならないものだと思います。それが離職の防止に繋がるのです。社員がイキイキと仕事ができる、そういった力を内面から湧き上がらせるための施策を今後も模索していきたいと考えています。」

ダイキチ 作業の様子

人手不足時代を支える“生涯現役”ビジネス

―ダイキチカバーオール株式会社は2021年6月に親会社である株式会社ダイキチと合併し、小田社長は同社の代表取締役社長として今も先頭に立たれています。今後の事業の展開についてお伺いします。

「現在、日本では人手不足が叫ばれていますが、労働人口の一番のボリュームゾーンは50代の男性です。この人たちがもうすぐ年金受給世代に入ってくるわけですが、それは今後、大きな社会問題になってくる。そういった社会情勢の中で、私たちが提供するカバーオール事業は末永く、生涯にわたって働けるビジネスとして、社会保障制度を補完する事業になっています。

 女性の雇用問題も同様です。50代男性に次いで多いのは40代の女性ですが、彼女たちは今までは子育てがあり、仕方なくパートやアルバイトで働いてきた。ですから子供に手がかからなくなれば正社員として働きたいと考えている。それがシングルマザーならばなおさらです。一人で子育てをしてきて、やっと子供に手がかからなくなった途端、高い学費がかかってくる。しかし彼女たちを正社員で雇用してくれる会社はなかなかありません。それが、弊社事業の女性オーナーになることで道が開けるかもしれない。彼女たちの受け皿としての意義もあるんです。

 新たな雇用、新たな働き方を創出し、経営者を育成、支援し続けること。それがカバーオール事業の社会的意義だと考えています。」

ダイキチ作業の様子

―今後の課題としては。

「先ほどお話した、営業に仕事の楽しさを覚えてもらった後で、課題に取り組んでもらうようにする育成と、お客様との対話に根ざしたソリューション営業の仕組み化を進めていきたいですね。

 またお客様が何を欲しているのか、ニーズを捉えた新たな商品開発もどんどん進めていきたい。弊社にはカバーオール事業の他に4つの事業がありますが、それらが結合し、シナジーが湧いてくるような組み立てにはしたいと思っています。

 私が最初、造花のレンタル事業からスタートし、それを事業化したように弊社の根幹にあるのは『事業経営者を育成・支援し続ける』という精神です。それを胸に、社員独立制度などを使って、これからも人材の育成に力を注いでいきたいですね。」

―本日はありがとうございました。

ダイキチ社長

ダイキチ ロゴ
株式会社ダイキチ
https://daikichi.inc/
〒597-0094大阪府貝塚市二色南町2-11
TEL:072-438-4500 FAX:072-438-4455

 

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ライター:

1980年千葉県生まれ 筑波大学大学院博士課程中退(台湾留学経験有り)。専門は中国近代政治外交史。その他、F1、アイドル、プロレス、ガンダムなどのジャンルに幅広く執筆。特にガンダムに関しては『機動戦士Vガンダム』blu-ray Box封入ブックレットのキャラクター・メカニック設定解説を執筆(藤津亮太氏と共著)。

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