
琉球ゴールデンキングスは5月29日、#14岸本隆一選手の退団、桶谷大ヘッドコーチと佐々宜央アソシエイトヘッドコーチの退任を発表した。いずれも契約満了によるもので、2025-26シーズンのBリーグ準優勝を一区切りに、クラブは大きな節目を迎える。沖縄のバスケットボール文化を支えてきた象徴、Bリーグ初優勝へ導いた指揮官、そしてチームを内側から支えた戦術家が、それぞれの道へ進む。
岸本隆一 14シーズンで築いた「ミスターキングス」の存在感
岸本隆一は1990年5月17日生まれ、沖縄県出身。大東文化大学から2012-13シーズンにアーリーエントリー制度でキングスへ加入し、2012年から2026年まで14シーズンを同一クラブで過ごした。ポジションはPG/SG。176センチ、75キロの体格ながら、勝負どころで沈めるディープスリーと、沖縄を背負うようなプレーでチームを何度も前へ進めてきた。
球団は、岸本が「琉球ゴールデンキングスそのものを背負い、歩み続けてくれました」とコメント。さらに、通算リーグ優勝3回、地区優勝9回、天皇杯や国際大会での優勝に貢献したことを挙げ、「ミスターキングス」と呼ばれる存在になったとたたえている。派手な個人賞ではなく、日々の積み重ねと信頼で中心に立った選手だった。
本人はコメントで、bjリーグからBリーグへ変わる時代の中で14年間の経験に感謝を述べたうえで、「キングスにとってまだまだ通過点」と記した。退団はひとつの区切りだが、クラブの未来を信じる言葉でもある。最後には「どこへ行っても僕自身どこで生まれ、どこから来たのかを忘れず前進していきたい」とつづった。
桶谷大 Bリーグ初優勝と天皇杯優勝をもたらした指揮官
桶谷大ヘッドコーチは1977年12月23日生まれ、京都府出身。大分で指導者としてのキャリアを積んだ後、キングスではbjリーグ時代の2008年から2012年までヘッドコーチを務め、2度のリーグ優勝へ導いた。その後は岩手、大阪、仙台で指揮を執り、2021年に再びキングスのヘッドコーチに就任。2021-22シーズンはBリーグ準優勝、2022-23シーズンはBリーグ優勝、2024-25シーズンは天皇杯優勝、2025-26シーズンはBリーグ準優勝という成績を残した。
球団は、桶谷HCが「キングスのウィニング・カルチャー」をさらに強固にしたと評価している。Bリーグ優勝、天皇杯優勝、当時リーグ最多連勝記録となる20連勝に加え、日々の積み重ねの中で組織としての一体感や規律を示し続けた点を功績として挙げた。結果だけでなく、勝つための基準をクラブに残した指導者だった。
桶谷は、ファンとファイナルや天皇杯優勝を分かち合えたことを振り返り、「一緒にアリーナにいた時間、その瞬間瞬間が僕の宝物」とコメントした。2026年からは男子日本代表ヘッドコーチとしての歩みも始まっている。キングスで築いた経験は、今後の日本バスケットボールにも還元されていくことになる。
佐々宜央 若手の成長と勝負どころを支えた知性
佐々宜央アソシエイトヘッドコーチは1984年5月13日生まれ、東京都出身。東海大学を経て、日立サンロッカーズ、リンク栃木ブレックス、宇都宮ブレックスなどで指導歴を重ねた。キングスでは2017年から2019年にヘッドコーチを務め、2024年から2026年まではアソシエイトヘッドコーチとして再びチームに加わった。
球団は、佐々AHCが若手選手の成長を促し、激しいシーズンを勝ち抜く上でチームを強固にする重要な役割を担ったと説明した。特に2024-25シーズンの天皇杯準決勝、桶谷HCが不在となった三遠戦では自らチームを率い、決勝進出へ導いた。プレッシャーのかかる舞台で冷静に状況を見極め、チームをまとめた手腕は、タイトル獲得の重要な一場面として記憶される。
本人は、2017年に初めてキングスへ入団した時期を振り返り、沖縄の人々へ恩を返したい気持ちでバスケットと向き合ってきたとコメントした。最後は「また、会う日を楽しみにしています!」と結んでいる。
別れではなく、キングスの次章へ
キングスは5月26日のBリーグファイナルGAME3をもって2025-26シーズンを準優勝で終えた。クラブは、現行Bリーグ最後のファイナルまで戦い抜いたことを「大きな財産」と表現し、次なる舞台であるB.LEAGUE PREMIERへ歩みを進めるとしている。
岸本隆一、桶谷大、佐々宜央の退団・退任は、クラブにとって大きな変化である。一方で、3人が残したものは単なる記録ではない。勝負どころで逃げない姿勢、沖縄とファンを背負う覚悟、日々の練習で基準を上げる文化。そうした積み重ねが、キングスを常勝クラブへ押し上げてきた。
クラブは次の時代へ進む。その土台には、14シーズンを駆け抜けた岸本のシュートがあり、桶谷HCが磨いた規律があり、佐々AHCが注いだ情熱がある。沖縄のバスケットボールに刻まれた功績は、これからもキングスの歩みの中で生き続ける。



