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障がい者就労に灯を。障がい者就労施設が好きを仕事にできる訳

サステナブルな取り組み SDGsの取り組み
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でじるみ 仙台中央の小野寺さん。実際にクリエイターとして、グラフィックを担当している(画像提供:でじるみ)

皆さんは、障がい者就労支援施設をご存じだろうか。

障がい者就労支援施設とは、何かしらの障がいを持ち、一般企業との雇用契約を結ぶことが難しい人々が、就労のための訓練や支援をする施設である。

障がい者就労支援施設は、雇用契約を結ぶA型事業所と、雇用契約を結ばないB型事業所に分かれるが、その中でも、B型就労継続支援施設は全国で11,000箇所を越え、その数を年々増やしている。

だが、そこで行われている作業の大半は、施設に納品するタオルの折り畳みや、商品や割りばしの袋詰め、シール貼りといった、単純作業がメイン。

外部で通用する技術はなかなか身につかず、やりがいのない作業を淡々と続けていながら、雇用契約は結ばないため、工賃も時給100円程度と、生活できるほどの収入を稼ぐのは厳しい現状がある。

しかし、そんな中でサブカルの技術に特化し、本人たちの興味のある分野で「楽しい」という思いを尊重しながら、本人が実際の仕事と通用する技術を身に着けることをコンセプトに、今、全国各地に広がりを見せているのが、でじるみだ。

そんな、今注目を集め続けている、でじるみから、2023年9月にオープンし、利用者の予約待ちが出るほど人気を博している「でじるみ仙台中央」の小野寺さんに話を伺った。

サブカル技術を生かした就労支援施設「でじるみ」とは

でじるみ仙台 外装1
でじるみ仙台 外装2
でじるみ仙台中央の外観。可愛らしいキャラクターでデコレーションされている。(画像提供:でじるみ)

でじるみとは、先述したように、デジタル技術の修得に特化している事業所である。

デジタルを活用し、名刺、カレンダー、チラシ、パンフレット、CM動画といった、様々な商品を作れるようになる「本物の技術を身につけられる環境」を整えた、今までにない障がい者就労施設だ。

仕事に役立つ「本物の技術」に重きを置き、実際のプロと遜色のない環境を作り上げているのが特徴で、利用するPCは高スペックなゲーミングパソコン。

利用するツールには、プロが活用しているPremier ProやPhotoshopといったAdobe製品を導入し、利用者全員が思い思いに利用できる。

でじるみ応援団と呼ばれる講師陣には『ラブひな』『魔法先生ネギま』といったアニメ化もされた大人気マンガで知られる赤松健氏や、『電影少女』『TIGER & BUNNY』などのヒット作を連発する桂正和氏など、人気漫画家が並ぶ。

その他にも、お笑い芸人やYouTuber、Vtuberとして活動しているインフルエンサーが名を連ねるなど、従来の就労支援施設とは一線を画している。

また、各事業所にはクリエイターの特色は様々で、事業所ごとの特徴を生かし、より各分野に特化した講義を受けることができるのが、他の障がい者就労施設との大きな違いといえるだろう。

クリエイター同士で勉強会を開く様子
クリエイター同士で勉強会を開き、指導する立場として、自身のレベルアップも行っている(画像提供:でじるみ)

「仙台中央では、特にイラスト、グラフィックの経験者が在籍しています。経験者にしかわからないことはたくさんありますし、実際に現場で働いてきた方々の生の声と、生きた知識を学んでいただけると思います」と小野寺さんは笑顔で語った。

でじるみの名前は、デジタル技術を活用して、障がいを持つ人々のルミエール(Lumière:フランス語で「光」「灯(ともしび)」)となれるようにという思いが込められている。

その名前のとおり、障がい者就労に大きな光を灯すような施設となっている。勤務中も、利用者と和気あいあいとした雰囲気で「好きと向き合える空間」になっているのが印象的だった。

実践の業務に触れる機会を

でじるみ仙台 内装2
でじるみ仙台 内装1
でじるみ仙台中央の内装、木目調の床と天井で、おしゃれかつ明るい雰囲気を演出している。(画像提供:でじるみ)

でじるみの主な流れとして、自身が興味のある分野を学び、課題として制作物を作り、スキルを磨いていく勉強方法を取っている。

形式ばった授業がなく、自身のペースや特性による特徴に留意しながら、自身にあったスタンスでスキルアップできるのが、でじるみの大きな特徴だ。

また、でじるみは、利用者が業務として、近隣の飲食店のメニューや、地元のイベントを宣伝するパンフレット、フリーペーパーを制作したという実績があり、実際にイラストを書く能力や、デザインを作成する能力を生かして実際の業務に取り組んでいる。

名刺デザイン1
名刺デザイン2
でじるみ仙台中央で作成した名刺デザイン(画像提供:でじるみ)

「フリーランスとして活動するには営業力や、納期に間に合わせる責任能力といった、一人では抱えきれない部分もありますし、それは障がいの有無に関わらず、すごく大変だと思います。なので、そこは私たち運営側が責任を肩代わりして、作業だけに集中できるようにしています」

自分たちの仕事に集中できる環境を作り、自身の楽しいと思えるところから、利用者の就労につなげていきたいという狙いだ。

この取り組みは、それぞれの環境にあった働き方ができるほか、自分の好きなことで社会との接点を持つことができるという、今までの障がい者就労施設とは一線を画している。

利用者に指導する様子
利用者に指導する様子(画像提供:でじるみ)

「障がいのある方は、能力のグラフがあれば平均的な人というよりも、凸凹になっている人が多いと思います。社会生活を送るのが大変な方でも、好きなことなら前のめりになって頑張ることができて、普通の人よりも力を発揮できるというのは決して珍しいことではないです」と小野寺さんは笑顔で話す。

でじるみ仙台中央店が見据える未来は?

今後のでじるみについて語る様子
今後のでじるみについて、真面目な表情で語ってくれた(画像提供:でじるみ)

好きなことだから興味をもって、社会と関わるきっかけになり、実際に他のでじるみでは20年間引きこもりだった方が、勇気をもって利用希望を出してきたというケースもあったという。

でじるみの存在が社会に関わる第一歩になっている人がいるのは揺るぎのない事実のようだ。利用者の順番待ちが発生してしまうほどの人気ぶりから、急速に拡大を続けている理由も頷けた。

最後に、小野寺さんに、でじるみ仙台中央店が見据えている未来について伺った。

「実際の仕事を受注につなげていきたいですね。好きだけど自信がないという人でも『自分でイラストの仕事をすることができたんだ』という実感を持つことできますし、自信をつけられます。これは他の事業所にはない強みではないかなと思います」

今回の取材において、筆者は「クリエイターによって差がある場合、特定の分野で専門的な知識を持つ人はいないというケースがあるのでは」と疑問を感じていた。

しかし、

  • 北海道芸術高等学校
  • 株式会社ニチデLab
  • 東北芸術高等専修学校
  • WEBTRIBE株式会社
  • スタークリエイツ株式会社

といった、専門学校や企業のWeb上での講座を受けることができ、アーカイブも見ることができるという。

どんな分野でも専門的な生きた知識を身に着けられるのは、でじるみならではの強みだと感じられた。
これからの、でじるみの発展に目が離せない。

◇でじるみ 公式HP
https://digilumi.jp/

◇でじるみ仙台中央 公式HP
https://zendoassist.com/dejirumi/

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ライター:

1993年生まれ。AsunaroWorks代表。インタビューを中心に活動するライター。その他、カメラマンやホームページ制作者などとしてマルチに活動している。

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