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ニコニコ動画のコメント機能、FC2の特許侵害を最高裁が認定 ドワンゴが勝訴

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ニコニコ動画のコメント機能、FC2の特許侵害を最高裁が認定 ドワンゴが勝訴
DALL-Eで作成

動画配信サービス「ニコニコ動画」のコメント機能をめぐる特許侵害訴訟で、最高裁が3月3日、ドワンゴの勝訴を確定させた。FC2は、自社の動画サービスで同様のコメント機能を提供していたが、最高裁は「日本の特許権を侵害する」と判断。サーバーが海外にあっても特許侵害が成立するという判決は、今後の特許権の運用にも影響を与える可能性がある。

本記事では、ニコニコ動画のコメント機能の仕組みや訴訟の経緯、今回の判決の意味について詳しく解説する。

 

ニコニコ動画のコメント機能とは?

ニコニコ動画は、日本独自の動画配信サービスとして2006年にサービスを開始した。その最大の特徴は、視聴者が動画上にリアルタイムでコメントを投稿できる「コメント機能」である。この機能により、視聴者同士が動画を見ながらコミュニケーションを取ることができるというものだ。

一般的な動画配信サービスでは、コメントは動画の下に表示されるが、ニコニコ動画ではコメントが画面上を横に流れる。この仕組みにより、動画とコメントが一体化し、視聴体験が向上する。また、コメントはタイムスタンプと連動しているため、動画を視聴するタイミングによって異なるコメントが表示される点も特徴的だ。

このコメント機能は、ドワンゴが特許を取得しており、日本国内では同様の機能を無断で使用することは認められていない。

FC2でのコメント機能の使用

FC2は、米国に拠点を置く動画配信サービスで、日本国内でも多くのユーザーが利用している。問題となったのは、FC2が提供する「FC2動画」において、ニコニコ動画とほぼ同様のコメント機能を導入していたことだ。

FC2のコメント機能も、視聴者が投稿したコメントが動画上を横に流れる仕組みとなっており、ニコニコ動画の機能と酷似していた。ドワンゴはこれを特許侵害と主張し、2016年と2019年にそれぞれ訴訟を提起した。

FC2側は、「サーバーは米国にあるため、日本の特許権を侵害していない」と反論。しかし、ドワンゴ側は、「サービスの主な利用者は日本国内におり、実質的な影響を考慮すれば特許権侵害に当たる」と主張した。

訴訟の経緯

 

第一審(東京地裁)

東京地裁は、特許権の「属地主義」に基づき、「特許権の効力は取得した国の領域内でのみ及ぶ」と判断。FC2のサーバーが米国にあることを理由に、特許侵害を認めなかった。

第二審(知財高裁)

知財高裁は2022年7月の判決で、「特許権の影響範囲は単にサーバーの所在地だけでなく、サービスの実質的な利用状況を考慮すべきである」との判断を示した。FC2のサービスが日本国内のユーザー向けに提供され、特許技術が利用されていることを理由に、特許侵害を認定。FC2に対し、コメント機能の使用差し止めと約1億円の損害賠償を命じた。

さらに2023年5月、もう1件の訴訟でも「機能の効果が得られる場所を考慮すべき」として、約1100万円の賠償を命じる判決が下された。

最高裁(2025年3月3日)

最高裁第2小法廷(草野耕一裁判長)は、FC2の上告を棄却し、知財高裁の判決を支持。
これにより、以下の判決が確定した。

・サーバーが海外にあっても、日本のユーザー向けに提供されている場合は特許侵害が成立する
・FC2はニコニコ動画のコメント機能を無断で使用していたと認定
・FC2に対し、コメント機能の使用停止と損害賠償(合計約1億1100万円)の支払いを命じる

今回の判決が与える影響

 

今回の最高裁判決は、IT業界に大きな影響を与える可能性がある。

特許権の適用範囲の拡大

従来、特許権は「属地主義」に基づき、特許を取得した国の領域内でのみ効力を持つとされてきた。しかし、今回の判決は「実質的な利用者がいる国で特許が適用される」という新たな基準を示した。この判断が他の特許訴訟にも影響を与える可能性がある。

動画配信業界への影響

今回の判決により、動画配信サービスは特許技術を使用する際により慎重な対応が求められるようになる。特に、海外サーバーを利用する企業にとって、日本国内の特許権を侵害しないよう対策を講じる必要がある。

まとめ

ニコニコ動画のコメント機能をめぐる特許侵害訴訟は、最高裁の判断によりドワンゴの勝訴が確定した。サーバーの所在地に関わらず、日本国内で利用されるサービスに対して特許権が適用されるという判決は、特許権の運用に新たな指針を示した形となる。

今後、同様の技術を使用する企業は、特許権侵害を避けるための対策をより慎重に検討する必要があるだろう。

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ライター:

新聞社で記者としてのキャリアをスタートし、政治、経済、社会問題を中心に取材・執筆を担当。その後、フリーランスとして独立し、政治、経済、社会に加え、トレンドやカルチャーなど多岐にわたるテーマで記事を執筆

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