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サンウェルズ、42施設で28億円不正請求 苗代亮達ら経営陣関与の疑いと社長の株売却が波紋

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サンウェルズのHP
サンウェルズのHPより

全国の老人ホームで不正が常態化していた実態が明らかになった。東京証券取引所プライム市場に上場する株式会社サンウェルズ(石川県・金沢)が、全国42施設のうち41施設で診療報酬の不正請求を行っていたことが、特別調査委員会の報告書で判明した。

その総額は約28億4700万円にのぼる。さらに、社内で不正の報告を受けた直後に社長が株式を売却していた事実も発覚し、インサイダー取引の疑いまで浮上している。

当初、同社は「不正の事実は一切ない」と全面否定し、報道を名誉毀損だとして強く抗議していた。しかし、その主張は覆り、株主に対する裏切り行為であったことが明白となった。
現在、厚生労働省や金融庁が調査を進めており、最悪の場合、上場廃止の可能性もある。

組織ぐるみの診療報酬水増しが常態化

特別調査委員会の報告書では、サンウェルズが組織的に診療報酬を水増し請求する手法を確立し、それが日常的に行われていたことが明らかにされた。訪問看護の実態として、数分しか訪問していないにもかかわらず、30分以上の訪問として請求するケースが頻発していたことが確認された。

さらに、訪問時に同行者がいないにもかかわらず、複数名で訪問したと偽装し、診療報酬を増額していたことも判明している。これらの不正は、全社的なルールとしてマニュアル化されていたとみられる。

また、報告書には社内マニュアルで「1日3回の訪問」を必須とする方針が明記されていたことも記載されている。利用者の状態に関係なく、訪問回数を増やすことで診療報酬を最大化する仕組みが整えられていたのだ。現場の職員がこれに異議を唱えても、経営層からの圧力で従わざるを得ない状況だったことが関係者の証言から明らかになっている。もはや社をあげて不正に関与していたことは明白であり、社会的に糾弾されるべき会社といえる。

このような経営方針により、サンウェルズの売上は急成長し、2024年7月には東京証券取引所のプライム市場へ市場変更を果たした。だが、その成長の裏には、不正請求という重大な問題が隠されていたのである。

サンウェルズの事業と急成長の背景

サンウェルズは2006年に設立され、主に介護施設の運営を手がける企業。パーキンソン病患者専門の介護施設「PDハウス」や、医療特化型住宅「太陽のプリズム」を全国に展開している。2022年に東京証券取引所グロース市場に上場後、急速に成長し、2023年春には時価総額1000億円を突破。その後、2024年7月にはプライム市場へ市場変更した。

同社は「30年までに施設数140、定員7700人」を目標とする拡大戦略を掲げていたが、その急成長の裏には不正な診療報酬請求による売上増加があった可能性が高い。今回の報道を受け、同社の経営計画の持続性にも疑問が生じている。

SNSでは賛否の声「親切なスタッフがいるのに…」

サンウェルズの不正が明るみに出たことを受け、SNSではさまざまな意見が交わされている。ある利用者の家族は「実は親族がサンウェルズのPDハウスに入っているのですが、スタッフは本当に親切で熱心なんです。そんな会社が?というのが正直な印象です」と疑問を呈した。

一方で、同業者からは「サンウェルズの評判はもともと悪かった。介護施設経営者に聞いたら、『あそこみたいに汚い真似はしない』と怒りをあらわにしていた」という声も上がっている。

また、今回の不正請求28億円の試算には、過剰な頻回訪問の影響が含まれていない可能性があるとの指摘もある。今後、さらなる不正が明らかになれば、問題の規模はさらに拡大するかもしれない。

社長の株売却でインサイダー取引疑惑も浮上

サンウェルズの不正は診療報酬の不正請求だけにとどまらない。調査報告書によると、昨年9月、共同通信が不正疑惑を報じた直後に、苗代亮達社長が自社株を売却していたことが確認された。この動きは、不正が明らかになる前に株価が暴落することを見越したインサイダー取引ではないかとの疑いを呼んでいる。

同社は当初、報道を「名誉毀損」として全面否定していたが、結果的にはその主張が誤りだったことが判明。投資家からは「これ以上ない裏切り行為だ」との批判が相次いでいる。もし、金融庁がインサイダー取引と認定すれば、社長個人の刑事責任が問われる可能性が高い。

財務リスクも浮上 資金繰りに懸念

サンウェルズの不正が発覚し、同社の財務状況にも疑念が生じている。2024年8月時点での貸借対照表(BS)では、同社の現金残高は約22億円だったとされる。しかし、不正請求額が28億円を超えていることを考慮すると、全額返還を求められた場合、資金繰りが逼迫する可能性がある。

現在、同社は施設拡大のための資金調達を進めているが、信用が失墜した状況では、金融機関からの融資や新規投資を確保するのは困難とみられる。このままでは、事業継続すら危ぶまれる事態に陥る恐れがある。

厚生労働省と金融庁の動向が焦点に

サンウェルズの今後については、厚生労働省と金融庁の対応が鍵を握る。
厚労省は介護報酬の返還命令を出す可能性が高く、事業継続に大きな影響を与える可能性がある。
さらに、金融庁は社長の株売却に関するインサイダー取引の疑いについて調査を進めるとみられ、場合によっては刑事告発もあり得る。

一部の専門家は、このままではサンウェルズが上場廃止に追い込まれる可能性が高いと指摘しており、経営陣の対応次第ではさらなる混乱を招くことになるだろう。

信頼回復の道は険しい

サンウェルズは「信頼回復に努める」としているが、その道のりは容易ではない。介護業界全体の信頼にも影響を及ぼす重大な問題となった今回の不正。パーキンソン病患者の受け皿は必要であり、PDハウスの社会的意義などは大きいといえるが、サンウェルズという運営母体はアウトであり、今後株主、利用者、関係者への説明責任を果たせるかどうかが、同社の存続の分かれ道となる。

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寒天 かんたろう

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ライター歴25年。月刊誌記者を経て独立。伝統的な日本型企業の経営や大学、高校、通信教育分野などの取材経験が豊富。

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