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電力不要で-3.4℃。SPACECOOL、世田谷区立小に放射冷却シート導入で体育館の酷暑対策に成果

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SPACECOOL、世田谷区立小に導入
画像出典:SPACECOOL株式会社 プレスリリース

放射冷却素材の開発・販売を手がけるSPACECOOL株式会社は19日、同社の放射冷却素材「SPACECOOL」を一体化した防水シート「イノベーションプルーフRR」(以下「SCシート」、販売元:ロンシール工業株式会社)が、東京都世田谷区立の小学校2校に導入されたと発表した。

同社によると、A校の体育館屋根に施工したところ、空調を一切使わない状態で日中時間帯(10時〜16時)の室内温度が施工前より平均3.4℃低下し、外気温より平均1.6℃低い結果を確認した。世田谷区教育委員会は既に区内他校への導入も決定しており、学校現場の暑熱対策として注目が集まっている。

 

「大気の窓」を使って熱を宇宙へ逃がす放射冷却の原理

SPACECOOLが実現する冷却効果の核心は、放射冷却という物理現象にある。太陽光の熱をブロックして熱吸収を抑えるだけでなく、物体が持つ熱を波長8〜13μmの赤外線(「大気の窓」と呼ばれる大気の透過率が特に高い波長帯)として宇宙空間に放出することで、電力ゼロで外気温よりも温度を低下させることができる。光には大気を通過しやすい波長と吸収されやすい波長があり、「大気の窓」はそのなかでも特に宇宙への熱輸送に優れた波長帯だ。

この原理を活用した放射冷却素材を防水シートと一体化したのが「イノベーションプルーフRR」だ。建物の屋根に貼るだけで、電力や設備を追加せずに屋根からの入熱を抑制できる。近年の夏場の酷暑により学校現場の熱環境が深刻化するなか、UNICEFは高温が出席率低下や子どもの集中力に影響を与える可能性を指摘しており、国内でも文部科学省が学校管理下での熱中症事故の多くが体育・スポーツ活動中に発生していると報告している。

 

A校体育館:空調なしで室温が外気温より1.6℃低く

A校の体育館屋根にSCシートを施工した前後(2025年8月1〜31日)の比較測定では、日中時間帯(10時〜16時)において施工前と比べて平均3.4℃の室温低下を確認した。さらに施工後は室内温度が外気温を下回る時間帯が増加し、同時間帯で外気温より平均1.6℃低い結果が得られた。測定期間中、空調設備は稼働していない。また、屋根表面温度は施工後に約20℃低下しており、施工途中の屋根裏温度の比較でも未施工エリアより約10℃低い結果が確認されている。

ただし同社は、この結果は放射冷却効果に加えて建物構造や周辺環境条件など複数の要因が組み合わさった実測値であることを明示している。B校の校舎屋上でも施工部と未施工部の比較測定を実施し、SCシート施工部では未施工部と比べて最大約15℃(計測日:2025年8月6日)の温度低下を確認した。

 

区内他校への展開も決定

世田谷区教育委員会事務局施設整備課の担当者は「夏の猛暑が深刻化しており、保護者からも子どもの体調を心配する声を頂いていた。イノベーションプルーフRRを体育館屋根に施工したところ、室内がとても涼しくなり、子どもたちが快適に運動できる環境になったという声を頂いている」とコメントしている。さらに「既に世田谷区内の他校への導入も決定している」としており、実証成果を踏まえた横展開が始まっている。

学校運動時の熱中症予防ガイドラインでは、WBGT(暑さ指数)に応じた運動実施判断基準が定められており、暑熱環境下での学校活動には専門的な管理が必要とされている。エアコン設置が難しい体育館において、電力を使わずに室温を抑制できるSCシートは、既存の暑熱対策を補完する手段として実用的な選択肢となりうる。

 

省エネ・脱炭素の観点でも拡がる放射冷却素材の可能性

ゼロエネルギーで冷却効果を得られるという特性は、学校現場にとどまらず、空調コストの削減やカーボンニュートラルへの貢献という観点からも注目される。電力を追加で消費せずに建物の熱負荷を下げることができれば、空調設備の稼働率を抑えられるため、エネルギー消費量の削減につながる。2021年に創業したSPACECOOL株式会社は、世界最高レベルの放射冷却性能を謳う新素材の実用化を通じて、建物・インフラ・産業の暑熱・省エネ課題に応えることを目指している。

今回の世田谷区立小学校への導入事例は、放射冷却素材が公共施設の暑熱対策として機能することを実測データで示した事例として意義が大きい。子どもたちの熱中症リスクを低減しながら電力消費を抑えるという二つの要請に同時に応えられる可能性が、公共建築や教育施設への普及を後押しするとみられる。

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ライター:

Sacco編集・ライター。企業に直接出向く取材が中心。扱う記事はサステナビリティ、エンタメ関係が多め。

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